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» 2005年04月19日 16時53分 UPDATE

“携帯+書籍”〜KDDIの狙い

音楽、ゲームに続き、au携帯向け書籍ポータル「EZ Book Land!」を立ち上げたKDDI。狙いはバーチャルとリアルの相乗効果による書籍市場の活性化だ。

[後藤祥子,ITmedia]

 KDDIが、音楽ポータルの「auRecords」(2004年3月の記事参照)、ゲームポータルの「EZ Game Street!」(2月9日の記事参照)に続く3つ目のポータルとして、書籍のポータルサイト「EZ Book Land!」を展開する(4月19日の記事参照)

 サイトのオープンにあたり、KDDIコンテンツ・メディア事業本部長の高橋誠氏と丸善情報システム統轄室長の鈴木幹夫氏、小学館 常務取締役の中村滋氏が一堂に会し、「EZ Book Land!」の概要と狙いについて話した。

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 EZ Book Land!のオープンを前に満面の笑みを浮かべる関係各社の代表。左から丸善の執行役員店舗事業部長 浜田幾夫氏、KDDIコンテンツ・メディア事業本部長の高橋誠氏、丸善の取締役兼執行役員情報システム統括室長である鈴木幹夫氏
※初出で、写真の人物紹介が誤っておりました。お詫びし、訂正致します


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 WINのコンテンツARPUは1Xユーザーの3倍だと高橋氏。定額サービスの柱に成長した音楽同様、書籍を育てていきたいと話す。電子書籍は月間約30万ダウンロードを得るまでに成長し、2005年3月の売り上げは2500万/月。2004年3月に比べ、売り上げは約6.6倍になったという

携帯の電子書籍市場、既に3億円規模に

 KDDIの一連のポータルサイトは、携帯コンテンツ(バーチャル)と物販(リアル)の融合による相乗効果を提案するもの。定額時代の、重要なコンテンツ戦略の1つに位置づけられている。

 最初に提供した音楽ポータルのauRecordsは、500万ダウンロードに達した「着うたフル」をトリガーにCD購入につなげるという仕組みが好調で、「(売り上げ実績は)飛躍的に伸びた」と高橋氏。「音楽で成功したモデルをブックスでぶつけてみよう」というのがEZ Book Land!の狙いだ。

 “携帯で書籍ポータル”の背景にあるのは、携帯電話と電子書籍配信の相性の良さ。携帯プラットフォームには、電子書籍コンテンツを着メロ感覚で気軽に購入できる決済基盤が整っており、著作権保護についても電話番号に紐付けされた形での管理体制が用意されている。これにより、PCやPDA向け電子書籍配信の課題といわれていた問題をクリアした。

 さらにau携帯ならではのメリットもある。WIN向けの電子書籍サービス「EZブック」は、大容量の書籍を1冊まるごと携帯にダウンロードでき、それ以降は通信が発生しない。いつでもどこでもBREWアプリの高速な動作環境のもと読書を楽しむことが可能で、「公式ビューワ(コミックはセルシスの「ComicSurfing」、小説はシャープの電子ブックビューア)で統一的な操作感。テキストとアニメを融合することで、携帯ならではの能力を使った電子書籍が実現した」(高橋氏)という特徴も備える。

 こうした環境が電子書籍市場を急成長させたと高橋氏。「PCやPDAの世界では、1995年から2002年までの8年で年間10億円の市場規模と成長するのが難しかった。携帯は1年4カ月で年間3億円に伸びてきた」(高橋氏)

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 携帯電話の電子ブック市場は1年4カ月で3億円規模と急成長を遂げた

 急成長する携帯電子書籍の世界に着うたフルで培った物販のノウハウを組み合わせて、「電子書籍をトリガーに本を買っていただく」(同)という導線の流れを作りたい考えだ。「ベストセラーから小説、コミックまで、10サイト7000タイトルあるコンテンツを整理して、音楽やゲームに続く1つのトピックとして打ち出していきたい」(同)

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 「EZ Book Land!」は、電子書籍を配信する「EZブック」と紙の書籍をオンライン販売する「au Books」で構成される。携帯電話でコミックを立ち読みしてから紙の書籍を購入できる仕組みも新たに導入

「本の楽しさ、auが教えます」

 EZ Book Land!では、「新・読書スタイル」を合言葉に、書籍ライフを豊かにするさまざな仕組みを用意する。書籍検索のほか、特集、新刊情報、ランキングなどのリコメンド情報を定期的に配信し、ユーザーの「話題の本が読みたい」「面白い本は何か」「最新のベストセラーは」といった要望に応える。

 バーチャルとリアルを連携させたEZ Book Land!ならではともいえるのが、小学館との連携によるコミックの立ち読みコーナーだ。サイト内にコミックの立ち読みコーナーを設置し、新刊コミックの一部を配信。気に入ったら物販サイトですぐ購入できる仕組みを用意して、バーチャルとリアルの連携を分かりやすい形で提案している。

 これは携帯での販売促進活動や電子書籍マーケティングにも役立つと高橋氏。「どんな人がどんな本に興味を持っているかが分かる、携帯ならではのマーケティングスタイル。出版社にとっての新しいマーケティングの可能性を小学館と探っていきたい」(高橋氏)

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 携帯で電子書籍を読むユーザーは10代から20代がコア。オンライン書店の利用者は20代後半から30代が中心だ。「携帯を軸にした相乗効果でユーザー層が拡大する」と高橋氏。「若者の書籍離れがいわれる中で、携帯をきっかけとしてバーチャルな世界からリアルな世界への新しい流れを提案できる」(同)とも


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