ソニーの新発想スマートウォッチ「wena wrist(ウェナ・リスト)」が、ガジェット好きの間でちょっとした話題になっているのをご存じでしょうか。
「wear electronics naturally(自然に身に着けられるテクノロジー)」というコンセプトを掲げ、クラウドファンディングサイト「First Flight」で1億円超の出資を集めて製品化された注目のウェアラブル端末です。
クラウドファンディングサイトに登場するや否や、筆者のハートはガッチリわしづかみにされました。速攻で「支援ボタン」をポチっとしたのが約半年前。まだかまだかと待ちわびていたwena wristですが、2016年4月初旬にやっと届きました。
そもそもソニーのウェアラブル端末は、ソニー・エリクソン時代からチャレンジングな製品が発売されていたこともあり、筆者はそれを追いかけて買い続け、今では腕に装着する時計タイプのものだけでもたくさん所有しています。
今は2014年末に発売された最新モデルの「SmartWatch 3」を愛用しているのですが、wena wristを手に入れたところで、ふと「どっちが使いやすいの? どう使い分ければいいの?」という疑問が出てきたため、wena wristをレビューしつつ、SmartWatch 3と使い勝手の比較もしてみたいと思います。
SmartWatch 3は、Googleが提唱するスマートウォッチ向けの「Android wear」というOSを採用し、時計の文字盤部分はディスプレイとして情報を表示するという、腕時計型ウェアラブル端末では標準的なアプローチです。
これに対してwena wristは、腕に巻くステンレス素材「SUS316L」製のバンド部分に、電子マネー機能や、スマートフォンからの通知、歩数や消費カロリーといったログが取れる機能を備えています。文字盤はディスプレイではなく、シチズン時計が設計・製造を手掛ける普通のアナログ時計(クォーツ式)となっているのがユニークです。
どちらも腕に装着するというコンセプトは同じですが、この設計の違いにより、スタイルや使い方は大きく違ってきます。
wena wristは、アナログ腕時計そのままのスタイルを維持するため、スマートウォッチ機能を提供するパーツ類を、普通の腕時計では本体となるヘッド(ケース)部ではなく、バンド部に分散させて収めているのが最大の特徴です。
バンドのバックル部分に、基板からバイブレーション、アンテナといった基幹部品が収まっていて、その隣にある2つのコマにバッテリーを搭載し、連結部分の内部で接続するという作りになっています。しかも、防水機能(IPX5/IPX7)を備えています。
wena wristの心臓部は全てバンドに集約されているので、見た目にはその存在が分からず、隠れてしっかり機能を果たす、まるで黒子のような存在と言えるでしょう。
内蔵バッテリーの充電については、専用のクリップでバックル部をパクっと挟み込むだけと簡単です。充電の状況は、バックルのスリットにあるLEDで表示されるので視覚的にも分かります。
しかも、連続動作時間は約1週間持つと言われていて、充電するタイミングが少なくて済むのも利点です。実際、かなりヘビーに使っていても軽く5日間くらいは持ちます。
こうした充電まわりのストレスがかなり少ないというのは、日々使うウェアラブル端末として大きなメリットです。
wena wristはヘッドが2種類あり、3つの小さなインダイヤルを持っている「Chronograph(クロノグラフ)」と、シンプルな文字盤と針で構成される「Three Hands(スリーハンズ)」があり、カラーは「Silver(シルバー)」と「Premium Black(プレミアムブラック)」が選べます。
筆者が購入したのはシンプルなThree Handsですが、Webサイトで製品画像を見ていたよりも金属の質感と重厚感があって、見た目にもオモチャっぽい恥ずかしさがありません。普段使いにもジャケットを着たフォーマルな服装にも違和感なく使えるというのは、他のスマートウェアにはなかなかない魅力です。
あえてツッコミを入れるとすれば、時計の文字盤がダークグレー、長針と短針がブラックなので、視認性に難があることです。昼間では問題なのですが、夜暗いところで時間を確認しようとするとかなり見づらい場合があります。
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