「PCI ExpressでゆるんだIT業界に喝!」──Intel 925/915にかけるインテルの期待

» 2004年06月22日 14時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

「今後10年に影響する抜本的な進化」とインテルが呼ぶPCI Express対応チップセット「Intel 925X/915」が正式に発表された6月22日。同日行われた製品発表会でインテル代表取締役共同社長の吉田和正氏は「ゆるくなってしまった半導体業界に“喝!”を入れる」と、新しいチップセットが停滞気味のデスクトップPC市場の起爆剤となることを期待する。

PCI Expressで業界に喝!を入れたいインテル代表取締役社長 吉田和正氏

 「これまで、Centrinoによってモバイル市場に注力してきたが、モバイルだけでは業界を活性化することはできない。デスクトップPCは依然として重要であり、その需要の伸びは“まだまだ”大きい」と、吉田氏はノートPCへのシフトが続く現在のPC市場においても、デスクトップPCとその関連製品が与えるインパクトは大きいと述べている。

 現在、デジタル家電に急激にシフトしているホームユースでも「タイムシフト録画やデジカメで撮影した画像の編集、そして音楽の幅広いデジタル活用など、これらはPCから始まったもので、PCを中心に発展していった」(吉田氏)と、家庭内でデジタルコンテンツを扱う場合において、PCは依然として重要であることをアピールした。

 家庭のPC利用モデルとしてインテルが掲げる「デジタルホーム」では、「高品質で魅力的なコンテンツに、いつでも、どこでも、どの機器からでもアクセスできる」ことが最終的な目標とされている。その実現のために、ハイパースレッディングやCentrinoなどインテルが開発してきた各種技術が利用されるわけだが、今回登場したPCI Expressとその対応チップセットも、デジタルホームの実現のために必須の技術、というのが、吉田氏が発表会で示した「新チップセットの存在理由」であるようだ。

吉田氏がスピーチの最後で示したデスクトッププラットフォームの進化過程。将来予定されているデュアルコアプラットフォームについては「2005年中ぐらいに登場。来年はマルチコアを展開していく」と述べた

 続いて登場したインテルIA技術本部本部長の阿部剛士氏による、具体的なチップセットの説明でも、冒頭で「インテルの2004年プラットフォームテクノロジはデジタルホーム実現へ先進のテクノロジを提供する。これが今回のキーメッセージ」と述べ、技術先行によるPCI Express対応ではなく、あくまでも必要とされる利用モデルがあってこそのPCI Express対応であることを力説。

 その上で、新チップセット「Intel 925X」「Intel 915G/P」の主要な機能として「Intel GMA 900」「PCI Expressバスアーキテクチャ」「Intel High Definition Audio」「Intel Matrix Storage Technology」を取り上げ、いずれも、データ量の多いストリームコンテンツの再生や、マルチストリームの転送、高レートデータの録画に伴なうストレージへの高速アクセスなど、高品質なコンテンツデータをPCで利用する場合に有効な技術、という視点から紹介していたのが印象的だった。

Intel 925X/915で採用されたPCI Express ×16の特徴。アップ/ダウンで共有していたAGPと違い、アップとダウンのそれぞれで独立したバスを確保するのがAGPとの最も大きな違い。帯域幅も従来の2Gバイト/秒から8Gバイト/秒へと大幅に向上した
Intel Matrix Storage Technologyは、RAIDを構成するSerial ATA HDDにRAID 0とRAID 1を共存させるもの。「ゲームや、TV番組の録画は高速なRAID 0にアクセスし、OSや重要度の高いデータはRAID 1に保存すれば、パフォーマンスとデータ保護が両立する」(阿部氏)

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