フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは9月8日、総合技術セミナー「フリースケール・テクノロジ・フォーラム・ジャパン2005」(FTF Japan 2005)を開催した。キーノートスピーチではNTTドコモのプロダクト&サービス本部 プロダクト部長の永田清人氏が登壇。同社の戦略を話した。
永田氏は、ドコモとau、ボーダフォンの3キャリアはこれまでシェア争いを繰り広げてきたと振り返る。現在はドコモとauの“2強”の争いになっているが、過去にはドコモのシェアが落ち込んだ時期もあれば、ボーダフォンが好調な時期もあった。
永田氏は、auはデザイン端末などで端末バリエーションを増やしてきたほか音楽ダウンロードサービスなどサービス面にも力を入れており、好調をキープしていると分析。不調が伝えられるボーダフォンにしても、今は3G端末の新しいインタフェースにユーザーが慣れないなどの影響から調子が上がらないだけで、「ボーダフォングループのグローバルなパワーはあなどれない」と話す。
ドコモが油断できない理由は、ほかにもある。「今でも(シェア争いは)シビアな状況。来年はさらにMNP(モバイルナンバーポータビリティ)がある。いろんな調査を見ていると、相当なパーセンテージのユーザーが(MNPが始まれば)携帯キャリアを変えてもいいと思っているようだ」。
携帯業界に新規参入事業者が登場して、FMC(Fixed Mobile Convergence)サービスを提供し始めれば既存キャリアのライバルに成長する可能性もある。こちらは「ビジネスが立ち上がるかクエスチョンで、現実的に大きな脅威かはまだ分からない」(同)としたが、「N900iL」のような固定―モバイル融合端末もリリースしている、と“対抗策”をアピールした。
今後の展開として、永田氏は海外市場への進出を挙げる。
「ボーダフォンのグローバル戦略を見ていても、グローバル市場を考える必要がある。日本だけで(事業を)やっていたのではパイが小さい」。ドコモは既に海外オペレータと組んでiモードサービスの海外展開を試みており、現時点で14オペレーター、21の
国と地域でiモードサービスを提供する予定だ。
各エリアでは、それぞれの国の事情にあった戦略を練る必要があると永田氏。例えば端末にはいくらお金を出してもいいと思っているのか、3万円までなら出すが5万円だとちょっと高いのか……というユーザーの感覚をよく調査する必要があるという。
「日本では、高機能の端末しか(多くの台数が)売れないという特殊な市場。しかし海外では平均すると、音声ができればいい、SMSが使えればいいというユーザーが形成する市場も大きい」
永田氏は、日本の端末をハイエンド、ミドルエンド、ローエンドの3つに分けると、日本のミドルエンドに相当する端末が海外のハイエンドに当たると解説。「こうした端末ポートフォリオを作って、海外にあてていく」と説明した。
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