「OCN モバイル ONE」新料金プランの狙いを聞く C向けeSIMサービスも検討中MVNOに聞く(4/4 ページ)

» 2019年12月06日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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旧コース利用者の9割以上は新コースで満足度が上がる

―― 現状、新旧両方のコースを残していますが、今後新コースだけにしていく可能性はあるのでしょうか。

木藤氏 今までのコースをお使いの方には、いろいろな手段で告知をしていきます。それでも低速通信をうまく使いたいという方は、従来のコースのままでいいと思います。一方で、高速通信の品質がよくなったり、料金が少しでも安くなったりした方がいいという方には、ぜひ新コースに移っていただきたいですね。今までのお客さまの9割以上は、新コースで満足度が上がると思います。ユーザーの方々にとっても移った方がメリットありますし、われわれにとっては、長く使ってもらえるということがメリットになります。

 今後、積極的に販売していきたいのも新コースです。量販店やgoo Simsellerでも、20日以降は新コースをメインに打ち出しています。実際、20日以降を見ると、新コースを選ぶ方がほとんどです。普通の使い方であれば、新コースを選ばないと損することになりますからね。

―― 最終的には、旧コースは新規受付を停止することもあるのでしょうか。

木藤氏 販促的には新コースに一本化した方がいいのは確かですが、今のところ、時期は考えていません。また、従来コースで満足している方もいらっしゃるので、サービスをいきなり終了するようなことも考えていません。

OCN 光とのセット割+2万円までの割引は可能

―― 新コースでは、OCN 光をセットにすると1GBで980円という打ち出しもしていました。セット販売は今後強化していくのでしょうか。

OCN モバイル ONE 発表会でも、「OCN 光」とのセットで月額980円〜という料金をアピールしていた

木藤氏 今までは、光回線を使っていたお客さまに対して「OCN モバイル ONEはどうですか?」と言うときに割引を打ち出していましたが、新規の方にも、セットにするとお得という訴求は強めていきたいと考えています。

―― ちなみに、セットだと端末がさらに安くなるということもあるのでしょうか。光回線分の割引は、2万円制限に入らないですよね。

木藤氏 光をご契約いただいたお客さまに、もう少しお得感を出すというのはありえます。見せ方として、端末を2万円まで値引き、プラスαで光分のキャッシュバックをするということはできます。

OCN モバイル ONE向けのeSIMサービスも検討

―― NTTコミュニケーションズは、加入者管理機能を持ち、フルMVNOのサービス開始も目指しています。IIJmioはコンシューマー向けのeSIMをβ版として始めていますが、OCN モバイル ONEではいかがでしょうか。

木藤氏 明確なサービスイメージやスケジュールは今、お出しすることはできませんが、検討は進めています。そのタイミングが来たら、ご紹介させてください。フルMVNOもeSIMも、両方OCN モバイル ONEのブランドで出すことを検討しています。

―― おっ。それはかなり前向きな検討ですね。ちなみに、NTTコミュニケーションズはフランスのTRANSATELを子会社化しています。TRANSATELもUbigiというブランドでeSIMを提供していますが、ここと何かやっていく可能性はありますか。

木藤氏 子会社の件も含め、eSIMなどのサービスをOCN モバイル ONEとしてユーザーに提供することを検討しています。eSIM化されているので、今のOCN モバイル ONEと組み合わせて提供するメリットもあります。

―― 電気通信事業法の改正を前に、大手3キャリアが料金プランを改定しました。現状では、家族契約や1GB未満などの条件はありますが、大手キャリアでも1980円で利用できます。この影響は、どの程度ありましたか。

木藤氏 正直、その影響はあまり感じていません。OCN モバイル ONEの流動性も高まったので、解約する方が増えるかもとは思っていましたが、現在は、そこの影響もあまりありません。まだ、大手キャリアの縛りが終わっていない方の方が圧倒的に多いので、それが雪だるま式に増えたときのことは期待しています。

 MVNOに来た方が大手キャリアに戻るとすると、それは品質に起因したことが大きく、価格はまだMVNOの方が安いため、その点ではMNOとの関係性はあまり変わっていないと思います。とはいえ、MNOの方がMVNOを検討するとき、価格差が相対的に縮まっていました。そういう理由もあって、今回の新コースでは価格を下げています。MNOクラスは無理でも、思いとしては、品質も近づけていきたいですね。

取材を終えて:リアル店舗の少なさがネックに、eSIMの提供には期待

 このタイミングでOCN モバイル ONEが新料金を打ち出した背景には、電気通信事業法の改正があった。一段低い料金を打ち出すことで、MNOから流出するユーザーの受け皿になりたいという思惑があったようだ。一方で、MNOに慣れたライトユーザーが増えている事情を踏まえると、シェア1位を奪還するには、やはりリアルな接点がまだまだ不足している印象も受けた。料金や通信品質、端末だけでどこまで勝負できるのかは、未知数の部分もある。

 コンシューマー向けのフルMVNOやeSIMのサービス開始も検討しているようだ。インタビューでのニュアンスはかなり前向きで、可否を含めての検討というより、具体的なサービス設計も視野に入れていることがうかがえた。特にeSIMは、ユーザーがキャリアを変更するハードルが大きく下がることもあり、MNOは導入に慎重な姿勢を示している。MNOができない、やりたくないことという点では、MVNOの本領を発揮できる分野だ。今後の展開に期待したい。

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