新たにアカウントを取ってTwitterで説明するのも適切ではないと判断。検討の末、グループで喫茶店「上島珈琲店」などを運営するUCCフードサービスシステムズが昨年12月から運用しているグループ唯一のTwitter公式アカウント「上島珈琲店なう」(@ueshimacoffee)で情報発信することにした。
7日午後11時ごろ、上島珈琲店なうのアカウントで、「我々の未熟さから皆様にご迷惑をおかけし、現在グループ社内で自分達の失敗について議論しており、週明けにはご説明の機会をいただくかと思います今しばらく推移を見守って頂ければ有り難く思います」などとツイートした。
その真摯(しんし)な姿勢にフォロワーからは、「頑張って」「応援してます」など温かい言葉も寄せられた。坂本室長は「上島珈琲店なうの担当者と一緒に泣きながら応援メッセージを読んだ。本当にありがたくて涙が出る」と話す。
週が明けた9日には、ITmediaなどネットメディア向けの説明会を開き、改めて経緯を説明。「一方的な発信に終わらせたくない」として場を設けたという。
「マスメディアとソーシャルメディアの違いがよく分かった」――今回の問題を引き起こした背景には、マスマーケティングと同じ感覚で企画を進めてしまったことがあると坂本室長は考えている。「Twitterはユーザーのつぶやきを聞きながらコミュニケーションするもの。担当者の人間力が必要と痛感した」
ソーシャルメディアに関するグループ内での情報共有が不十分だったという反省もある。「上島珈琲なう」のアカウントでは、担当者がフォロワー1人1人と丁寧に接し、騒動前から1000人以上にフォローされていたが、この経験も今回のキャンペーンに生かされなかった。
また、マーケティング本部が独自で企画を進め、ネットに強いEC推進室が企画・運用に関わらなかったことも問題を大きくしたと、坂本室長は反省している。
「今回の騒動が、Twitterを使った企業のマーケティング活動に水を差したのではという懸念がある」――坂本室長が最も心配しているのはこの点だ。
「Twitterは、ユーザーと対話し、生の声を聞けるツール。これまでコールセンターや問い合わせフォーム、営業マンなどに寄せられていた声が直接聞けるメディア」と感じており、今回の騒動で萎縮せず、企業にも積極的に使ってほしいという。
そのためにも失敗の経緯について詳細に説明した上で、今後はTwitterを使ったソーシャルメディアマーケティングの勉強会を開き、その内容を広く公開することでTwitterのマーケティング利用を盛り上げていきたい考えだ。
勉強会では、BOTを使ったキャンペーンの失敗事例と上島珈琲なうの成功事例を素材に、社外の識者とともに、Twitterマーケティングのあり方について考えていく。具体的な内容や日程、公開方法は後日改めて報告する予定だ。
その上で、Twitterにもう1度チャレンジしたいという。「みなさんの意見を聞きながら、一歩一歩成長できるよう再チャレンジしていきたい。厳しい目でご意見いただければ」
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