コラム
» 2017年03月10日 12時30分 UPDATE

ソシャゲに偏見を持つ私が1日4時間プレイするほど熱中した「Fate/Grand Order」について (1/3)

[井上輝一(オルタ),ITmedia]

 はじめに、私は一般的に「ソーシャルゲーム」といわれるジャンルのスマートフォンゲームに相当の偏見を抱いている。誤解を恐れずに言ってしまえば忌避感と言ってもいい。にもかかわらず、2017年の元日から2月の上旬まで、1日平均4時間、計150時間ほどをとあるソシャゲに費やすまでに熱中してしまった。

 ここでは、私が持つソシャゲへの忌避感と、それを越えたあるゲームの特徴を紹介したい。

Fate/stay nightのヒロインでありサーヴァント、青セイバーことアルトリア・ペンドラゴン

そもそもソーシャルゲームとは

 先に「ソーシャルゲーム」という言葉が指すものについて書かねばこの話は始まらない。従来、「ソーシャルゲーム」というのはSNSとひも付いてユーザーどうしのコミュニケーションがゲーム内で重要になるブラウザゲームだった。例えばmixi上で提供されていた「サンシャイン牧場」がそうだ。

 詳しい歴史は本筋ではないのでここでは割愛するが、そういった「ソーシャルゲーム」の一部はソーシャル性以外にも「基本プレイ無料」、ゲーム進行上有利になるキャラやアイテムを引ける「ガチャ課金」、ユーザー行動を時間で制限する「スタミナ制」などの特徴を持つようになった。

(「課金」という言葉は「金を課す」なので本来は金をもらう側が主語にならなければならないが、運営にお金を払うことを「課金する」という表現があまりにも浸透しているのでこの意味でここでは用いる)

 この中で「基本プレイ無料」「ガチャ課金」の2つがゲームの収益化として鍵を握り、ゆえに大ヒットした「ソーシャルゲーム」はほぼ間違いなくこの2つをゲームシステムに組み込んでいる。そのことから、ユーザーから見れば「基本プレイ無料」と「ガチャ課金」があるゲームを「ソーシャルゲーム」と呼ぶ認識に移り変わってきたように思う。

 また、「ソーシャルゲーム」がはやり出した時期と、携帯電話が従来のフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)から高性能なCPUを搭載したスマートフォンに移り変わった時期が被ることも忘れてはいけない。

 スマートフォンの普及によって、ユーザーはPCの前にいなくても気軽にオンラインゲームをできるようになった。

 必然的に「ソーシャルゲーム」はスマートフォンのプラットフォーム上で多くが展開されるようになり、前述と合わせて「ソシャゲといえば基本無料でガチャがあるスマートフォン向けゲーム」という認識が出来上がった(もちろん「艦これ」など例外もある)。

 よってここでは「基本無料で有料ガチャがあるスマートフォン向けゲーム」を「ソーシャルゲーム、ソシャゲ」と呼ぶことにする。

「ソーシャルゲーム=射幸心を煽るゲーム」という認識

 ソーシャルゲームの成功で大きくなったグリーやDeNAといった企業の存在からも分かるように、ソーシャルゲームの肝は高効率な集金システムだ。従来のパッケージ型コンシューマーゲームが高くても1万円ほど(Nintendo Switchの「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」でも税込7538円)であったのに対して、ソーシャルゲームは無料でプレイを始められる代わりに、強いキャラ・アイテムを引く、スタミナを早く回復するなど、ゲームを有利に進めるためには課金が必要になる。

 例えば強いキャラが最低でも1枚確定して引ける「10連ガチャ」は(ゲームによるが)約3000円の課金で一度回すことができるが、それでも欲しいキャラ・アイテムが必ず来るとは限らない。

FGO FGOにも課金要素がある

 これを欲しいキャラが出るまで繰り返すとなると際限がなくなる。私の友人でも、あるキャラクターを引くために10万円消費したという例もあった(その他ネット上で伝え聞くところのソシャゲユーザーの課金額と比べるとこの額はまだかわいい方だ)。

 2012年には「コンプガチャ」というシステムが問題になったことを覚えている人もいるだろう。これはガチャでキャラやアイテムのある種類全てをそろえると希少アイテムがもらえるという仕組みのことで、希少アイテムという「餌」のためにユーザーに何度もガチャを引かせ、多く課金させようとするものだった。なお、この方法は景品表示法が禁じる「カード合わせ」に該当するとのことで消費者庁が注意喚起し、コンプガチャ制度は軒並み終了することになった。

 コンプガチャは行き過ぎた例にせよ、「いかにユーザーの関心を希少キャラ・アイテムへ向けてガチャを引かせるか」ということにばかりゲーム運営が注力している節が私からは見受けられ、これは何のゲームかと一言で表現するとロールプレイングゲームでもなくアドベンチャーゲームでもなく「射幸心を煽るゲーム」というジャンルなのだと認識していた。

 ソーシャルゲームが世に出てきた当時、私は大学に入学した頃だったが、それまでやってきたゲームが買い切り型で面白かったというのもあって、ガチャシステムが核になっているようなゲームが面白いとも思えなかった。また、手に取って触れる形ではないデータにお金を使うというのも当時としては価値観に合わなかった。

 そういった価値観を持ちつつも、今日まで全くソシャゲに手を出していなかったわけではない。しかし、期間限定イベント、スタミナ消費の義務感、ギルドコミュニティーの面倒くささ、ランキング制によって迫られる競争、一生懸命ためた無償石で引いた10連ガチャが徒労だった時の脱力感などで長続きはしなかった。

 そんな中、2014年にTYPE-MOONがあるタイトルを発表した。

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