シャープは3月4日、同社のモバイルTV放送受信用チューナーモジュールの説明会を開催した。
2月20日に、シャープは世界最小クラスのワンセグチューナーモジュール「VA3A5JZ922」を発表し、2月29日からサンプル出荷を開始していることもあって、最新モジュールの5.9(幅)×5.9(高さ)×0.9(厚さ)ミリというコンパクトを実現するまでの経緯などを紹介したほか、世界のモバイルTV市場へ向けた取り組みなども説明した。
シャープのチューナーモジュールを企画・開発しているのは、電子部品事業本部の高周波デバイス事業部だ。この事業部は、シャープが家庭用のブラウン管テレビを開発していたときに、高周波関係デバイスの開発を手がけていた部門が母体となっており、テレビの進化をデバイスレベルで支えてきた部門。副事業部長の宮本雅之氏は「ワンセグ放送が始まるのに合わせて、指先に乗るコンパクトな初代ワンセグチューナーを提供したように、我々は新しい放送の方式や新しい視聴方法に対応するための製品を提供してきた」と胸を張る。
そんな高周波デバイス事業部が、チューナーモジュールを開発するに当たって重視しているのが
という3つの要素だ。この3要素のすべてが業界の最先端を行くスペックになることを目標に製品開発を進めている。
小型化や薄型化は、携帯電話などに搭載することを前提としたワンセグチューナーには必須の要件だ。より多くのデバイスに搭載するためには、チップやモジュールのサイズは小さいほうが使いやすい。また消費電力も、ワンセグの連続視聴時間を延ばすためだけでなく、デバイスに搭載された他の機能に影響を及ぼさないためにも低いに越したことはない。そして、モバイルTVはビル内や移動する車など、受信環境が悪い場所で視聴するケースも多々あるため、受信感度は高く、そしてノイズなどの妨害電波には強い必要がある。
2月20日に発表した最新モジュール「VA3A5JZ922」は、シャープ製のワンセグチューナーモジュールとしては第4世代目となる製品だ。2006年2月に量産を開始した第1世代のモジュール「VA1A5JZ9902A」は、10(幅)×10(高さ)×1.5(厚さ)ミリ(体積150ミリ立方メートル)というサイズだった。これでも当時は十分小さかったのだが、翌2007年1月から量産を開始した2世代目の「VA35JZ9910」では、9(幅)×9(高さ)×1.5(厚さ)ミリにサイズダウン。面積を約19%小さくした。さらに2007年9月に量産を開始した「VA3A5JZ912」では面積を34%小さくし、厚さも17%削減して7.3(幅)×7.3(高さ)×1.25(厚さ)ミリまで小型化した。それをさらに面積で35%、厚さで28%小さくしたのが最新のモジュールだ。体積で比較すると、VA3A5JZ922は第1世代のVA1A5JZ9902Aから約80%も小さくなっていることになる。
このVA3A5JZ922は、業界最小のパッケージサイズを実現しているだけでなく、新しい高周波ICを採用して性能を高めつつ消費電力を低減。消費電力は80ミリワットと業界で最少クラスを実現した。高感度特性も業界最高レベルの−109dBm(ワンセグ換算、13チャンネル受信時。信号条件はQPSK、コードレート2分の1)を達成しているという。
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