レンズ部が回転するデジタルカメラは、ソニーでは35万画素の時代から続く得意分野の製品だ。レンズ部が回転すると自分撮りやローアングル撮影など、撮影方法に幅ができる。
ただ、これまでのソニーの製品では、カメラ本体の上にレンズが付くために、ズームレンズを搭載しにくかった。光学ズームレンズが当たり前となった現在では人気も下火となっていたが、ついに「DSC-F88」では光学3倍ズームを搭載して登場した。
DSC-F88の光学ズーム系は、プリズムでレンズ最前面とCCDの向きを90度変えるもので、ソニーではすでに「DSC-T1」などで採用されている技術だ。一般には「屈曲光学系」などと呼ばれる機構で、他社ではコニカミノルタフォトイメージングの「DiMAGE Xg」(関連記事参照)や、オリンパスの「CAMEDIA AZ-1」(関連記事参照)なども、屈曲光学系を使った製品である。
DSC-T1では本体下方に光を屈折させているが、DSC-F88では横方向に光を屈折させている。もちろん、このレンズはDSC-F88用に新設計されたものだ。
本体のサイズは97.8(幅)×25.6(奥行き)×74.4(高さ)ミリで前モデルのDSC-F77の92.6(幅)×27(奥行き)×71(高さ)ミリと大差はない。撮影時の重量は202gとDSC-F77よりも20gほど重くなっている。液晶モニタは1.5インチから1.8インチとやや大きくなった。液晶パネルは外光と内蔵ライトを併用する半反射型ではないが、日中使用しても特に見にくいと言うことはなかった。
搭載する撮像素子は有効画素数510万画素(総画素数530万画素)の1/2.4インチCCDである。「DSC-P100」(関連記事参照)や「DSC-W1」(関連記事参照)などは1.8インチCCDを搭載しているが、DSC-F88は「DSC-T1」(関連記事参照)と同じサイズのCCDを採用している。
レンズは6.7〜20.1ミリ(35ミリフィルム換算で38〜114ミリ)の光学3倍ズームレンズを搭載している。ソニーではおなじみとなったカールツァイスのバリオ・テッサーレンズを搭載しているが、カールツァイスの特徴とも言える「T*」(ティースター)コーティングは施されていないので、特に「抜けがよい」とか「逆光に強い」といったことはない。また、屈曲光学系を採用しているからと言って像のゆがみや色ずれなどが気になることはなかった。
撮影距離は50センチ〜∞、マクロ撮影時はワイド端で8センチから、テレ端で25センチからとなる。さらに「拡大鏡モード」にするとワイド端で1センチまで接写できる。
静止画の撮影モードは「オート」、「プログラムオート」、「マニュアル」、「シーンモード」の4種類だ。シーンモードは「夜景」、「夜景&人物」、「ソフトスナップ」、「風景」、「ビーチ」、「スノー」、「打ち上げ花火」、「高速シャッター」、「キャンドル」、「拡大鏡」の10種類装備される。
バッテリー持続時間はCIPA(カメラ映像機器工業会)規格に基づいた測定方法で約330枚/約165分となっている。DSC-F77が約170枚/約85分なので、バッテリー持続時間は2倍近く長くなったことになる。
DSC-F88では、バッテリー残量の目安として、あと何分使用できるかを時間で表示するが、バッテリーをフル充電したあとに電源を入れると200分前後の撮影時間が表示された。さらに再生モードでは実に400分以上のバッテリー残量が表示された。
実際に使ってみても半日程度使ってもバッテリーがなくなることはなかったので、バッテリーで困ることはそれほどないだろう。
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