インタビュー
» 2012年04月12日 18時00分 UPDATE

開発陣に聞く「GALAXY Note」:紙ではなく“手帳”を再発明――「GALAXY Note」が開く新しい1ページ(後編) (1/2)

スマホより大きくタブレットよりも小さい。そんな絶妙なサイズ感とこれまでにない快適なペン入力が話題の「GALAXY Note」。その開発経緯や狙いを、Samsung電子の担当者に聞いた。

[平賀洋一,ITmedia]

 前回紹介した通り、GALAXY Noteは全世界で好調なセールスを記録し、韓国では大ヒット製品となった。Samsung電子 常務のキム・ジョンイン氏によると、韓国内のGALAXY Noteユーザーは男性が53%女性が47%と意外に女性が多く、年齢では20代と30代が73%を占めている。

photophoto NTTドコモ版の「GALAXY Note SC-05D」

photo Samsung電子 常務のキム・ジョンイン氏

 通常のスマートフォンと比べて端末の価格がやや高いため、職業別では収入に余裕があるホワイトカラーが主な購入層だが、学生のユーザーも目立つという。手書き入力の快適さを評価して、デザイナーなどのクリエイティブな職業や、記者といったマスコミ関係の利用者も増加中とのことだ。

 GALAXY Noteの普及で、ユーザーのライフスタイルが大きく変わった――ということはまだ無いそうだが、GALAXY Noteユーザーが多いSamsung電子社内では、仕事の進め方が確実に変わってきているという。

 「まず、社内で紙の手帳を持ち歩く人が減っている。会議の際には紙の手帳とスマートフォン、そしてペンを持ち歩いていたが、こうした光景が少なくなった。また従来はPCでないとできなかった仕事が、GALAXY Noteで済むようになった点も挙げられる。それはタブレットでも可能だが、常に持ち歩けるサイズではない。移動中でもオフィス文書を開いて、しかも手書きで用件を付け加えて返信できるため、意思決定がより速くなった」(キム・ジョンイン氏)

photo Samsung電子社員が示してくれた変化の一例。右手の紙の手帳にスマートフォン、そしてペンという組み合わせが、左手のGALAXY Note1台で済むようになった

 日本国内への投入は、韓国を始め各市場での成功を経てからになったが、キム・ジョンイン氏はこの時期になった理由について「日本向けの特殊な仕様のために、投入が遅くなった。(日本の)LTEに対応させる都合も少しある」と説明。手書きによる日本語テキスト入力を実現するため、定評のあるMetaMoJiの「7notes with mazec」をプリインストールしたと補足する。7notes with mazecは単独の手書きメモアプリでもあるが、日本語入力システムとしても振る舞うため、ほかのアプリでも自然な手書き日本語入力が可能だ。

 グローバル版と国内版の違いの1つが、用意されるボディカラー。今のところドコモ版ではCeramic Whiteの1色のみで、オレンジ色のフリップカバーが付属する。ほかの市場ではボディカラーにブラックをラインアップし、カバーは付属しない。その理由についてキム・ジョンイン氏は、「フリップカバーが付属するのは日本だけ。上層部からはコストがかかると反対されたが、無理に通した。その理由は、日本がモバイル業界にとって特別な市場だから」と話す。Androidを搭載する1つの製品としてはもちろん、新カテゴリーを切り開く革新的な製品である以上、日本での成功が欠かせない要素だという。

 製品のアップデートについては、韓国と欧州でAndroid 4.0(ICS)のバージョンアップが始まっている。日本向けにも準備が進められているが、提供するかどうかや時期などの判断はドコモに委ねられる。キム・ソンシン氏は「早く提供したいという気持ちでいっぱい」と話す。具体的な説明は伏せられたが、Android 4.0では手書きを生かした機能がさらに増え、数式計算を手書きで入力できるアプリなどもサポートされるようだ。

ペンとタッチ、どちらも主役

 GALAXY Noteの製品デザインなど、開発時の様子をSamsung電子 責任研究員のパク・サンシク氏とパク・ヨンソク氏の両氏に聞いた。パク・サンシク氏は主に製品のデザインを、パク・ヨンソク氏はUIやUXを担当した。

photophoto Samsung電子 責任研究員のパク・サンシク氏(写真=左)とパク・ヨンソク氏(写真=右)

 なにかと議論されるGALAXY Noteのサイズについてパク・サンシク氏は、事前のユーザー調査を繰り返して決定したと振り返る。端末デザインは2009年ごろに着手したが、製品企画や市場調査はそれ以前から進められていた。

 「ユーザーが最も望むサイズをもとに、ボディのデザインを決定した。ボディが大きいので、薄く見えるようにデザインしている。実サイズよりも1ミリくらい薄く見えるため、手にしやすいデザインになった。本体フレームが薄くできたのは、Samsung電子の技術力ならでは」(パク・サンシク氏)

 GALAXY Noteのデザインやそのフォルムは、GALAXYシリーズに共通するものが多い。例えばディスプレイ下部の物理式のホームキーと、センサー式のメニューキー/戻るキーという組み合わせは、過去のシリーズと同じ。これは「Samsung全体のアイデンティティ」(パク・サンシク氏)のためだという。ただ付属のSペンではセンサーキーを操作できないなど、まだ消化不良の面があるのは残念でもある。

 Sペン自体のデザインやボタンのレイアウトなどは、技術を提供したワコムの判断が生かされている。商品企画担当のキム・ジョンイン氏が説明したように、Sペンは収納式のため太さや長さに制限があるが、その中で持ちやすさを最大限追求した。またペンの後ろの部分は、収納時に端末ボディとなじむようにしつつ、ボディから取り出しやすいデザインを採用している。

photophoto Sペンと収納部

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう