だが、サウスブリッジはi855GMEmのICH-4Mではなく、より多機能なICH5がベースの「6300ESB ICH」を実装。このため、拡張スロットや接続インタフェース周りのスペックがi855GMEmと異なっている。最も大きな違いはPCI-Xのサポートだ。
64ビットバスを使えるPCI-XはギガビットイーサやSerial ATA IIコントローラカードなど、ハイスペックな拡張カードが用意されている、どちらかというとサーバ用途のスロットだ。このあたりの仕様を眺めてみると(i855GMEmもそうだが)、PCI-Xをサポートする855GME-MGFもどことなくサーバに組み込むことを想定して開発されていたような雰囲気を醸し出している。
そのほかにも、二つのUltra ATA/100対応IDEに加えてSerial ATA 150対応コネクタも二つ用意されるなど、ストレージ系のインタフェースが充実。Serial ATAはRAIDにも対応しており、RAID 0、1の構築が可能だ。
オンボードチップでインタフェースを充実させているのもi855GMEmと同様で、IEEE 1394コントローラはVIA VT6307を、ギガビットイーサコントローラはRealtekのRTL8110Sを搭載している。
サウスブリッジの違いはあるものの、オンボードチップのおかげで両者のインタフェース周りのスペックにさほど違いはない。バックパネルを見てもギガビットLANのコネクタを二つ用意したi855GMEmにたいして、855GME-MGFは6ピンのIEEE 1394コネクタを用意するが、PCI-Xスロットにギガビットイーサカードを差せば、2系統のギガビットイーサを利用して、インテリジェンスなギガビットルータシステムが構築できるだろう。
どちらも汎用のPentium 4対応クーラーユニットが使えないPentium Mマザーということで、パッケージには専用のクーラーユニットが同梱されている。i855GMEmにはすでに多くのメディアで紹介されてユーザーの評価も高い、優れた静音性能を誇るクーラーユニットがセットになっている。
DFIのパッケージにもPentium Mにそのまま実装できるクーラーユニットが同梱されている。背が低く底面積の広いヒートシンクに比較的径の大きいファンを取り付けていたAOpenとは異なり、DFIは背が高く底面積が狭いヒートシンクに小口径のファンを取り付けた対照的なデザインになっている。
カタログスペックからすると、かなり音が大きそうな予感がしたが、いざ実際に動作させて見ると意外なほどに音量は小さい。それこそ、AOpenのクーラーと代わらないほどの静かさだ。ただ、小口径のファンだけあってしばらくすると、やや高めの風切り音に気が付くかもしれない。
さて、デスクトップ用マザーボードといっても、ノートPC用のPentium MとIntel 855GMEを搭載しているわけだから、その優れた省電力性能は利用したい。具体的にはPentium Mで機能が拡張されたSpeedStepをデスクトップでも利用するということになるわけだが、i855GMEmには専用ユーティリティのなかに、SpeedStep機能の設定項目が用意されている。
一方のDFI855GMEはハードウェアモニターツールやRAID構築ユーティリティが用意されているものの、SpeedStepの設定ツールや動的にクロックを変更できる機能が用意されていない。
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