フルモデルチェンジした元祖フラットズーム――DiMAGE X50(1/3 ページ)

» 2004年08月05日 08時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

「DiMAGE X」が登場してはや2年。DiMAGE Xが開拓した「対物レンズに入った光を90度曲げて本体内のレンズに入れることで、レンズを本体内に納めることが可能になり、薄くてレンズが飛びでない光学ズーム」も、いつのまにか各社から登場して、一種の流行のようになっている。

「屈曲光学系」「折り曲げ光学系」「フラットズーム」なんて呼ばれているのがそうで(本レビューでは「フラットズーム」で統一します)、コニカミノルタのDiMAGE Xシリーズのほか、サンヨーの「Xacti J」シリーズ、ソニーの「サイバーショット T」シリーズや「DSC-F88」、オリンパスの「AZ-1」、ペンタックスの「Optio WR」など、結構多くのモデルで使われているのだ。

 フラットズームの特徴は何といっても、レンズ自体をボディに対して縦(あるいは水平)に内蔵すること。それによってカメラを薄くできるし、レンズが飛びでないズームカメラを作れる。さらにレンズの動きが少なくてすむため起動・終了も高速になるし、使用中にレンズをどこかにぶつけてしまう心配もない。

 その分レンズの口径を大きくできない(するとボディが厚くなるので)、クオリティを維持するのが難しいという面もあるが、薄型軽量が望まれる今のデジカメ界にはうってつけなのだ。

 そんな薄型軽量フラットズームデジカメの元祖であるDiMAGE Xシリーズがとうとう5代目にしてフルモデルチェンジを果たした。「DiMAGE X50」である。

フルモデルチェンジしたDiMAGE X50

0.5秒の高速起動とレンズカバー式スイッチは便利

 DiMAGE X50の特徴は、今までボディの端に縦に入っていたレンズを、ボディ中央に横向きで入れたこと。Xacti JシリーズやDSC-F88で採用されていた方式だが、横にしたことで、レンズの位置が普通のカメラっぽくなった。

 今までは左上の端(正面から見たら右上)にレンズがあったため、両手で撮るとき左手の指でレンズを塞ぎやすいという声もあっただろうが、よりカメラっぽいデザインにすることで、一般に受け入れやすいカメラにしたいという面もあっただろう。

 レンズの位置と向きが変わったことで、電源スイッチ系も大幅に変更。従来の電源ボタン式から、レンズカバー開閉式になった。

新たにデザインされたフロント部分。レンズが横向きになり、レンズカバーが電源のオン/オフを兼ねるようになった

 今までのボタンだと押してもスイッチが入ったのかどうか、切れたかどうか分かりづらく、高速起動機にしてはややストレスがあったが、メカニカルでスイッチのオン/オフが明示的なレンズカバー式だとそういうことはない(以前はデータを書き込んでいる最中はスイッチが切れなかったので、電源ボタンを押すタイミングが悪いとスイッチを切りそびれることがあった)。

 シュタッとスイッチが入り、撮影が終わったらデータを書き込んでいる最中だろうが何だろうが閉じちゃえばいいのだ。沈胴レンズ式デジカメでは、データの書き込みが終わらないとスイッチが切れない=レンズが引っ込まないため書き込みを待たないとバッグにしまえないという機種が多いが、DiMAGE X50のようにフラットズームでレンズカバー式ならそんな心配は皆無なのである。ほんの数秒でも時にはストレスになるのだ。

 しかもDiMAGE X50の起動時間は公称0.5秒、実測でも1秒以下。とりあえずレンズカバーを開ければすぐ撮影できると思っていい。これはすばらしく、使っていて快適だ。

 新しくなったレンズは37−105ミリ相当の2.8倍ズーム。3倍ではなくなったが、実用上の問題はないだろう。絞り値はF2.8−5.0。これは残念。コンパクト機としては普通だが、DiMAGE XgではF2.8−3.6と望遠側でけっこう明るかったのである。これはなんとか継承して欲しかったところだ。

シームレスマクロは健在

 DiMAGE X系のもっともよいところは無事継承された。シームレスマクロである。マクロモードにしなくても10センチから無限遠まで自動的にピントが合う。しかも広角側でも望遠側でも最短撮影距離は10センチなのである。

 多くのデジカメは望遠側で急に最短撮影距離が長くなるが、DiMAGE X50はそんなのおかまいなしに、マクロモードにしなくても10センチまで寄れるのだ。ポケットに気軽に入れて気軽に撮って歩く常時携帯型デジカメとしては抜群の仕様だ。特に50センチ以内の近距離の撮影が多い人にはいい仕様だ。

 さらにスーパーマクロモードを使えば、焦点距離は約58ミリ相当に固定されるが、6センチまで寄ることが可能になる。

 CCDは1/2.5インチの500万画素のものを搭載。ISO感度は50〜400で、オート時は50〜160の間で自動的に決定されるという仕様だ。さすがにISO50でも暗部にノイズは浮いてくるが、多くのケースでは気にならないだろう。ISO200だとノイズが目立ってくるので、普段はオートで使えばいい。

 ただ、人物を撮るときはできるだけISO50に固定して撮ることを勧める。人肌のノイズはISO160でもかなり気になるからだ。

 基本的な発色は、やや彩度は高いがナチュラルな色合いといったところ。青空や緑も派手ではあるが、記憶色に合わせて色をいじるというような処理はあまり感じられない。

フルオートシーンセレクターを搭載

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