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» 2007年02月02日 22時48分 UPDATE

「モバイルビジネス研究会」第2回会合:功を訴えるキャリア、罪を問う構成員──SIMロックの是非をめぐる認識のずれ (1/2)

総務省がSIMロック解除やインセンティブモデル廃止など、これからのモバイルビジネスのあり方を検討する「モバイルビジネス研究会」の第2回会合を開催。研究会構成員とキャリア間で議論は平行線をたどり、認識のズレが浮き彫りになった。

[石川温,ITmedia]

 端末のSIMロック解除や販売奨励金(インセンティブ)の廃止、MVNOなどのあり方を検討する「モバイルビジネス研究会」の第2回会合が総務省で開催された。

Photo 「モバイルビジネス研究会」の第2回会合

 モバイルビジネス研究会は、10名の有識者などによって構成される。将来の移動通信市場におけるビジネスモデルを検証し、2007年夏までに報告書をまとめる方針だ。研究会にはオブザーバーとしてキャリアやコンテンツプロバイダー、MVNO事業者なども参加している。

 今回はオブザーバを代表して、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、MVNO協議会の3者に各20分ずつ、プレゼンテーションの時間が与えられ、まずNTTドコモの伊東則昭氏が「競争のあり方をあらかじめ方向づけるのではなく、事業者の競争に委ねるべき」と意見を述べた。

 MVNOに対しては「ビジネスモデルは否定しないものの、キャリアは周波数の割り当て条件に従ってリスクを負って、電気通信設備を構築している。MVNOが出来上がったインフラのいいとこ取りをしていくのは適切ではないのではないか」とした。

 またSIMロックと販売奨励金については、「W-CDMA方式では、技術的にはSIMロック解除は可能だが、それをやると現行の販売奨励金モデルは継続できない。そのため端末の価格は上昇すると思われる。また、音声やSMSといった基本機能は利用できるものの、iモードが利用できなくなってしまう。利用できる機能は減る一方で端末の価格は上がるので、端末販売数が減少し、メーカーや代理店のビジネスが縮小するため、市場に与える影響は大きいはず」という考えを示した。

 続いて登場したのはソフトバンクモバイルの五十嵐善夫氏。ビジネスモバイル研究会では「SIMロックを解除することで、メーカーはキャリア主導の端末開発環境から解放されるので、国際競争力が増すのではないか」という検討事項がある。それに対して、五十嵐氏は、「国際競争力の強化とは、日本のメーカーの端末が海外で売れるようにすればいいということではない。端末、ネットワーク、コンテンツを一体に開発し、付加価値の高いサービスを提供することの有用性を議論した方がいいのではないか」と提案する。

 またSIMロックや販売奨励金の是非についても「現行のビジネスモデルにはベンダー(メーカー)、キャリア、販売店、ユーザーなど多くのステークホルダーがいる。SIMロックを解除しても、限定的な効果しかない」と慎重な姿勢を示した。

 ソフトバンクモバイルでは、端末の買い替え頻度の違いによって、ユーザー間の料金(インセンティブ分)負担に不平等があるという点に対し、割賦販売方式の「新スーパーボーナス」を導入したことで回避しているとアピール(2006年10月の記事参照)。基本料金などの高止まりについては、「ゴールドプラン」「ホワイトプラン」などの低廉な料金プランを投入してきたことを、同社の取り組みとして訴求した。

 最後に登場したのはMVNO協議会の福田尚久氏(2006年12月の記事参照)。「携帯電話は普及期から成熟期に突入している。しかし、現状はメーカーやコンテンツ会社が『1冊の小説を300円で読める電子ブック』といった製品やサービスを提供することができないなど、モバイルビジネスにおいて閉塞感がある。この閉塞感を打破するにはキャリアがモバイルネットワークを解放し、さらに端末や通信、プラットフォームごとに公正な競争ができる環境作りをする必要がある」と説明する。

 さらに「自動車メーカーのフォードは、1929年ごろ、クルマをつくると共に、ブラジルにゴム農園を持っていた。なぜなら、そのころはタイヤメーカーというのが存在しなかったため、タイヤからクルマまで、すべての自社でつくらなくてはならなかったからだ。その後、産業規模が拡大することで、タイヤメーカーは独立し、フォードはクルマをつくるだけになっていった。日本のモバイルビジネスは依然として垂直統合となっている。産業規模が大きくなっているのだから、水平分業になってもいいのではないか」と、MVNOの必要性を訴えた。

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