ソフトバンクモバイルのCF型HSDPA対応データ通信カード「C01SI」の実力(1/3 ページ)

» 2007年07月25日 09時49分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 下り最大3.6Mbpsの高速パケット通信が可能なコンパクトフラッシュ(CF)型のHSDPA対応データ通信カード「C01SI」がソフトバンクモバイルから登場した。ソフトバンク3Gのエリアなら全国で利用でき、魅力的な料金プランも備えるこの製品をチェックしてみた。

日本全国で使える唯一のCF型HSDPAデータ通信カード

 ソフトバンクモバイルが発売したC01SIは、ソフトバンクの3Gネットワークで利用可能なHSDPA対応のデータ通信カードだ。CFタイプのHSDPAデータ通信カードとしては、すでにイー・モバイルが「D01NX」を発売しているが、こちらはまだ利用可能エリアが3大都市圏中心で、各地の政令指定都市への展開が始まったばかり。またNTTドコモはHSDPA対応通信カードはPCカードタイプの「M2501」しか発売しておらず、現時点では全国レベルで利用できる唯一のCF型HSDPA通信カードとなる。

Photo 旧モデル「VC701SI」はボーダフォンのイメージカラーである赤いボディが特徴だったが、本機はシックな黒。開発はボーダフォン時代にスタートし、当初は赤いカードになる予定だったという

 C01SIを開発したのは、W-CDMA対応のCF型データ通信カード「VC701SI」と同じセイコーインスツル。ウィルコム向けにも複数の製品を供給している、データ通信カードの定番メーカーであり、VC701SIのレビューでも触れたように、使い勝手を左右するユーティリティの出来にも定評があるだけに、本製品の性能および使い勝手にも期待がかかる。

 カードの形状はCF TypeII Extendedで、付属のPCカードアダプタを装着すればPCカードスロットにも挿入可能。スロットから少々飛び出す部分には可動式のアンテナを備える。

PhotoPhoto アンテナ部はほぼ自由に可動する。側面には外部アンテナ接続端子も準備されているが、外部アンテナは付属していない。使わないときは端子にカバーを付けておける。右の写真は本機とイー・モバイルのD01NXに付属のPCカードアダプタを装着した様子。実はCFカードの奥行きは本機のほうが6.5ミリほど長いのだが、PCカードアダプタの形状が異なるため、アダプタ装着時の出っ張りはほぼ同等になる
PhotoPhoto C01SIとD01NXでは、スロットから飛び出すエクステンド部の厚さがカタログスペックで2.9ミリの違いがあり、並べてみるとこんな感じ。特に不便を感じることはなさそうだ。右はレノボの「Thinkpad T43」に装着した所。出っ張りはCF通信カードとして平均的といったところ。手前の円形のインジケータでは通信方式(待ち受け、パケット、回線交換)が、奥の長方形のインジケータでは電波状態が確認できる。なおW-CDMAとHSDPAの違いはカード単体では確認できない

 VC701SIや、イー・モバイルのD01NXに付属する外部接続アンテナは本機には付属しない。これは本機が外部アンテナなしでもHSDPA本来の通信速度で利用できるよう、チューニングされているためで、外部アンテナを必要としない自信の現れだろう。なおアンテナ接続用のコネクタ自体は側面に準備されている。

 スペック上の通信速度は、HSDPA対応エリアで下り最大3.6Mbps、上り最大384Kbps。HSDPA非対応エリアでは下り最大384Kbps、上り最大64Kbpsでのパケット通信が可能で、回線交換で接続すれば送受信共に最大64Kbpsでの通信もできる。

 ソフトバンクモバイルは詳細なHSDPA対応エリアを公開していないが、本機の発売開始時のリリースでは「全国の政令指定都市および主要都市、首都圏/16号線内、東海/名古屋市および周辺の主要都市、静岡市、関西/京阪神エリア」がHSDPA対応としていた。大都市圏に加えて都道府県庁所在地、都道府県内での主要都市まで既にカバーしているドコモと比較するとまだまだHSDPA対応エリアは狭いが、非対応エリアでもW-CDMAでのデータ通信が行えるので、エリアに関してはさほど気にする必要はなさそうだ。

 幅広いOSのサポートも本機の魅力の1つ。本機は汎用モデム(シリアルポート)としてOSに認識させることが可能なため、Windows Vistaを含むWindows 98 SE以降のWindowsはもちろん、Mac OS X、Linux、Windows Mobile、Pocket PCなど、汎用モデムドライバを標準装備する多くのOSで動作する。実際にLinuxザウルスで使用してみたが、別途ドライバをインストールすることなく汎用モデムとして認識され、プロバイダ(ISP)に「アクセスインターネット」を利用して問題なくインターネットに接続できた。

PhotoPhoto 実際にLinuxザウルス「SL-C760」でC01SIを利用してみた。SL-C760側の処理能力の問題もあるとは思うが、下りのデータ転送速度は569Kbps程度。「その他のモデム」として認識させても、アクセスインターネットをISPとして問題なく接続できた。Windows Mobile/PocketPC/Linux Zaurusでの設定手順などはセイコーインスツルのWebサイト(http://www.sii.co.jp/sb/c01si/download/)で公開されている

 パッケージは2枚組みCDのケース程度のサイズに収められ、保護ケースとしてそのまま携帯することも可能。出張や旅行時などには役に立ちそうだが、日々の持ち歩くには邪魔になるサイズだ。できれば本体+PCカードアダプタを収容できるケースも用意してほしいところ。筆者も体験しているし、身の回りにも例が多いのだが、カードをPCに差しっぱなしだとPCカードスロット側を破壊する恐れもあるので、日常的な利用でもやはり移動中はPCから取り外して携帯したいのだ。

PhotoPhoto パッケージは2枚組のCDケースよりよりも少し厚い程度。本機とPCカードアダプタをきれいに収められ、保護能力も高そうだが、日常的に持ち歩くには大きい
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