EOS Kiss Digitalから見えてくる、写真の「女高男低」気紛れ映像論(1/2 ページ)

» 2004年01月22日 08時34分 公開
[長谷川裕行,ITmedia]

 キヤノンのEOS Kiss Digitalを買った。発売前にサンプルを触ったときから「これは面白い。きっと売れるだろうな」と思っていたが、果たしてその予想は当たった。

 この画期的な低価格一眼レフデジカメ、ただの人気商品というだけではない。写真表現の可能性を広げてくれるのでは……と、期待を抱かせてくれる。

訂正とおわび

 最初に、訂正とおわびをしなければならない。前回の拙文『気紛れ映像論――“月9”「ビギナー」に見る「虚実記憶の狭間」』で、3つの間違いがあった。以下に訂正させていただく。

  • 誤)「2003年10−12月の第2クール」→正)「第3クール」
  • 誤)「ドラマのオープニングでは、彼らの過去の描写として……」→正)「ドラマのエンディングでは……」
  • 誤)「EOS Kiss Digial」→正)「EOS Kiss Digital」

 読者のみなさん並びに関係者各位には、誤った情報を伝えたことをおわびします。なにぶん筆者はそそっかしい性格なので、寛容な心でご容赦ください。

 ……という訳で、本題に入りましょう。

 なお、今回の拙文では、男女の違い――いわゆる性差を取り上げる。“性差”に触れると必ず、各方面からのツッコミが入るので予めお断りしておくが、ここで述べる男女の趣味嗜好の傾向の「違い」は、あくまで一般論としての「違い」である。「そうでない男性、そうでない女性」も多数いることは周知の上で、あえて一般的な傾向としての男女の違いを提示しているものである。その点、誤解のないようにお願いしたい。

僕がアナログを使う理由

 大学でデジタル画像処理を教えている僕だが、実はかなりの銀塩派である。撮影には必ず、デジタルカメラと共に銀塩のフィルムカメラを携行する。それも、大抵はNIKON F2 Aだ。場合によってはNIKON Fを使うこともある。どちらも電池を使わないメカニカルシャッター機である(F2は露出計のためにボタン電池を使うが)。

 基本的に僕は、電池を使うカメラが苦手だ。AE(自動露出)もAF(自動焦点)も、なんかイヤだ。絞りもシャッター速度もピント合わせも、自分の目と手で行いたい。僕は、そそっかしい上にものぐさである。絵作りの基本作業を機械に任せることに慣れてしまうと、とんでもないことになるのは明白だ。

 「便利な機能を(使いたくても)使えない機械」を使い、作業をわざと不便にして緊張感を保つのである。シャッターボタン半押しで露出とピントの決まってしまう自動カメラは、どうも「撮っている気がしない」のだ。

ものぐさだからデジカメが好き

 そんな僕なのだが、デジタルカメラはいろいろな機種を使ってきた。銀塩の自動カメラとは違って、デジカメには独特の「絵作り感」がある。むしろ、銀塩の自動カメラより好きだ。

 デジカメが好きな理由の一つに、すべてのプロセスを自分の手でこなせることがある。銀塩のモノクロ写真なら、フィルム現像からプリントまですべてを自分で処理できるのだが、カラーとなると処理工程が複雑になり、薬液の処理(劇薬なので下水に流せない)などを考えればラボに任せた方が効率的だ。プロラボなら細かな指示にも応えてくれるが、それでも最終プリントに対して完全に自分の意図を反映させるのは難しい。

 細かな意図をいちいち伝達する努力をするくらいなら、ディスプレイとにらめっこして全部自分で調整した方が手っ取り早い。要するにこれも、ものぐさ人間の発想である。

女性狙いのKiss Digital

 最近買ったデジカメは、キヤノンの「EOS Kiss Digital」だ。人気商品である。名前からも分かるように、銀塩カメラ「EOS Kiss」のデジタル版という位置付けだ。

 実際、手に持った感じは銀塩のEOS Kissそっくりである。樹脂ボディの質感も同じ。そして、EOS 1Dはもちろんのこと、D60、D30、10Dなど同社製の他のレンズ交換式デジタル一眼レフに比べて、異常なほど軽い(EOS Kiss Digitalのレビュー記事はこちら)。

 この質感と軽さは、銀塩のEOS Kiss同様、女性ユーザーを狙ったものだ。男性の一眼レフユーザーは、金属質のボディと手に持ったときの重量感を好むが、女性には軽い方が好まれる。もちろんそれは体力的な面もある。しかしそれ以上に、道具の質感と重量は性別の違いを鮮明にする。金属的な手触りと重量感が生む「機械っぽさ」にあこがれ、「そんな機械を操る行為を楽しむ」のは、女性より男性の方が圧倒的に多い。

実用本位なら一眼レフは要らない

 例えば自動車は、今や男女の別なく利用されている。が、女性には、買い物や家族の送り迎えなど必要に迫られて運転する人が多いのに対し、男性には必要がなくても所有してドライブするだけの人や、わざわざ面倒なマニュアルシフト車や、パワステのない重いハンドルの車を選ぶ人が少なくない。

 移動するための道具ではなく、操ることそのものを楽しんでしまう――いわゆる「手段の目的化」である。試合に勝つことよりゲームのプロセスを楽しんでしまう傾向も、男性が強い。その昔、井上ひさし氏は「スポーツの監督は女性的な人が成功する」と指摘したが、その通りである。

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