イーレッツの一連の製品群以降(古くは充電一直線、そしてこの夏の新作となる風光迷微などなど)、USBを活用した、実用性のある面白い製品が数多く発売されるようになった。
いわゆる「光モノ」から「単に電池動作をUSBにしただけじゃん」というものまで各社から出ており、さらにはショップオリジナル(って店員の手作りですかね?)のものも販売されている。
つまり、創意工夫とセンスでオリジナルUSBグッズを作るのもアリということだ。夏休みの自由課題として「USBで動く××」を作った場合、学校の先生がその独創性を高く評価してくれるかどうかやや疑問が残るのだが、その辺は筆者およびPCUpdateは関知しない。健闘を祈る。
電力源としてUSBを使用するため、まずはUSBの規格についてちょっとおさらいしておこう。
USBは外部機器に電力を供給することができる。USBキーボードやマウスが電池レスで動くのもそのためだ。MOやCD-ROMドライブも、頑張れば何とか外部電源レスで動作する。
USBの電圧はマザーボードの内部USBコネクタを見るとわかるのだが、供給元は5ボルトとなっているものの、外部機器に5ボルトが到達することは保証されていない。USB Specification Rev.1.1(PDFファイルはこちら)によると保証値は4.75ボルトで、これがバスパワーハブを介すとその時点で4.40ボルト、さらにローパワー機器の内部では4.35ボルトまで落ち込む可能性があるとなっている。しかし、あまり気にしなくてもいいだろう。ちなみに電圧の上限規定は5.25ボルトとなっている。
問題は電流のほうで、ハイパワー機器で500ミリアンペア、ローパワー機器で100ミリアンペアとなっている。大雑把に言えばセルフパワーハブに繋がっていれば500ミリアンペアまで流すことができるというわけだ。もちろん、電流を使うのは本来、コントローラーにお伺いをかけて使うことになっている。
この辺のやり取りの結果はWindowsのコントロールパネルのシステムにあるデバイスマネージャーから「USBコントローラ」−「USBルートハブ」のプロパティを見ると、「電力」タブに表示されている。
またコネクタだが、4ピンの専用コネクタを使って以下のようになっている。
表1■USBのコネクタの意味と通常のケーブル色(USB Specification 6.5.2 USB Connector Termination Dataより)
番号 | 信号名 | 通常の色 |
1 | Vbus | 赤 |
2 | D+ | 白 |
3 | D- | 緑 |
4 | GND | 黒 |
shell | Shield | シールド |
USBケーブルを流用する場合はケーブル色、コネクタを使う場合は小さく書いてある番号を頼りに配線する。
パワーを使う機器にとってUSBの電流最大値は結構厳しい。特にポータブルCDドライブではギリギリともいえる数値だが、パナソニックの「KXL-CB35AN」のように、二つのコネクタで電力を供給するという製品も出ている。消費電力を見るとUSBバスパワー動作時で5ワットと書いてあるので、おおむね1アンペア以上流れている事になる。
しかし、たいていのマザーボードを見ればわかるように、USBコネクタは二つペアで配置されていることが多く、そのそばにあるポリスイッチ(ヒューズの一種だが、過負荷状態から回復すると自己復帰する特徴を持っている=取り替えなくてよい)は普通1アンペアのものが付いている。ということは、規格を無視して1アンペア流そうと思えば流れなくもなさそうだ。筆者の手元にあるマザーボードを見たら、インテルマザーではUSBコネクタ2個に対して1.5アンペアのポリスイッチが付いていた。
実のところKXL-CB35ANには2種類のUSBケーブルが付属しており、ノートパソコンでも二股ケーブルを使わなくても動作するものが多いという検証をした上で発売しているそうだ。
結局のところ、セルフパワー機器で500ミリアンペア、一応5ボルトで、掛け算すると2.5ワットまでの出力がUSBポートで使えるというわけだ。
セルフパワーのUSBハブを持っているならば見てほしいのだが、そのアダプタの規格にはサポートポート数×500ミリアンペアの掛け算程度になっていることが分かるだろう。つまり、多少インチキだが1アンペア流せなくもないということだ。ただし、今回の面白グッズ(や市販のUSB充電ケーブルの類)はUSBを勝手に使っているだけで、システムとのやり取りはしていないので念のため。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.