組み上げて配線を確認して早速動作させると……ファンが回らない。最大に回す設定でトロトロとファンが回る程度だ。何が悪いのかとテスターで当たってみると、FETのD-S電圧が高い。つまり、12ボルトのファンに対して低い電圧が加わっている状態だ。
この原因はGにかかる電圧が低いからで、2SK2886をスイッチとして使うためにはGにおおむね4ボルトほどかけないとだめだ。コンパレーターの出力電圧が意外と低かったので何らかの方法で電圧を上げなくてはいけない。回路を変更する必要があるが、ここでは手っ取り早い解決方法を使った。
過電圧に弱いのはICなので、定格をチェックすると、今回使用しているLC555、LM358、LM35は電源電圧を12ボルトにするのは何の問題もない。回路の5ボルトへのハンダ付けを外して、FETのDから電源ラインに配線を付けた。これで内部回路はすべて12ボルト駆動ということになる。
この場合はファンコンとして正常に動作し、回転を上げるのも下げるのも問題なく動作した。ただし、遅いほうはファンが止まってしまうのだが、これは致し方ないところだ。
では次に温度感知と思って問題が発生した。500Ωの可変抵抗を68kと300Ωで分圧させているのだが、12ボルト用の設計ではない。コンパレーターにかかる電圧は以下のようになる。
Vmin=12×(300/300+500+6800)=473.68mV
Vmax=12×(800/300+500+6800)=1263.16mV
これでは温度検知が動作しないので、手持ちの抵抗で確認するために急遽10kを追加してチェックしたが、これで大体動いた。さらに温度検知では回転速度がゼロにはならなくなった。
これは先のコンパレーターの部分で分かるように、コンパレーターがオンでも電源電圧がそのまま出力されるわけではなく、それよりも下の電圧になるからだ。12ボルトの時に実測すると大体10.3ボルトぐらいなので、もう少し可変範囲を増やしてやる必要がありそうだ。
最後にウルトラ強力ファン(Deltaの「AFB1212SHE」で12ボルト/1.60アンペアの爆音製品だ)でテストしたところ、ヒートシンクをFETにつけなかったのだが、少々発熱していた。
まあ、現実的にはこんなファンを取り付けることはないし、この熱でも問題ないとは思うが、ヒートシンクをつけたほうがよかったかもしれない。一方、PWMの周波数はあまり低くても意味がなかったようだ。この辺も考慮して、もう一度定数を計算しなおしたのが以下の回路図だ。
ちょっと回路図も複雑になってきて、先週のように行き当たりバッタリで組み出すと、非常に格好悪い作成例になってしまうので、今回は配置もちょっとがんばって考えてみた。
5ミリぐらいの方眼紙があれば、そこのパーツと配線をウンウン唸りながら置いていくというのが定番の方法だが、方眼紙のない仕事場だったのでペイントソフトを駆使して基板配線図を作って、これで配置を考えた。
パターンは基板の穴に沿う形にすると将来の(?)プリントパターン化にも役立つのだが、時間と根性の関係でジャンパが3つ必要となってしまった。あと、テストも兼ねて温度感知オフのジャンパヘッダも付けた実態配線図がこちらだ。
部品代は1000円もかからないが、これだけ動けば面白いだろう。温度センサーは今回基板にそのまま取り付けたが、これをケーブルを介して取り付けるようにすれば、特定の場所の温度警報つきのファンコンにもなる。
今回の作業はユニバーサル基板で作ると少々難しいと思うが、時間をかければ正しく動作するはずだ(もうちょっと回路を考え直してキット出してくれると面白いですけど、どこか出しませんかね)。ゆとりがあれば抵抗等の定数を変えてみる、三角波の発振もオペアンプで行い、ICを減らすなど応用を考えてみるとよいだろう。
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