ノートPC向けCPUだったPentium Mの「電気をくわないのにパフォーマンスは高い」という特徴は、すでに早くから静音性能を重視する自作PCユーザーからも注目されていた。「5万8万当たり前」というPentium M搭載可能なデスクトップ向けmicroATXマザーが今年初めに一部のパーツショップで発売されたが「入荷すれば即完売」という状況が続いていたことからも、その期待の高さが分かるだろう。
ただ、より多くのユーザーがPentium M搭載の自作PCに手をつけるにはその高価格がネックだったらしく、ノートPC用CPUにしては珍しく、Pentium Mのリテールパッケージがパーツショップで大量に流通する、という追い風があったにも関わらず、大きな流れとなるまでには至らなかったようだ。
価格が高い原因を「特定ユーザー向けの製品であることと、インテルのデザインガイドに従って8層基板を使っているため」と説明していたFA向けPentium Mマザーのメーカーは、加えて「コンシューマ向けに4層基板を採用して価格を抑えることは技術的にも難しいだろう」と述べていた。
世界規模でみても「デスクトップPCにPentium Mを使うなんて考えられない」という意見が大勢で、それゆえ台湾のマザーボードベンダーもコンシューマ向け製品を開発してこなかったのだが、唯一、AOpenは「日本に自作PC市場では、Pentium Mを搭載できるデスクトップPCマザーが盛り上がっている」という(ある意味、強硬な)リクエストに応じて製品を開発し、日本市場限定でいち早くi855GMEm-MGFを投入してくれたのだ。
i855GMEm-LFSはPentium M(最新のDothanコアにも対応)を搭載するマザーであるので、チップセットもノートPC用のIntel 855GMEとICH4-Mの組み合わせになっている。チップセットのスペック的にはデスクトップ向けのそれと比べてやや旧式であるのは否めない。
これで、価格が3万円弱とはちょっと高いのではないか、と思うユーザーもいるかもしれない。しかし、そこは日本のユーザーを知り尽くしたAOpen、サウスブリッジの弱さをオンボードのコントローラを充実させることで克服している。
例えば、IEEE 1394はAgereのコントローラ「FW3226-100」によってカバー(ただし、バックパネルにインタフェースはなく、基板にコネクタピンが実装されているのみ)し、Serial ATAもPROMISEコントローラ「PDC20579」によって二つのインタフェースが用意されている。Serial ATAはRAID 0、1の構築も可能だ。
ユニークなのがギガビットイーサで、Marvellの88E8001-LKJをオンボードに二つ実装している。当然インタフェースも二つ用意されているわけだが、このあたりの仕様から推測するに、Edenマザーでよくあるような「インテリジェンスなギガビットNAS」的用途のためにi855GMEmは開発されていたのかもしれない。
i855GMEmは3万円弱の実売価格で「入荷即完売」という人気マザーとなり、しばらく入手困難な状況が続いていたが、最近、AOpenに続いてDFIからも同価格帯のPentium Mマザー「DFI855GME-MGF」が店頭に並ぶようになってきた。
型番からも推察できるように、こちらも搭載するチップセットはIntel 855GME。ゆえに、ノースブリッジ周りのスペックも、1chのPC2700メモリバスにAGP 4X、FSB400MHzとi855GMEmと同じになっている。
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