国内初となるHSDPA対応端末が「N902iX HIGH-SPEED」(2006年5月11日の記事参照)だ。データ転送速度は下り最大3.6Mbpsと、FOMAの384kbpsと比べて約10倍の高速通信が可能で、「ミュージックチャネル」や「着うたフル」、最大5Mバイトまでの大容量な「iモーション」のダウンロードなどに対応する端末だ。
同機種はスピードやサービスだけでなく、近未来をイメージしたデザインも大きな特徴となっている。ただならぬ存在感を持つN902iX HIGH-SPEEDのデザインについて、同端末を企画し、NECとのコーディネートを担当したNTTドコモ プロダクト部 第三商品企画担当部長の中村吉伸氏と、企画担当の高津利樹氏に話を聞いた。
5月11日の発表後、ワイヤレスジャパン2006で実機が披露されたN902iX HIGH-SPEEDだが、デザインに関する反応はどんなものがあったのだろうか。
「ガンダムはもちろんですが、ほかにもマクロスや、スター・ウォーズに出てくるストームトルーパー、女性ではAIBOの顔に似ているという人もいました。多くの要素を盛り込んでいますから何に似ているかは見る人によると思いますが、メカメカしいデザインを通して、この端末のもつ先進的なイメージを感じ取ってもらっています」(高津氏)
同端末の企画開発については、同社プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部の夏野剛氏が「ガンダムっぽく一気にいけー」という指示を出している(2006年6月19日の記事参照)。
高津氏はこの発言を受けた際の感想をこう話す。
「“ガンダム”という単語が出たときは、いろんな意味で驚きました。やっていいのか、やっちゃっていいのかと。また、言葉に込められている意味を正確にとらえる必要もありました。単に似ている端末を作れという意味ではありませんから」
N902iX HIGH-SPEEDをHSDPAエリアで使うということは、FOMAの10倍の速度でメールやWebを利用できるだけではない。着うたフルやミュージックチャネルなど、通信速度を生かした新しいサービスをいち早く楽しめなければならない。ガンダムという響きの裏には「新しい」「圧倒的」「新時代を開く存在」といったニュアンスが込められていたのだろう(もちろんボディが白い必要もある)。
こうした要求をどう造形に落とし込むのか。高津氏は単にディティールをメカっぽくするだけでなく、端末の持つ機能に説得力を持たせることを目指したという。
「どの端末もそうですが、モノとして所有したくなるデザインを目指すわけです。N902iXでは、モノとして優れているだけでなく、個々の機能を実感でき、持ち歩くことを喜べるデザインにしたかった」(高津氏)
高津氏に具体例を挙げて説明してもらった。まず背面のデザインは多角形のパネルで構成しているが、左右の大きな2つのパーツは、ステレオスピーカーを強調する役割を持つ。端末が音楽機能に力を入れていることを象徴しているのだ。そして、パネルの合わせ目は「H」という形になっていて、HSDPAの「H」を意味している。
また、操作の中心となる十字キーとソフトキー周辺は、戦闘機のコックピットコンソールをイメージし、アウト/インカメラともレンズの周りには、ターゲットスコープのディティールを追加した。ニューロポインタは装甲車などのタイヤを、背面→裏面のFeliCaチップの周りは、メンテナンスハッチを連想させるデザインを採用する。
これらはやみくもにメカメカしさを狙ったわけでなく、働きを連想させるメカっぽい要素を加えることで、それぞれの機能が直感的に分かる演出になっている。
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