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» 2008年03月06日 23時54分 UPDATE

モバイルビジネス活性化プラン評価会議 第1回:“活性化プラン”でモバイル業界は変わったのか──総務省が評価会議を開催 (1/2)

総務省は3月6日、モバイルビジネス活性化プランの発表後、業界がどのように変わったか、どのように機能しているかを評価する会議の第1回会合を開催した。

[石川温,ITmedia]
Photo モバイルビジネス活性化プラン評価会議

 3月6日、総務省で「モバイルビジネス活性化プラン評価会議」が開催された。この評価会議は、2007年にモバイル業界についてさまざまな議論が行われ注目を集めた「モバイルビジネス研究会」の成果として2007年9月に発表された「モバイルビジネス活性化プラン」が、その後どのように機能しているかを評価する場として位置づけられている。

 2007年1月から9月にかけて開催されたモバイルビジネス研究会では、メーカーの国際競争力強化、販売奨励金によるユーザー間の不公平感の解消、MVNOの促進などが議論され、最終的には「モバイルビジネス活性化プラン」がまとめられた。

 その後、通信料金と端末代金を分かりやすく分離するという視点から、ドコモとKDDIは新しい販売方式を導入した。端末の割賦販売制度なども一般的になってきている。SIMロック解除の議論も、2010年までの検討課題とするなどの見直しを図ってきた。

 モバイルビジネス活性化プラン評価会議では、これらを踏まえて携帯電話市場がどう変化してきたか、そしてそれは正しい方向に向かっているのかを議論する場になる。

座長は東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏

 評価会議では、増田寛也総務大臣が挨拶をしたあと、座長の選出が行われた。座長には、前回のモバイルビジネス研究会と同じく、東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏が就任した。

PhotoPhoto 会議の冒頭で挨拶する総務大臣の増田寛也氏(左)と評価会議の座長に選出された東京大学名誉教授の齊藤忠夫氏(右)

 斉藤氏は就任の挨拶で「昨年の9月に、インパクトのある報告書ができた」とモバイルビジネス活性化プランを評価した。

 「現在のケータイビジネスの世界は、長期間にわたり端末の販売奨励金が支払われてきたことで、いびつな構造になっており、料金の高止まり、MVNOの障壁などによって、海外とは異なる市場になってしまったこと、そしてそれがモバイルビジネスの発展の妨げになっていた」と齊藤氏は言う。「今の日本のモバイルビジネスは、日本のなかで閉じたシステムになっており、日本のベンダーの海外進出が困難になっている」(齊藤氏)

 しかし報告書によって、販売奨励金の見直しや、料金の低下など、今後の発展につながる兆しが見えてきたという。「いままで、業界で苦労してきた人によりより結果が得られるようにするのが活性化プランの目的。ぜひ、進捗状況について議論いただき、発展性のあるよう、ご協力していただきたい」(齊藤氏)

通信料金と端末代金を分けた分離プランが登場したが……

 挨拶のあとは、総務省の谷脇康彦事業政策課課長が、ここ最近の市場動向、施策に対する成果などを説明した。

 モバイルビジネス活性化プランでは、ユーザーが端末を購入する際に、販売奨励金を支払うことで端末代金を低く抑え、その後通信料金で回収するという従来の端末の販売モデルは、通信料金と端末価格を一体化してきたことで「垂直統合による多様性のあるサービスが生まれてきた」と評価した。一方で、「不透明性があり、ユーザー間に不公平感がある」として、携帯事業者各社に、通信料金と端末代金を切り離した“分離プラン”の方向性を打ち出し、区分を明確化するよう求めた。

 その結果、販売方式については、NTTドコモが「バリューコース」と「ベーシックコース」、KDDIが「フルサポートコース」と「シンプルコース」という新しい方式を開始し、通信料金と端末代金がある程度分離された。また割賦販売方式はすでにソフトバンクモバイルやウィルコムが導入済みであることも報告された。

 ただし分離プランに関しては、現状の問題点として、「販売奨励金が電気通信費の“費用”として計上しており、これを原価として接続料が決まっている。(販売奨励金は)自社の端末を売るための営業経費なのに、他事業者にも負担させている」点が指摘された。この点は今後見直しをする予定で「販売奨励金は付帯事業に付け替えるよう整備していく」(谷脇氏)ことが改めて取り上げられた。現在は、事業者によって会計上の販売奨励金の位置づけが異なるため、総務省はこの販売奨励金をどう扱うべきか、というガイドライン案を策定。2月29日に公表し、パブリックコメントを求めている。

ネットワークのオープン化とMVNOは今後も促進

 ネットワークのオープン化については、アメリカの事例が紹介された。アメリカで行われた周波数オークションでは、オープンプラットフォーム対応が落札の条件とされているものがある。落札した事業者がサービスを提供する場合、ユーザーは端末やアプリケーションを自由に選択してネットワークを使えることが条件となっているのだ。これはバンドル型ではなくアンバンドル型を指向したものであり、多様な端末が登場することが期待されているため、「アメリカの動きに注目していきたい」と谷脇氏は話した。

 MVNOに関しては「インターネットサービスプロバイダーがモバイル市場に参入してきており、大きな市場拡大効果がある。さらに具体的な施策展開をしていきたい」(谷脇氏)という。総務省では、これまで複数あった担当窓口を一本化し「MVNO支援相談センター」を設置。事業化ガイドラインの見直しや周波数割り当て時のMVNO対応を義務づけてきた。

 また先頃日本通信とNTTドコモとの間で起こったMVNOに関する紛争も紹介された。この件では、紛争処理委員会により、MVNO側が全体の料金設定が可能となり、エンドエンド料金の定額制も制度上できるよう勧告が出されている。

 「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」は、新競争促進プログラム2010にのっとって、2007年2月に改定されたが、現在も新たに再改定作業を進めている。MVNOとMNOの関係についてガイドラインをさらに改定し、意見募集を行って、2007年度末を目途に決定する予定だ。

 また地域活性の観点から、緊急プログラムがまとめられている。地域限定のMVNOとして、「ふるさとケータイ事業」が企画されているという。

 さらに総務省では、現在垂直統合モデルのなかでキャリアが一括管理している認証、課金のプラットフォームを見直し、さらなる市場が発展ができるようにと「通信プラットフォーム研究会」を立ち上げた。

 一般に「ケータイソムリエ」と言われている携帯電話販売員の検定試験に関しては、「販売員の資質向上を図ることが重要。検定試験をやる場合、総務省が後援する立場をとる。主体は総務省ではなく、非営利の団体がやり、総務省が後援することで公平中立性を担保したい」(谷脇氏)と、総務省の立場を改めて示した。

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