では、目安としてどのぐらい持つのだろうか。これをデジカメ本体でテストするのは正直ムリがある。なにせBP-511でも公称600枚の撮影ができるうえ、この値はCIPAの標準テスト条件(CIPA DC-002-2003)とは異なる社内テスト条件なので、これを再現することも厳しい(ちなみにCIPA条件でないのは、Kiss D発表当時、まだ規格が制定されていなかったためだそうだ)。
ということで、定電流放電テストで確認することにした。使ったのは秋月電子のニッカド電池放電キット「K-72」(1200円)だ。
これは、一定電流で放電し設定電圧になったら放電を自動的に停止するという、本来は名称通りニッカド電池のメモリー効果解消を狙ったキットだが、定電流放電テストに使える。
キットから変更したのは、放電終了電圧をリチウムイオン電池用に調整した程度だ。放電電流は約500mA(実測で481〜2mA)となっている。要するに2時間で1000mAh相当の放電が行われると思えばよいだろう。実際のところ、評価はパラメーター次第ともいえるのだが、定電流放電は電池の生のデータに近いので参考になるだろう。
チェックポイントは2つあり、一つは放電完了電圧(5.5ボルト程に設定した)までの時間(t1)、もう一つがKiss Dで使えなくなる電圧、7.20ボルトまでの時間(t2)だ。
開放電圧で8.40ボルトの電池が、放電に伴い電圧を下げるため「t1>t2」となり、t1は電池そのものの能力だが、t2はKiss Dで使えるであろう能力、つまり真に知りたい実力ということになる。7.20ボルトに設定したのは、放電中の電圧降下を0.10ボルトと見込んでいるためだ(ただし実際にはもう少し大きい)。
充電はKiss D購入時に付属しているCB-5Lで行い、マニュアル通り「フルチャージランプが点灯してからおおむね一時間」の充電を最低行っている。というか、交互に充電と放電を行っている。
計測には三和電気計器の「PC20」で行った。別売のケーブル「KB-USB」を使うと、パソコンでデータ取り込みが行えるもので、これに加えて計測ソフト「PC Link Plus」を使うと、マルチ測定も可能という便利なものだ(1チャンネル専用ソフトの「PC Link」も用意されている)。これで放電器の電池接続部分の電位を測定し、毎秒の値を記録している。グラフには示していないが、実際には数回の計測を行っている。
結果はグラフ1、および部分拡大を行ったグラフ2を見てほしい。グラフの末端で電圧が急降下しているのは、設定電圧(大体5.4ボルト。セルあたり2.7ボルト)で放電終了しているためだ。
表■放電終了までの時間(単位:分)
t1 | t2 | |
---|---|---|
BP-511 | 128 | 104 |
BP-511A | 156 | 131 |
比率(BP-511A/BP-511) | 1.22 | 1.26 |
このようにt1、つまり電池そのもののスペックからすると、テストに使ったBP-511Aは、BP-511に比べて22%増しと、やや物足りないかなというレベルだが、デジカメで使える部分では26%増しと、表記上のスペックそのもの、という割と当たり前の結果が出た。価格的には30%増しなのでコストパフォーマンスは低くなるが、バッテリーグリップを使わないなら、実売価格の安いBP-514という選択肢もある。
純正大容量バッテリーの効能はやはり存在することが分かったが、一方、充電方法を工夫して、バッテリーをうまく使う方法はないだろうか。次回は効果的な充電方法を考えてみるつもりだ。
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