インタビュー
» 2006年10月19日 15時16分 公開

「705P」開発者インタビュー:“薄さ”“固さ”に込めた思いと“ピンク”へのこだわり (1/2)

「705P」でJ-フォン時代の「J-P51」以来のソフトバンク参入を果たしたパナソニック モバイル。端末のコンセプトや特徴、再参入への意気込みなどを開発陣に聞いた。

[遠藤学(聞き手:岩城俊介),ITmedia]

 パナソニック モバイルコミュニケーションズ製の3G端末「705P」は、ヒンジの左側面に同社端末ではおなじみの「ワンプッシュオープン」機構を採用した、厚さ約14.8ミリ、重量約103グラムのスリムケータイだ。メインディスプレイは2.2インチTFT液晶、サブディスプレイは0.8インチの青色有機ELで、外部メモリはmicroSDカードが利用できる。

 J-フォン時代の「J-P51」以来の端末供給となるパナソニック モバイルに、端末のコンセプトや特徴、再参入への意気込みなどを聞いた。

photo (左から)パナソニック モバイルコミュニケーションズ 広報室 鐘川純治氏、AVCN モバイルグループ 北出克宏氏、商品機構設計グループ 粂信吾氏、事業戦略グループ 橋本正人氏、モバイルキャリア営業総括 伊藤則之氏、プロジェクトマネジメントグループ 山口清一氏、商品企画グループ 目黒幸一氏

薄いものをさらに薄く

photo 端末の端をそぎ落としたウェッジシェイプのボディ

 705Pのデザインキーワードは“スリム&スリーク”。デザインを担当した北出氏はこの意味を「薄いものをより薄く見せる、四角ではなく滑らかにつなぐ」ことだと説明する。薄いものをさらに薄く見せるためのポイントとして、商品設計担当の粂氏は「ツートーンのライン位置」と「ウェッジシェイプ」の2つを挙げる。

 「ツートーンは薄く見せるために有効な手段。色分けのラインが中間にあると設計的には楽で、いつもそうしていた。だが、今回はデザインありきで塗り分けのラインを決めていった。端末の端の部分をそぎ落としたウェッジシェイプもかなり技術的には難しいもの。数値だけで考えれば、ストレートに真四角で作れば設計的には楽になるところを、がむしゃらに角をそぎ落としていった。数値で他社に抜かれることはあっても、ここまで完成されたデザインで、この薄さはすぐにはまねできない」(粂氏)

 デザインありきで開発を進め、モックアップができたのは2005年9月ごろ。「デザインで勝手に作っちゃったくらいのレベル」(北出氏)だったそうだが、そのモックアップにスタッフが一目ぼれし、それを実現するために妥協しない道を選んだという。「機構設計や技術にがんばってもらった。細かい部分で違うところはもちろんあるが、当初のモックアップから完成まで、これほど変わらなかったのは珍しい」(北出氏)


photophoto 705Pのモックアップ(写真左)と製品版(写真右)。ほとんど変わっていないのが分かるだろう

photo 一体につながって見えるように、滑らかなラインを意識したボディ背面

 薄く見せるためのこだわりは背面にも反映されている。「使っている時に人から見えるのは背面なので、そこをキレイに見せたかった。背面が一体につながっているようなイメージというか、ねじ隠しなどの目立つ部分をデザインにとけ込む形にした。いろいろと細かい部分にもこだわっている」(北出氏)

 バッテリーカバーを外すための出っ張りもなくしたい、とにかくすっきり見せたいという、ソフトバンクモバイルのデザイン責任者からの提言もあった。さすがにこれは実現しなかったが、通常だとおざなりになってしまうこれらの部分にも、705Pはとことんこだわりを持って取り組んだということだろう。北出氏も「どこから見てもキレイに見えるようにデザインした」と胸を張った。

 14.8ミリの薄さを実現するための苦労もあった。「薄型化は肉厚を薄くしていったり、すき間を減らしていけばできる。ただし、デザインや強度、操作性が犠牲になってしまうことがある。強度の面で言えば、従来はダイヤルキー裏に入れていたメインの制御基板を、液晶側に移したことで打開している」(粂氏)という。

 制御基板と液晶は強度的にも壊れやすいパーツである。一体化できるのであればそれほど楽なこともないが、口で言うほど簡単なものではない。開発陣は新たな技法を採用することで、薄さと強度の両立を実現した。「実装した制御基板を樹脂で固める、まったく新しい手法を取り入れた」(粂氏)のである。液晶と一体化するだけでなく、制御基板を樹脂で固めることで、ゆがみやねじれなどが生じない強度が確保できた。

 制御基板のなくなったダイヤルキーの裏面には、バッテリーとの間にステンレス板を代わりに挿入。これによりダイヤルキーの操作性と強度を保った。「ステンレスの板とバッテリーは平面なので、ダイヤルキーの操作性は失われない。制御基板が上に移ったため、ダイヤルキーを強く押して基板が壊れることもなくなった」(粂氏)

 ダイヤルキーの裏面にもフレキシブルな基板は入っているが、それほど固い基板ではないため、壊れにくくなっているのだという。バッテリー自体の強度を高くしたということはないそうだが、ステンレス板が入っているため本体もたわみにくい。

 なお、NTTドコモやauの端末に「この技術を応用することは可能」(山口氏)だというが、その可能性については、「薄型化はテーマなので、さらなる努力はしていく」(粂氏)との発言にとどめた。

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