AGP対応の「GeForce 5700」「RADEON 9600 XT」を搭載したグラフィックスカードで比較したときは、「GeForce 5700がやや優勢ながら、Dircet X 9対応のベンチマークや重負荷状態でのテストではRADEON 9600 XTが盛り返す」といった、名勝負を繰り広げてくれたミドルレンジGPUの勝負であったが、PCI Express対応におけるミドルレンジGPUの争いは「意外なほど」といってもいいほど、RADEON X600 XTが優勢になっている。
以前行った、GeForce FX 5700とRADEON 9600 XTの比較ベンチマークのテスト環境におけるCPUが、Pentium 4/2.53GHzであったのにたいし、今回はPentium 4 540(動作クロック3.20GHz)であることを考慮すると、RADEON X600 XTの結果は、PCI Expressネイティブ対応がどうのこうの、というよりも、システムがパワーアップした分だけテスト結果も向上していると考えられる。
対して、GeForce PCX 5750の結果は完全にGeForce 5700を下回っている。先日紹介したPCI Express対応のGeForce 6800 GTのベンチマークの結果が、AGP対応のGeForce 6800 GTとほとんど同じだったことを考えると、今回のベンチマークでもGeForce PCX 5750とGeForce 5700の結果はほとんど同じ、もしくは動作クロック分だけGeForce PCX 5750が上回るはずだが、結果はまったく逆となってしまった。
いろいろな要因が考えられるが、HSI絡みが大きく作用しているのは想像に難くない。ただし、今回GeForce PCX 5750に適用したドライバがベータバージョンのForceWare 60.85(タイムスタンプは2004年4月23日)と、比較的早い段階に作られているため、HSI周りのチューニングが十分なされていない状態のパフォーマンスである可能性も高い。
もう一度、製品版を入手して再検証してみたいところだが、この結果を見る限り、パフォーマンスはRADEON X600 XTに軍配が上がる。一方で、ミドルレンジで重要になる「価格」という視点で見ると、PCX5750-TD128の平均実売価格2万円弱なのに対して、RX600XT-TD128は約2万7000円と、こちらも明らかな違いがある。
パフォーマンス相当の価格差ともいえるのだが、店頭で値札を見たとき、1万円台のカードと2万円台後半をつけているカードを見比べた場合、予算が優先するユーザーは迷わずPCX5750-TD128を選ぶ気持ちもわからないではない。
ただし、3DMark03 ScoreやGT4、AquaMark3の結果を見ても分かるように、Direct X 9に対応した重負荷の最新3Dゲームにおいて、パフォーマンスに明らかな違いがあるのも事実。価格とパフォーマンスのバランスが気になるならば、RX600XT-TD128は非常に有力な選択肢となりえるだろう。
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