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» 2008年12月09日 01時13分 UPDATE

「ケータイ向け音楽配信では最高のビットレート」――「着うたフルプラス」導入の狙い (1/2)

KDDIは、コンパクトなボディに本格的な音楽機能を搭載した「Walkman Phone, Xmini」と、320kbpsという高ビットレートの「着うたフルプラス」を、“au BOX”と“秋冬モデル8機種”に続く第3弾として発表した。KDDIは、“音楽のau”として注力してきた音楽サービスをさらに強化する。

[田中聡,ITmedia]

 「高音質化を他社に先駆けて行うのがauのプライド」――KDDIが2008年秋冬の新機種・新サービスの“最終章”として発表した「Walkman Phone, Xmini」と「着うたフルプラス」には、音楽サービスをリードしてきた同社のこだわりが込められている。

より原音に近い音質を実現する「着うたフルプラス」

 KDDIは2002年12月に着信メロディの進化形として「着うた」をスタート。2004年12月には楽曲を1曲丸ごとダウンロードできる「着うたフル」、2006年1月にはケータイとPCの総合音楽サービス「LISMO」を開始した。さらに2008年2月には、ソニーの「ウォークマン」や「ネットジューク」も含めて、ケータイで着うたフルやATRAC楽曲を共有できるLISMO「オーディオ機器連携」を導入。他社が着うたや着うたフルに対応するなど、追随する動きを見せても常に“一歩先”を目指し、ケータイ業界の音楽サービスをけん引してきた。

photophotophoto 着うたフル→LISMO→LISMO「オーディオ機器連携」と、auの音楽サービスは着実に進化し続けてきた(写真=左)。着うたフルのダウンロード数も順調に伸びている(写真=中)。KDDIはこれまでも、音楽機能を追求した「ウォークマンケータイ」を2機種投入した(写真=右)
photo KDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ事業統轄本部長 高橋誠氏

 今回KDDIが発表した着うたフルプラスは、コーデックにAACを採用し、ケータイ向け音楽配信では最高のビットレートとなる320kbpsを実現するのが最大の特徴。そしてこの着うたフルプラスをはじめ、音楽を満喫できるモデルとして登場するのが、音楽機能に特化したWalkman Phone, Xminiだ。

 KDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ事業統轄本部長の高橋誠氏は、今回の大きなテーマとして以下の3点を挙げた。

  1. 圧倒的な音楽機能を持つケータイ
  2. オリジナルに近づいたケータイ音楽配信
  3. 多様なリスニングスタイルへの対応
photo ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長 木戸良朗氏

 圧倒的な音楽機能を持つケータイとは、音楽機能にこだわった新しいアプローチから生まれたWalkman Phone, Xminiのことだ。同端末は“ウォークマンありき”で開発されたモデルで、コンパクトなボディに4Gバイトの内蔵メモリを備え、閉じたまま操作できるタッチセンサーキーや高音質なクリアオーディオテクノロジーを搭載する。

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長の木戸良朗氏は「Walkman Phone, Xminiには、『コンパクトなボディ』『個性的なカラーリング』『優れたウォークマンの音楽機能』という3つの特徴がある。この機種は音楽ケータイの新しい世界をさらに広げていくと信じている」と話した。

photophotophoto 「Small-Revolution」がコンセプトのWalkman Phone, Xmini。カラーは4色をそろえた

 オリジナルに近づいたケータイ音楽配信を具現化したのが、AACコーデック、320kbps、44.1kHzのサンプリング周波数を採用した着うたフルプラスだ。KDDIはこれまでヤマハの「DBEX」やビクターの「netK2」など音質改善への取り組みを行ってきたが、音質改善を求める声は依然多いという。

 「新しいサービスを始めると、お客さんの要望はどんどん高くなっていく。『ケータイの音楽配信はまだまだ音質が悪いのでは?』という声があるので、今回もう一歩前へ進んで、ケータイ向け音楽配信では最高の320kbpsまでビットレートを上げた」(高橋氏)

 HE-AACコーデックでビットレートは48kbpsの着うたフルは高音域があまり出ないが、着うたフルプラスは、より原曲に近い音質を実現する。「高音質化を他社に先駆けて行うのが我々のプライド。着うたフルプラスは、他キャリアの音楽サービスと比較してもかなりいい音が出る」と高橋氏は自信を見せる。

photophoto KDDIは「音楽メディアへの要望」として上位に挙がった「視聴環境に適している」と「音質が良い」に着目した(写真=左)。着うたフルプラスでは、より原音に近い音質を実現した(写真=右)
photophoto 写真左が着うたフルとCD楽曲のサンプリング周波数(ピンクのグラフがCD楽曲、ブルーのグラフが着うたフルの周波数)。着うたフルは、15KHz以上の高音域がCD楽曲よりも低くなっている。写真右が着うたフルプラスとCD楽曲のサンプリング周波数(ピンクのグラフがCD楽曲、ブルーのグラフが着うたフルプラスの周波数)。2つのグラフが重なっており、着うたフルプラスは原曲のCDの周波数とそれほど変わらない

有料サービスでしかできないものを追求する

 KDDIは、着うたフルプラスを開始する12月下旬に「au one ミュージック」に着うたフルプラスの特設コーナーを設置し、先行配信を行う。特設サイトでは、レーベルモバイルが運営する「レコード会社直営♪」の参加レコード会社から約1000曲を配信し、今後も随時追加していく予定だ。

photo レーベルモバイル 取締役 代表執行役社長 今野敏博氏

 レーベルモバイル 取締役 代表執行役社長の今野敏博氏は「着うたフルプラスの320kbpsは世界的に見ても相当な高音質。レコードディレクターとして10年ほど仕事をしてきたが、スタジオでレコーディングしていい音を作るのには非常に苦労した。今回、高音質の音楽をユーザーの方にお伝えできるのは非常にうれしい」と、着うたフルプラス誕生の喜びを語った。

 また、今野氏は着うたフルの違法配信が増えている問題にも触れ、「有料コンテンツと同じくらいの量の違法コンテンツが存在する。今後は有料サービスでしかできないものを、より追求していきたい」と話した。

 多様なリスニングスタイルを実現するため、着うたフルプラスはPCやHDDコンポ「ネットジューク」へのバックアップやウォークマンへの転送ができるほか、Bluetoothによるワイヤレス再生もサポートする。自宅でも屋外でも場所を選ばず、auの音楽サービスを高音質で楽しめる。

photophotophoto 着うたフルや着うたフルプラスは、さまざまな環境や機器で楽しめる(※着うたフルプラスはau BOXにはバックアップできない)

2009年1月、10数機種の春モデルを発表する

 Walkman Phone, Xminiの登場で、auの2008年秋冬モデルは「W64T」「Woooケータイ W63H」「EXILIMケータイ W63CA」「AQUOSケータイ W64SH」「W65T」「W65K」「W64S」「W62P」「島耕作ケータイ」「W06K」「W07K」を含め全12機種がそろう。

 高橋氏はドコモが2008年冬モデル(実際は2009年春モデルも含む)を22機種発表したことを受け、「他社は来年の春も含めて20数機種を発表されていて、auは『ちょっと数が少なくて元気がない』と思っている方もいらっしゃるようだが、2009年1月には春モデルを10数機種発表する。秋冬モデルも含めて20数機種をきっちりとラインアップする」と予告。「元気なauとして一歩前へ進んでいきたい」とアピールした。

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