Evernote日本法人の解散、「アプリ終了」との誤解につながる サービス改悪、告知不足がユーザー離れに拍車

» 2024年04月26日 22時30分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 オンラインメモサービス「Evernote」の日本法人、エバーノート(東京・中央区)が解散する。法律、政令などの広報に利用される官報で公表した。突然の公表にユーザーからは戸惑いの声が相次ぐ。中には「サービス終了」とのデマもある。

Evernote エバーノート 改悪 告知 日本法人の解散 Evernoteアプリ
Evernote エバーノート 改悪 告知 日本法人の解散 エバーノートの解散について(官報)

 Evernoteは2000年にステパン・パチコフ氏が立ち上げた。スマートフォンやPCの普及が進むに連れ、メモなどのテキストだけでなく、画像、動画、音声、PDFなど、多様なファイルを扱えるようになり、Evernoteの名は世に知れ渡ることになった。

 2010年3月には日本語対応を果たし、同年6月には日本法人のエバーノートが設立された。さらに、iモード対応のフィーチャーフォン(同年に主流だった携帯電話)でもEvernoteを使えるなど、利便性が高まった。

 2014年には日本経済新聞社から2000万ドル(当時で約23億円)の出資を受け、Evernoteで日経記事の表示や引用が可能になった。

 日本市場に力を注いできたEvernoteだったが、2023年1月、Evernoteはイタリアのテクノロジー企業、Bending Spoonsによって正式に買収された。Bending Spoonsは動画や画像の編集ツールを提供する企業だ。

 同じ年の11月には無料プランの仕様変更を発表。ユーザーが作成できるノートブックの数は最大250から1つに制限され、作成できるノートの数は最大10万から最大50へと大幅に減った。これが反感を生み、結果として「改悪」と評されることになった。

 これまでの動きの中には、「Evernoteヘルプと学習」などで案内される場合があり、ユーザーへの安心感につながっていたように思う。

 今回、筆者が大きく注視したのは「Evernoteの買収に関するよくある質問」というページだ。このページにはBending Spoonsによる買収について記載されているが、概要のすぐ後に「Evernoteはなくなりませんか?」という小見出しがある。

 これが意味するものは先にも述べた安心感だ。買収に関する発表や案内は通常、ニュースリリースやプレスリリースとして、メディア向けに送付されるが、Evernoteは日本のユーザーに対して、日本語で丁寧に買収の概要と、ユーザーが気になるであろう疑問に答える形で、Evernoteの買収に関するよくある質問というページを公開していた。

Evernote エバーノート 改悪 告知 日本法人の解散 「Evernoteの買収に関するよくある質問」と題したページ

 日本のユーザーを大切にしていたはずのEvernoteだが、日本法人の解散についてはユーザーやそうでない人が閲覧できる「お知らせ」には掲載されていない。Evernote Japanの公式Xアカウント(@EvernoteJP)を見ても日本法人の解散に関する案内は見当たらない。

 日本法人の内部の動きは当然、外の人間からは見えないが、「EvernoteにAI検索がやってきました」という投稿を最後に同アカウントによる更新は途絶えている。あるタイミングで広報活動がストップしているようにも見える。

Evernote エバーノート 改悪 告知 日本法人の解散 2023年10月の投稿を最後に更新が途絶えたEvernote Japanの公式Xアカウント

 今回、明らかになった日本法人の解散を受け、一部のユーザーが「サービス終了なのか?」「使えなくなるのではないか?」などという疑問をXで発信しているが、2024年4月26日21時の時点でサービス終了の案内はなく、App Store/Google Play/Microsoft Storeからダウンロードして利用できる。

 ただ、一度貼られた「サービス改悪」のレッテルは簡単に剥がせないことに加え、ユーザーへの案内が不足したことがユーザー離れに拍車を掛けそうだ。

2024年4月27日4時5分追記

 Evernote公式Xアカウント(@evernote)が日本法人の閉鎖とサービスの継続提供について発表した。

【修正:4月28日20時40分】初出時、Bending Spoonsを「欧州のテクノロジー企業」と説明しましたが、正確にはイタリアに本社を置く企業であるため、「イタリアのテクノロジー企業」としました

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. どこでもウユニ塩湖? 3COINSで550円の「スマホ用反射ミラークリップ」を試す (2026年03月12日)
  6. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  7. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  8. 「Galaxy S26」シリーズはどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年03月11日)
  9. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  10. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年