連載
» 2008年07月14日 07時00分 UPDATE

ケータイの未来を創る“裏方”列伝:手ブレ補正、フレーム補間、その先で目指す“ケータイを変える”技術は――モルフォ(後編) (1/2)

“青山のデニーズ”で生まれたケータイ向け「6軸手ブレ補正」技術で成功を収めたモルフォが次に取り組んだのが、“ワンセグや動画再生のクオリティを上げる”フレーム補間技術だ。次々とトレンド機能をケータイに載せていくモルフォが、次に開発する技術とは?

[荻窪圭,ITmedia]

 モルフォは、名前こそ知られてないIT系ベンチャー企業であるが、同社が開発した技術は多くのケータイユーザーが日常的に利用しているはずだ。その代表がケータイカメラ向け手ブレ補正技術の「6軸手ブレ補正」。NTTドコモの“Nシリーズ”を筆頭に、2008年春夏モデルでは18モデルに採用されている(連載の前編参照)。

 連載の後編では、同社が手がけるブレ補正以外の技術についてあれこれと聞いてみた。

 モルフォが手がけたケータイカメラ向け技術の第3弾は「顔検出」。第1弾、第2弾として登場した静止画・動画の手ブレ補正とは無関係の技術だ。顔検出は、デジタルカメラの世界では2007年にブレイクした機能で、今どきのカメラには“もはや不可欠、あって当たり前”というものだ。レンズを向けるだけでフレーム内に人の顔を見つけ、その顔に合わせてピントを合わせる。機種によっては明るさや色調を調整した撮影も可能だ。デジタルカメラ以上に人を撮る機会が多いケータイでも、ニーズが高いのは確かだ。

静止画手ブレ、動画手ブレを経て“顔検出”に進出

Photo モルフォ代表取締役社長の平賀督基氏

ITmedia(聞き手:荻窪圭) モルフォのケータイカメラ向け技術の第3弾は「顔検出」だそうですが、手ブレ補正の次が「顔検出」というのはちょっと意外でした。今までの手ブレ補正や動きベクトル検出とはまったく違った技術ですよね。

モルフォ社長の平賀督基氏(以下、平賀氏) そうです。技術的には今までの延長というわけではなく、根っこの技術は別のものです。ただ、デジタルカメラの顔検出は専用のチップで行っていますが、ケータイではすべてソフトウェアで行う必要があります。そのノウハウが我々にはあります。

ITmedia そもそも、なぜ顔検出を始めたんでしょう?

平賀氏 画像処理において顔検出は外せない要素技術ですし、自分たちで持っておきたかったのです。これも一からスクラッチして開発しました。

ITmedia 一から開発するには、“検出の方法をどうするか”という基本から考えないといけないですよね。

平賀氏 そのあたりは、特許や論文をチェックして調査しました。それを見た中で我々はどんな方法でやろうか考えたり、さらにアイデアを加えたりしてできてます。実は、あるエンジニアに「おまえは顔(検出の開発)だけをやれ」と。エンジニアというよりは当時は学生だったんですが、今は当社の社員になってます(笑)。

ITmedia 顔検出技術自体はすでに、同様の技術が他社からも出ていますが、モルフォが開発した顔検出のウリは?

平賀氏 “少ないリソースでどれだけコンパクトに処理できるか”という点が強みですね。質的には、他社のものと比べて極端に違うこということはないんです。それでも“検出の速さ”“どれくらい小さな顔もみつけられるか”“逆光でも見つけられるか”という点においては、がんばっています。

 近くにライトがあったりすると光の当たり方で変わったりするので難しいですが、我々の顔検出は、暗かったり日陰であっても検出しやすいですし、“顔がけっこう斜めになってても認識する”という特徴があります。まだいろいろ改善中なので、今後もどんどんバージョンアップしていく予定です。

モルフォ広報担当の西谷友希氏(以下、西谷氏) この最新の顔検出技術は、シャープの「SH906i」に採用されています。

Photo 傾いた顔でも検出できるのが、モルフォの顔検出の特徴

“ワンセグのクオリティを上げる”ためのフレーム補間

ITmedia 最後に、第4弾の「フレーム補間」(FrameSolid)です。

平賀氏 ケータイのカメラに関していうと、“デジカメで流行ってる技術がケータイに入ってくる”という傾向があります。手ブレ補正も顔検出もそうですね。それが、ワンセグでいうとテレビですね。テレビでは今フレーム補間が流行なんです。それがケータイにくるだろう、と。

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