インタビュー
» 2012年06月25日 00時15分 UPDATE

開発陣に聞く「簡単ケータイK012」:京セラの簡単ケータイに学ぶ「聞こえ」の科学 (1/2)

使いやすさにこだわって開発されてきたauの「簡単ケータイ」シリーズ。2012年夏モデルとして登場した京セラ製の「簡単ケータイ K012」は、「スマートソニックレシーバー」や「なめらか通話」などを搭載し、今まで以上に聞きやすさを追求したモデルだ。

[房野麻子,ITmedia]

 京セラ製の「簡単ケータイ K012」は、60代を中心とするシニアをメインターゲットとするフィーチャーフォンだ。防水・防塵対応に加え、キーが光って操作を案内するガイド機能、音や文字を大きくする「でか機能」、音声読み上げ機能などを従来機種から継続して搭載しつつ、音と振動で音声を伝える「スマートソニックレシーバー」や「はっきり通話」「なめらか通話」「聞こえアシスト」といった、聞きやすさのための新技術を新搭載した。

photophoto 「簡単ケータイ K012」

 同じスマートソニックレシーバーを搭載する「URBANO PROGRESSO」開発陣インタビューに続き、「簡単ケータイ K012」の開発陣にも、聞きやすさに関する機能を中心に開発の狙いを聞いた。

photo 京セラ 通信機器関連事業本部 国内通信機器統括事業部 国内第2技術部の水田聡氏(写真=左)。京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部 国内第1マーケティング部の横山早苗氏(写真=右)

聞きやすさに注力 あえて“アナログ”的な機能も搭載

ITmedia 「簡単ケータイ K012」の開発コンセプトを教えてください。

photo 企画を担当した横山氏

横山氏 簡単ケータイ K012は、弊社が手がけた9モデル目の簡単ケータイです。シリーズの統一コンセプトである、通話のしやすさ、分かりやすさ、見やすさといったポイントをさらに進化させました。特に聞きやすさについては重点的にとりくんでいます。

 簡単ケータイをお選びになる方の中には、“聞こえ”の衰えが出始める年代も多いため、そこをしっかりフォローしようということになりました。中でも代表的なものが、URBANO PROGRESSOにも搭載されたスマートソニックレシーバーの採用。従来モデルとの外観上の違いは受話口がないことです。京セラがセラミックの技術をベースに独自開発した圧電素子がディスプレイパネルを振動させて、音と振動で聞こえるようにしています。雑踏のような少しうるさい場所でも、しっかり耳を塞ぐように当てていただくことで、音が聞こえやすくなるメリットがあります。そのほかの聞きやすさの機能としては、新たに「なめらか通話」と「聞こえアシスト」を搭載しています。

ITmedia なめらか通話は、どういう機能なのでしょうか。

横山氏 通話マイクから入った自分の声や周囲の音などを、レシーバー(通話用スピーカー)から聞こえるようにする機能です。これによって、より自然に会話をすることができます。

photo スマートソニックレシーバーなど、技術面を担当した水田氏

水田氏 耳をふさいでしゃべると自分の声が普段と違って聞こえますよね。電話をするときは受話器で耳をふさぐため、どうしても聞き慣れない自分の声が聞こえてしまいます。しかし黒電話などの固定電話は、“側音”といって自分のしゃべった声がレシーバーからも聞こえるようになっています。聞き慣れた自分の声が自然に耳に入るため、通話に違和感を覚えません。携帯電話ではこの“側音”が一般的にないことが多く、通話時に自分の話している声に違和感を覚える方もいます。

ITmedia 自分の声や周囲の音が聞こえないと、人間は自然な会話ができないということですね。

横山氏 携帯電話で話すときに声が大きくなる方がいますが、あれは自分の声が聞こえにくいからです。普段話すのと同じように相手に話している自分の声が聞こえると、話しやすく感じます。自分の声が聞こえないとどうしてもしゃべりにくく、これは誰もが無意識に感じていることです。

ITmedia 今までの携帯電話にはそういった機能は搭載されていなかったのでしょうか。

水田氏 他社の端末をすべて調べたわけではありませんが、京セラとしては初めてです。というのも、固定電話の“側音”はアナログ回線の仕様でどうしても発生してしまうもので、通信技術としての視点から見ると“側音”は無いほうが理想だからです。携帯電話がデジタル方式になって“側音”は無くなりましたが、固定電話の聞こえ方に慣れていたり、先ほど述べたように自分の声を自然に聞くという意味では“側音”が無いと逆に不自然に感じる場合がある。特に年配の方は固定電話をよく使われていますから、その聞こえ方に近づけることも、聞きやすさ、話しやすさは向上すると考えております。

ITmedia デジタル化したけどアナログ的な雰囲気に戻そうということですね。

水田氏 簡単ケータイでなければやろうと思わなかったと思います。「なめらか通話」の機能に関してリサーチすると「話しやすい」とおっしゃる方が多かった。今更ながらメリットに気がついて、搭載に至ったという経緯です。

横山氏 特に60代〜70代くらいの方に使っていただいたところ、話しやすくなるという方が多くいらっしゃいました。ただ1人1人の慣れや好みの面もありますから、オン/オフができるようにしました。「なめらか通話」がお好きでない方はオフにしていただけます。携帯電話での通話に慣れている人には必要ないかもしれません。

水田氏 無意識に感じる部分ですので、聴き比べてみないと違いは分からないと思います。なめらか通話をオンにしたから、聞こえ方が極端に変わるわけではありません。

普段の会話をサポートする「聞こえアシスト」

ITmedia もう1つの聞こえアシストとはどんな機能ですか。

横山氏 こちらは通話中ではなくて、それ以外のときに使っていただく機能です。周りの人との会話やテレビを見ているときなどに使うことを想定していますが、本体のマイクから音を拾って、レシーバーから音を大きくして出します。イヤフォンを使って、本体を閉じて聞いていただいても結構です。周りの音が少し増幅されて聞こえやすくなります。

ITmedia アプリケーションとして用意されているんですね。

横山氏 メニューから聞こえアシストをオンにして耳に当てていただくと、例えば今、私が話している声がちょっと大きめに聞こえます。会話のときにも使えますし、家族と一緒にテレビを見ていて、自分だけのために音量を大きくするわけにはいかないときにも利用できます。

ITmedia こういうアイデアグッズもありますよね。連続でどれくらい使えるのでしょうか。

水田氏 丸1日使い続けることは想定していないのですが、約12時間程度です。

ITmedia こうしたニーズは以前から把握していたんでしょうか。

水田氏 補聴器を付けるまでいかない、だけど少し耳の衰えを感じ始めた方に対して、ニーズはあると認識しています。

横山氏 持っているケータイにこのような機能があれば便利に使って頂けると思っています。また、聞こえの機能としてはもう1つ、従来から搭載している「はっきり通話」がバージョンアップしました。これまではオン/オフの2段階しか設定できなかったのですが、今回はオフも含めて効果が6段階になり、きめ細かく設定できるようになりました。耳の衰えも一律ではないので、その人に合った聞きやすさに設定することができます。

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