インタビュー
» 2013年08月29日 11時00分 UPDATE

超・個性派:ウィルコムが語る「迷惑電話チェッカー」「だれとでも定額パス」誕生秘話 (1/2)

ウィルコムが発売した「迷惑電話チェッカー」と「だれとでも定額パス」。どちらもこれまでの携帯電話やPHSの範ちゅうには収まらない独自性が注目を集める製品だ。その開発背景を聞いた。

[佐野正弘,ITmedia]

 この6月に会社更生手続きを終え、ソフトバンク傘下企業として新たなスタートを切ったウィルコム。そのウィルコムが新たに投入した新製品の中には、「迷惑電話チェッカー WX07A」「だれとでも定額パス WX01J」など、同社の独自性を生かした特徴ある製品が多くそろった。これらの製品はどのような経緯で誕生したのか、ウィルコムの商品企画担当者に話を聞いた。

photophoto 「迷惑電話チェッカー WX07A」「だれとでも定額パス WX01J」

設定が一切不要で使える「迷惑電話チェッカー」

photo ウィルコムの山田氏

 ウィルコムが7月4日に発表した新商品の中でも、他社にはない強い独自性を持つ商品が2つある。1つは、固定電話に接続しておくと、かかってきた電話番号を専用のデータベースと照合し、“母さん助けて詐欺”などの迷惑電話が掛かってきた場合に、光や音で通知してくれる迷惑電話チェッカーだ。

 迷惑電話チェッカーの商品企画を担当した、ウィルコム マーケティング本部 商品企画部 端末企画課の山田聖人氏によると、そのきっかけはトビラシステムズという会社が2011年から提供している「トビラフォン」にあるとのこと。

 この商品は迷惑電話チェッカーと同じ機能を備えているのだが、迷惑電話番号を管理する専用のデータベースとやり取りするのに、インターネット回線への接続が必須となっていた。

photophoto 「トビラフォン」と迷惑電話チェッカー。トビラフォンは固定のインターネット回線が必要だった

 だがトビラフォンの主要ターゲットは、電話による詐欺などの対象になりやすい高齢者が中心。自宅にネット回線を引いていないことが多く、普及には大きなハードルがあったという。そこでトビラフォンをより多くの人に利用してもらうべく、ウィルコムとトビラシステムズ、そして今回の端末開発を担当したエイビットが共同で、ネットワーク部分にPHS回線を用いた端末の開発に取り組んだという。

 迷惑電話チェッカーはメインユーザーに高齢者を想定していることもあり、設置はACアダプターと電話線という2本のケーブルを接続するだけ。初期設定の操作も不要で、接続すればすぐに扱える仕組みを整えた。設置後のサポート、例えば本体のファームウェア更新なども全て自動で行うなど、複雑な要素を極力排除して扱いやすくすることに努めたと山田氏は話す。

 その一方、通信部分は複雑で開発に時間がかかったという。迷惑電話の“ブラックリスト”はトビラシステムズのサーバーを参照するが、ウィルコム側でも(迷惑電話チェッカーの)回線契約情報を管理する必要があり、開発期間は「スマートフォンと同じくらいで、企画してから1年くらいはかかっているのでは」(山田氏)とのことだ。

photophoto 迷惑電話番号から電話がかかってくると、赤いランプと音声で警告する(写真=左)。未登録番号や公衆電話からの電話では、黄色いランプで注意を促す(写真=右)

 では、迷惑電話チェッカーはどうやって迷惑電話をふるいにかけているのだろうか。本体には最大300件の着信拒否番号を登録でき、これに該当した場合は赤いランプと「迷惑電話の恐れがあります」という音声で警告する。これはユーザーが指定する番号であり、ユーザーごとに異なる。これとは別に、かけてきた電話番号をトビラシステムズが配信する約2万件以上のブラックリストとも比較する。

 このブラックリストは警察から提供されたものに加え、トビラフォンやほかの迷惑電話チェッカーが着信を拒否した番号も元になっている。つまり、ユーザー同士で迷惑電話情報をシェアする仕組みが使われているのだ。そこで気になるのがプライバシーの問題だが、迷惑電話チェッカーで着信拒否を設定すると、その番号は暗号化されてウィルコム側に送信される。その後、契約情報が切り話され、さらに番号の情報だけが暗号化されてトビラシステムズに送られ、迷惑電話の番号かどうかを照合する形になるとのこと。

 こうした形を採ることで、個人情報が渡ることなく安心して利用できる仕組みを整えたという。また迷惑番号として登録される番号は、トビラシステムズが独自のアルゴリズムで判定しており、単に報告件数だけで判定している分けではないとのこと。それゆえユーザーが個々に迷惑電話番号として設定した番号が、そのままブラックリストに反映されることはないという。

真のターゲットは高齢者の“子供世代”

 迷惑電話チェッカーの利用料は、専用の料金プランで月額210円。ウィルコム回線を持っていない人は、さらに490円のオプション料金をプラスする必要があり、合計で月額700円となる。700円という料金に設定した理由として、山田氏は利用者が導入しやすい料金を実現するのに加え、固定電話事業者の迷惑電話防止サービスを意識し、それらの水準に合わせたと話す。

 固定電話各社のサービス内容は、基本的に迷惑電話番号を自分で登録し、その番号からの着信を拒否するもの。それに対して迷惑電話チェッカーは、トビラシステムズの独自データベースによる迷惑電話防止機能も備えていることから、同程度の料金設定でも優位性があると、山田氏は自信を見せる。

 また山田氏によると、この商品のターゲットは高齢者だが、実際の購入者はその子供世代を想定しているという。実際、高齢者の詐欺や勧誘などによる被害を心配するのは、当人よりも子供世代の方が多いそうだ。それゆえ子供世代に契約してもらった上で、親の家に設置することを想定している。

 ちなみに、開発者が動作検証のため自宅に迷惑電話チェッカーを導入したところ、ランプが赤く光り迷惑電話に反応。試しに電話に出てみたところ、しつこい勧誘をする迷惑業者からの電話だった……というエピソードもあり、その効果は“身を持って”検証されている。すでに東京都の西東京市や杉並区などでモニター利用が開始されているが、減少の気配を見せない特殊詐欺の被害を減らしていくためにも、商品の普及に力を注ぎたいと山田氏は話している。

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