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» 2007年09月15日 09時00分 UPDATE

ドコモの定額データプラン、使う前に知っておきたいポイント

ドコモが10月22日から開始する「定額データプラン」は、3大携帯電話キャリアでは初めて、PCからのインターネット接続も定額で利用可能にしたサービスだ。しかし、その利用には制限事項も多い。

[坪山博貴,ITmedia]

 NTTドコモは9月13日、HSDPA対応FOMA端末をPCと接続し、インターネット接続を定額で利用できる新料金プラン「定額データプランHIGH-SPEED」の導入を発表した。料金は最大で1万500円/月と、同じくPCからの利用でも定額利用が可能なイー・モバイルよりはかなり高いが、日本全国で利用出来る点を考慮すれば魅力を感じる人は多いだろう。

 定額データプランは最低料金と上限料金が設定されたいわゆるキャップ制のプランで、50万パケット(1パケット=128バイト/約61Mバイト)までが4200円、50万パケット以降は1パケットあたり0.0126円が加算され、100万パケット(約122Mバイト)以上は1万500円の定額料金になる。定額データプランを利用したいと考える人の多くは、おそらく上限の1万500円に達するくらいのヘビーユーザーが多いだろう。100万パケットに収まるか大きくは越えないという人であれば、7770円/月(ファミリー割引適用後は5827円/月)で無料パケット通信量が120万パケット付いている「データプランL パケットプラス」でもカバーできてしまうからだ。

定額データプランでは音声通話やiモードは使えない

 料金面で注意が必要なのは、まず定額データプラン対応プロバイダとして「mopera U」もしくは「ビジネスmoperaインターネット」を契約する必要があること。また定額データプランは単独で契約する必要がある料金プランであり、「パケ・ホーダイ」や「パケットパック」のように音声料金プランと組み合わせては利用できないことだ。「ひとりでも割50」や「ファミ割MAX50」などの各種基本料金の割り引きも一切適用されない。

 SMSやプッシュトークは利用できるが、これらの通信料金は定額外となり、音声通話、テレビ電話、iモード、iモードメールなどの音声端末向けのサービスはほとんど利用できない。しかも、「(新)いちねん割引」「いちねん割引」「ファミ割MAX50」「オフィス割MAX50」「ひとりでも割50」を契約していた回線を、更新月の翌月以外に定額データプランに変更すると、各種割引サービスの解除料が発生してしまう。

 したがって、HSDPA対応の音声端末で通話やiモードメールとPCでのデータ通信の両方を使いたい場合は、2枚のFOMAカード(SIM)を差し換えて利用しないとかなり不便だ。定額データプランを契約したFOMAカードを取り付けている間は、音声端末は実質PCと接続するモデムとしてしか利用できないからだ。頻繁にPCでのインターネット接続を行う場合は、10月5日から販売開始予定のデータ通信ユニット「A2502 HIGH-SPEED」や、「M2501 HIGH-SPEED」などを別途準備するほうがいいだろう。

利用できるのはWebブラウズやメールが中心──FTPやSSHなどは利用不可

 定額データプランでインターネット接続を利用する際に制限事項があることにも留意する必要がある。基本的に利用できるのはWebブラウズやメールの送受信が中心で、ドコモに確認したところ、ストリーミングサービスやFTP、telnet、SSHなどは利用できない。したがって外部からのサーバーメンテナンスなどにはほぼ利用できないし、グループウェアの利用も外部に公開されたWebベースのもの以外は難しそうだ。

 例外なのはFlash動画で、現状の仕様であればYouTubeの動画などは再生可能だという。Flash動画に関しては企業のWEBサイトなどでも一般的に利用されており、完全には排除できないという側面もあるのだろう。httpやhttpsのポート番号を使うことで、そのほかのサービスを利用できる可能性もあるとは思うが、インターネット接続がmoperaの定額データプラン専用アクセスポイントしか利用できないことを考えると、通信内容でしっかりと遮断される可能性は高い。

東名阪では1.7GHz帯が使える──その分、帯域には余裕あり?

 では通信速度の面はどうだろうか。今のところ、定額データプランが利用できるのはHSDPA対応のFOMA端末のみ。従来のFOMA端末では利用できないので、ユーザーが爆発的に増えるとは考えにくい。とはいえ、音声通話には影響が出ないよう、HSDPAのトラフィックは他の通信よりも低い優先順位でコントロールされるだろう。

 こうしたことを考慮すると、通信速度はあまり期待できないようにも思えるが、意外とそうでもなさそうだ。FOMA初のHSDPA対応端末「N902iX HIGH-SPEED」「M2501 HIGH-SPEED」が登場した当初は1.7GHz帯には対応していなかったが、903iX HIGH-SPEEDの世代からは1.7GHz帯への対応が済んでおり、東名阪では1.7GHz帯も利用できる。

 1.7GHz帯はHSDPA対応端末専用ではなく非対応端末も利用するが、対応しているのは902iSシリーズ以降の端末なので、FOMA端末全体から見ればまだまだ1.7GHz帯の利用は少なく、トラフィックには多少の余裕があることが想像できる。2GHz帯のみを利用する東名阪以外の主要都市部などでは少々不安も残るが、事実上定額データプランで帯域を長時間占有する使い方を許していない以上、当面はWebアクセスレベルであれば通信速度的には不満はでないのではと思われる。もちろんこれはあくまでも筆者の推測でしかないのだが。

エリアの広さは魅力──しかし制限はきつい

 3大キャリアでは、ドコモが真っ先にPC接続時の定額プランを開始したわけで、これは従来から見れば異例といってもいい事態だ。1万500円/月という定額料金も、全国エリアで使えることと通信速度まで考慮すれば、競合他社(イー・モバイル、ウイルコムなど)のサービスと比較してそう高くもないと思えるのだが、やはり利用制限が大きすぎると思う人は少なくないだろう。

 結局PCで何が利用できるのかといえば、メール送受信こそ制限は特になさそうだが、ブラウザ利用に関しては音声端末のフルブラウザと大きく変わらない制限を受けているし(もちろんPCの方が快適だろうが)、ヘビーなモバイルユーザーが利用したいサービスは利用できないものが非常に多い。外出先にときどきPCで快適にインターネット接続を利用したいというユーザーには、最低でも毎月4200円かかる定額データプランは決して安くないだろう。

 もっとも何らかの制限をしないと、有線のブロードバンド接続代わりにも利用されてしまい、限りある無線のリソースを長時間占有されて帯域が窮迫してしまう可能性もある。イー・モバイルが「EMモバイルブロードバンド」契約者にADSLサービスを実質無料で提供しているのも、自宅などでは無線の帯域を解放し、有線接続で利用してほしいという思惑があるはずだ。無線の帯域は有限なので、有線のブロードバンド接続のように好きなだけ利用できるわけではないのだ。

 Webコンテンツもどんどんリッチになっている現状では、下り最大3.6Mbpsという通信速度は魅力的だが、メールと一般的なWebアクセスだけに1万500円/月を毎月払う気になるかと言われれば、筆者はかなり躊躇してしまう。ドコモがこの定額データプランを発表した当日、筆者は何人かの知人から、主に企業の情報システム部門などで導入するケースについて質問を受けたが、利用の制限の話をすると全員が「それでは役に立たない」という反応であった。実際にサービスが開始されないと、何が利用できて何が利用できないかは解らない部分があるのだが、さすがに利用の制限がきつすぎるのではないかというのも正直な印象だ。

 ドコモが3大キャリアでは先陣を切って「PCデータ定額」を実現したことは大いに評価したいし、使い方次第では利用の制限もさほど気にならない人もいるだろう。確かに最近問題になりつつある、ユーザーの勘違いによるPC接続利用での巨額な請求が起きるようなトラブルは防げるはずだし、「パケ・ホーダイ」とは別に「定額データプラン」が提供される事で、PC接続時の料金の認知も進むだろう。また現時点では対抗サービスを発表していないソフトバンクモバイルでは、「パケットし放題」でPCサイトダイレクト(PDA型端末でのインターネット利用)を利用した場合の上限料金が1万290円(ブループランならばパケット定額Bizで5985円)であることを考えるとリーズナブルさも感じるが、発表を受けてもそういった事しか思いつかないのもまた事実。正直ドコモがこの内容だと、auの対抗サービスも似たような制限が設けられてしまうのではないか……という不安すらよぎる。

 イー・モバイルが、エリアが限られるとはいえ無制限のPCデータ定額サービスの提供を始めた後の発表で期待が大きかっただけに、少々期待はずれだった事は否めない。仮に「定額データプラン」が「パケ・ホーダイ」の延長上に位置づけられ、音声契約+1万500円でPC接続も定額ならば、HSDPA対応端末さえあれば手軽に使え、PC接続時に多少利用の制限がきつくても、もっとインパクトのあるサービスになったのではと思うのだが。

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