富士通から携帯電話事業を分社化して発足した富士通コネクテッドテクノロジーズ。分社化後初めての新製品が、NTTドコモの2016年夏モデルとして供給する「arrows SV F-03H」と「arrows Tab F-04H」だ。
同社は16日にこれら2機種の説明会を開催。製品のコンセプトや特徴的な機能を報道関係者に向けて改めて説明した。
arrows SV F-03Hは、2015年冬モデル「arrows Fit F-01H」の後継機種。価格と機能のバランスの良さ、手にしたときの持ちやすさ、バッテリー持ちなど、F-01Hで評価の高かった要素を引き継ぎ、「ワンランク上のデザイン」を加えたメインストリーム(ミドルレンジ)モデルという位置付けとなる。
arrows SVのデザインは、「Sculpture(彫刻)」をモチーフとしている。富士通デザインのチーフデザイナーの吉橋健太朗氏は、「形を削りあげる『彫刻家』」という心持ちでarrows SVのデザインに当たったという。「原石の塊からスマートフォンを『削り上げていく』」(吉橋氏)アプローチを取ることで、デザイン面で他社との差別化を図ろうというのだ。
このコンセプトが表れている要素の1つが、側面のメタルフレームと樹脂素材の境界部の処理だ。彫刻刀で原石を削りだしたようなくぼみが用意されているのだ。このくぼみは、片手・両手で持った時の持ちやすさも向上しており、実用性も兼ね備えている。
arrows SVのボディーカラーには、それぞれモチーフとなる鉱石が存在する。Goldなら金紅石(ルチル)、Blackなら黒めのう(オニキス)、Whiteなら水晶(クリスタル)だ。それぞれの鉱石が持つイメージを最大限生かすべく、背面パネルやプリセットの壁紙を含めたデザイン全体のストーリー性にもこだわっている。
arrows SVの基本的なスペックは、arrows Fitと同等だ。しかし、昨今の市場動向やユーザーからの要望を踏まえた機能改善も行われている。
その1つがカメラだ。アウトカメラは1310万画素センサーとF2.0・22ミリのレンズの組み合わせとなり、広角撮影や暗所撮影により強くなった。また、アウトカメラでのリアルタイムHDR(ハイダイナミックレンジ)撮影にも対応し、逆光下での撮影時の品質を改善している。
インカメラはarrowsとしては過去最高となる500万画素のセンサーを採用し、23ミリの広角レンズと組み合わせることで、自撮りニーズの高まりに応えた。カメラアプリでは、アウト/インの切り替えを撮影画面内でできるように改善している。
ワンセグ対応も改善点の1つだ。これは「ユーザーにテレビを楽しんでほしい」という文脈ではなく、「災害時に情報を入手する手段」としての要素が強いという。大規模な災害が発生すると、昨今ではSNSやWebサイトを通して避難情報や生活情報を入手することも多いが、基地局の故障や電源枯渇で通信が途絶したり通じにくくなったりすることもある。万が一の時に安心を提供するためのワンセグ、という位置付けだ。ワンセグ受信用のアンテナも本体に内蔵していることも大きな強みだ。
ただし、arrows Fitと比較すると、指紋認証機能が省かれた。これは、「ワンセグを内蔵したから」あるいは「外装にお金をかけたから」というコスト面よりも、本体デザインにおけるバランスを重視した結果であるようだ。
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