スマホユーザーの不満を解消せよ 「DIGNO」に授けられた3つの“S”開発陣に聞く「DIGNO S KYL21」(1/2 ページ)

» 2012年11月28日 10時30分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 KDDIから、auの4G LTEに対応した京セラ製のAndroidスマートフォン「DIGNO S KYL21」が発売された。ディスプレイサイズが5インチ以下のスマートフォンでは国内最大容量となる容量2520mAhのバッテリーを搭載し、30分で約50%まで充電できる急速充電に対応したモデルだ。

photophoto 「DIGNO S KYL21」

 夏モデルの「URBANO PROGRESSO」から引き続き、ディスプレイ部が振動して音声を伝える「スマートソニックレシーバー」を採用。端末に話しかけることでアプリの起動や乗り換え検索が可能な「すぐごえ」という新機能も搭載した。

 DIGNOシリーズとして4機種目の「DIGNO S」は、どのような点を重視して開発されたのか。商品化に携わった京セラ通信機器関連事業本部マーケティング部の辻岡正典氏と、同マーケティング部デザインセンターの光永直喜氏に開発背景などを聞いた。

photo 京セラの辻岡正典氏(写真=右)と光永直喜氏(写真=左)

京セラ独自の3つの「S」

 おさらいになるが、“DIGNO”は京セラのAndroidスマートフォンのブランドで、これまでに3モデルが登場している。初代が2011年冬モデルとして登場した「DIGNO ISW11K」、次いで登場した“URBANO”シリーズ端末のURBANO PROGRESSOもDIGNOシリーズに連なる製品だ。またウィルコムからは、PHSと3Gのデュアル通信に対応した「DIGNO DUAL WX04K」が発売されており、このDIGNO Sでシリーズ4代目となる。

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 辻岡氏はこれまでのau向けDIGNOシリーズについて、「おかげ様で2機種ともお使いいただいている方の満足度が高く好評です。ISW11Kは総合的な使いやすさ、またURBANO PROGRESSOはスマートソニックレシーバーによる音声通話の品質と、使いやすさが評価されました」と、手応えを感じていることを明かす。

 最新機種のDIGNO Sは、おサイフケータイ(FeliCa)、ワンセグ、赤外線通信といった国内サービスはもちろん、防水・防塵仕様のボディに約4.7インチのHD(720×1280ピクセル)液晶、そしてスマートソニックレシーバーを採用。プロセッサーはデュアルコアとなり、京セラ端末として初めてNFCやDLNA(DTCP-IP対応)に対応するなど、スペックの充実ぶりが目に付く。

 またKDDIが提供する下り最大75Mbpsの高速通信「4G LTE」をサポート。また超大容量バッテリーを搭載した点も注目だ。容量2520mAhはISW11Kの2台分より大きく、それを素早く充電できる急速充電にも対応している。

 「この冬に、フィーチャーフォンからスマートフォンに機種変更する方にとって使いやすい端末であることを第一に考えました。またすでにスマートフォンを使っているユーザーの方には、スマートフォンのバッテリー持ちに不満を持つ方がたくさんいらっしゃいますので、そうした方にも魅力的な製品として開発しました」(辻岡氏)

 それを現わすのが、DIGNO Sの“S”に隠されたネーミングの秘密だ。ここには、最大の特徴である超大容量バッテリーの「スタミナ(STAMINA)」、急速充電の「スピード(SPEED)」、「スマートソニックレシーバー(SMART SONIC RECEIVER)」という3つの“S”を持つDIGNOという意味があるという。

 「スタミナ(STAMINA)」、急速充電のスピード(SPEED)、スマートソニックレシーバー(SMART SONIC RECEIVER)の3つの頭文字の“S”ですが、個人的には『すごい』の“S”でもあるなと思っています。3つの“S”が表すものはどれもすごいということです。ちなみにプロモーションキャラクターには、“S”のマークでお馴染みのスーパーマンを起用しています」

大容量バッテリーを30分で50%まで充電

 DIGNO Sの開発で最もこだわったというのが、搭載するバッテリーだ。現在、スマートフォンユーザー最大の不満点が、バッテリーの持ちと言われる。京セラの調査でも、スマートフォン利用者の不満点でワースト1位が、バッテリー持ちの悪さだったという。

 「そこで解決策として考えたのが、圧倒的な容量を持つバッテリーを搭載することでした」(辻岡氏)

 DIGNO SはISW11K 2台分(1220mAh×2)よりも大容量の2520mAhのバッテリーを搭載し、連続待受時間が3Gで約720時間。LTEでも約580時間だ。また、連続通話時間は約1110分(約18時間半)でいずれもISW11Kの2倍以上。うたパスの連続再生は約23時間、ビデオパス連続視聴は約4時間、当然テザリングの利用時間も長い。

 「市場では7インチタブレットが注目されているので、テザリングの重要度も高まると見ていますが、DIGNO SはLTEで約7時間半のテザリングが可能です。『DIGNO Sは電話機能が付いたルーターだ』という声も聞かれますので、テザリング目当てで購入を考えていらっしゃる方も見受けられます」(辻岡氏)

photo 「DIGNO S」(左)と「ISW11K」(右)のバッテリーパックを比較。容量が2倍以上になったが、大きさまで2倍になっているわけではない。「同じリチウムイオンバッテリーですが、タイプが違います」(辻岡氏)

 バッテリー容量が大きくなると、今度は共通ACアダプタでの充電に時間がかかる。そこでDIGNO Sは、専用のACアダプタと卓上ホルダを同梱することにした。この組み合わせで充電すると、従来方式(共通ACアダプタ03)の2.7倍となる最大2.7Aの電流で急速充電ができ、30分で満充電の約50%、60分で約80%まで充電される。また卓上ホルダは端末の接地面に余裕がある作りで、auの+1 collectionなどの卓上ホルダ対応ケースであれば、それを付けたままホルダにセットできる。もちろん、microUSB端子からの充電も可能だ。

photo 付属の卓上ホルダ。急速充電に対応する

 「この卓上ホルダは非常に便利です。もう1組あれば、自宅とオフィスの両方で急速充電が可能になり、さらに便利になると思い、卓上ホルダとACアダプタのプレゼントキャンペーンを実施しています。12月16日までに『DIGNO S購入宣言キャンペーンサイト』から購入宣言をしていただき、実際に12月20日までに購入して簡単なクイズに答えて応募いただくと、この卓上ホルダとACアダプタをもう1組プレゼントします。この機会にぜひご利用いただきたいと思います」(辻岡氏)

スマートソニックレシーバーはより自然な音に

 さてDIGNO Sの3つ目の“S”が、URBANO PROGRESSOから引き続き採用されたスマートソニックレシーバーだ。通話時に音だけでなく、ディスプレイ部の振動でも音を伝える京セラ独自の技術で、購入者アンケートでも非常に好評だという。騒がしい場所でも、ディスプレイで耳を覆うようにするとクリアに聞こえる点はもちろん、耳を当てる位置を気にせず通話できることが、非常に好評だという。

photo ディスプレイ全体が振動して通話音声を伝える「スマートソニックレシーバー」。そのためボディには、受話用のスピーカー(レシーバー)がない

 DIGNO Sでは新開発のセラミック圧電素子が使われるなど部品自体も進化したが、低音域の音圧を上げて、より自然に聞き取りやすい音質に改良しているという。

 「簡単にいうと、音のバランスを見直すよう、チューニングし直しました。DIGNO Sは、若い方から年配の方まで幅広い層をターゲットにしていますので、より低音域が聞きやすくナチュラルな音にチューニングしています」(辻岡氏)

速さを重視した「すぐごえ」

 DIGNOは使いやすさに定評があるシリーズだが、DIGNO Sでも従来機種から人気の「すぐ文字」やフィーチャーフォンに似たシンプルメニューを搭載。また、新たに、端末に向かってやりたいことを話すことで対応するアプリが起動する「すぐごえ」を搭載した。

 このすぐごえは、使いたいアプリをすぐに使えるようにすることを目的に開発された。またユーザーから、すぐ文字の音声対応を要望する声があったことも大きいという。「原点としてはすぐ文字の入力を音声でできるようにしたいということですが、それだけでは面白くありません。そこですぐごえという機能に進化させました」(辻岡氏)

 すぐごえはロック画面にも登録されており、まさに“すぐに”利用できる。アプリ名を話しかけることで、単純にアプリを起動できる機能と、決められた言葉を入れることで、自動的にアプリが起動し、乗り換え検索や電話の発信、メールの作成、YouTube動画の検索などが可能なアプリの連動機能の2つ機能を実行できる。

 「アプリの単純起動は、たまにしか使わない(ホーム画面に並べるまでもない)アプリを起動するときに便利です。例えば、電卓、ワンセグ、赤外線、簡易ライトなどですね。もう1つの機能がアプリの連携機能です。話した内容に応じて色々なアプリが起動します」(辻岡氏)

photophotophoto 「すぐごえ」で特定のキーワードの動画を検索。話しかけてからの処理速度の速さが特徴(写真=左、中央)。アプリを呼び出す際の単語は自分で決められる

 例えば、「日本対ブラジルの動画」と話しかけると、YouTubeが起動し、検索結果としてサッカーの日本対ブラジルの試合映像を表示する。この場合は、“動画”という単語がYouTubeのアプリを起動させるキーワードになっている。同様に「渋谷から六本木まで乗り換え」と話しかけると、出発駅名と到着駅名が入力された状態で乗換ナビが起動する。この場合は“乗り換え”がキーワードだ。なお、時間の指定や経由駅の設定があることを想定して、検索結果までは表示しないようにとどめている。

 ほかに、「吉田さんに電話」と話すと電話番号が呼び出され、「電話しますか?」という質問に「はい」と応えるとダイヤルする。電話の不在着信があった場合は、「折り返し電話」と話しかけてハンズフリーで電話をかけることができる。なお、通常の電話着信時にはすぐごえで応答することはできない。電話がかかってきた際は端末が音声だけでなく着信音も拾ってしまうためだ。

 メールの場合も同じように「岡田さんにメール」と言うと、件名や本文を聞かれるので、メールの作成も音声で進められる。途中から画面にタッチして通常通りに文字入力も可能だ。また、受信メールが届いたときに、手を触れずに音声で操作し、メールを確認することもできる。対応しているのはEメール(EZwebメール)とSMS(Cメール)だけだが、メールを受信すると自動ですぐごえを起動できる設定があり、読み上げ機能をオンにしておくと、メールの本文を読み上げてくれる。これを使えば、音声で返信メールの作成も可能だ。

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