紙ではなく“手帳”を再発明――「GALAXY Note」が開く新しい1ページ(前編):開発陣に聞く「GALAXY Note」(1/2 ページ)

» 2012年04月11日 17時35分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo 「GALAXY Note SC-05D」

 4月6日にNTTドコモから発売されたSamsung電子製の「GALAXY Note SC-05D」は、5.3インチの有機ELディスプレイを搭載したAndroid端末。スマートフォンとしてはやや大型だが、タブレットと比べると小型で、片手操作も行える。このボディのサイズ感に加え、手書き入力のための専用スタイラスペンが本体に収納できるのも、Androidデバイスとしてはユニークな点だ。

 グローバルでGALAXY Noteが発表されたのは、2011年9月にドイツ・ベルリンで行われたコンシューマー・エレクトロニクスショー「IFA 2011」の開催前日。以降、1月の世界最大の家電見本市「2012 International CES」(米国・ラスベガス)ではLTE対応と北米での発売がアナウンスされ、2月の「Mobile World Congress 2012」(スペイン・バルセロナ)では10.1インチディスプレイのタブレットモデル「GALAXY Note 10.1」も発表された。この間、GALAXY Noteは欧州、韓国、東南アジア、米国で発売され、3月末時点の累計販売数は500万台に達するという。そしてこの4月6日には、日本国内でも販売が始まった。

 電子手帳からPDA、そしてスマートフォン・タブレットへの栄枯盛衰を振り返ると、5.3インチというディスプレイサイズやペンによる手書き入力など、GALAXY Noteの製品コンセプトはかなり冒険的といえるだろう。Samsung電子は一体どんな狙いでGALAXY Noteを開発したのか? Samsung電子の開発スタッフに、韓国・ソウルで話を聞いた。

開発テーマは新カテゴリーの開拓

photo Samsung電子 常務のキム・ジョンイン氏

 「GALAXY Note開発のテーマは2つ。1つは新しいセグメントを作ろうというもの。もう1つは、『ペン入力』へのニーズに応えること」と話すのは、GALAXY Noteの商品企画を統括するSamsung電子常務のキム・ジョンイン氏。特にディスプレイサイズについては、「携帯電話はすでに電話するものではなく、情報を見るものに変わった。それならばディスプレイは大きい方がいい。Webブラウジングやオフィス文書の編集が快適に行えるサイズの限界はどこか? GALAXY Noteの開発はそこを追求した」と振り返る。

 モバイルデバイスにとっての“理想のディスプレイサイズ”は、永遠のテーマと言っていいだろう。小さければ持ち運びに便利だが視認性が劣る。大きければ見やすいが持ち運びには向かない。その中間のサイズであっても“帯に短し、たすきに長し”で、どっち付かずの評価が下されることも少なくない。キム氏は「過去、5インチクラスのあいまいなサイズの機種がいくつもあった」と指摘したうえで、さらにこう続ける。

 「それが失敗した理由は、ディスプレイの大きさに見合ったバリューを与えられなかったからだろう。ポータビリティを確保しつつ、新しいバリューをユーザーに提案しないと、このサイズ(5インチクラス)の製品は失敗する」(キム氏)

 ディスプレイを作る技術や扱う情報は時代によって変遷し、どのサイズがベストなのかは常に変動する。しかし、そのデバイスを持ちたいと思わせるきっかけが明確でなければ、あいまいな製品のままで終わるというわけだ。言うまでもなくGALAXY Noteにとってのバリューは高精度のペン入力を実現した点であり、そのディスプレイサイズは視認性だけでなく、ペン入力を快適に行うために必要なサイズとして十分な説得力を持っている。もちろん大きくするだけでなく、持ちやすさへの配慮も忘れてはいない。

photophoto

 「ディスプレイは5インチと大きいだけでなく、WVGA(1280×800ピクセル)と解像度も上げた。それと同時に、ボディのグリップ感も高めている。幅は90ミリを切っており、他メーカー(の5インチ超デバイス)よりもグリップ感に優れる。携帯電話市場で売れている端末はスマートフォンが半分以上になりつつあるが、タブレットより小さいデバイスにとって、今後は持ち歩けるサイズの限界がポイントになる」(キム氏)

もう小さなディスプレイには戻れない

 いわば“5インチ市場”ともいえるこのクラスのマーケットを掘り起こしたGALAXY Note。Samsung電子のお膝元である韓国では、売れ行きがかなり好調だ。キム氏によると、「韓国の携帯電話市場では毎日7万台の端末が販売されている。このうち6万台がスマートフォン。その半分の3万台がLTE対応の端末。そしてさらに半分の1万5000台がGALAXY Note」だという。韓国ではGALAXYシリーズのシェアが6割くらいあるそうで、新しいGALAXYシリーズへの乗り換えがもともと多い。それでも、販売シェアが20%を超えるとは、かなり驚異的な売れ方だ。この人気の裏付けとして、キム氏はディスプレイサイズについてのユーザーアンケートの結果を示してくれた。

 「今のスマートフォンを機種変更する場合、ディスプレイサイズは小さい方がいいのか、同じでいいのか、大きい方がいいのか。これを質問した。GALAXY S IIのユーザーは70%が『同じか、より大きいサイズが良い』と答え、またiPhoneのユーザーは約9割が『より大きいサイズが良い』と回答した。人間は慣れの動物なので、より大きなディスプレイに慣れると、小さいディスプレイには戻れない」(キム氏)

photo 左から、iPhone 4S(3.5インチ)/GALAXY S(4インチ)/Xperia NX(4.3インチ)/GALAXY Note(5.3インチ)

 もっとも、GALAXY Noteはそのディスプレイサイズだけでなく、ペン入力の快適さも人気の秘密だ。なぜ、今ペン入力なのか? キム氏は「数年前に行った市場調査の結果、『ペンを使って書きたい』という答えが半数以上あった。これをきっかけに、ペン入力の開発を進めた」と明かす。これがもう1つの開発テーマだ。

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