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2004/12/16 15:46 更新


なぜRAWモード撮影がよいのか?

ハイエンドデジカメの世界で急速に存在感を高めているデータ記録モードがある。それが「RAW」だ。RAWはその言葉の原義通り「生」あるいは「未処理」を意味する。なぜRAWモード撮影がよいのか。その特徴と長所をレポートしよう。

撮像素子が捉える情報とJPEG/TIFFの違い

 一般に我々が使うデジタルカメラは、1枚の撮像素子(CCDやCMOSセンサ)を用いてデジタル画像を生成する。

 撮像素子が1枚の場合、輝度情報はあらゆる場所で取り出せるが、色に関する情報は特殊なセンサを用いない限り簡単には取り出すことができない。ビデオカメラでは、光を三つに分けてRGBの各原色の明るさを取り込むことで色を作る3CCD方式も使われているが、スチルカメラでは構造的に難しい。

 そこでデジタルカメラでは、縦横2ピクセルずつ計4ピクセルを一組として、赤(R)と青(B)を1ピクセル、残り2ピクセルで緑(G)の信号を取り出し、演算で各画素の色を予測するベイヤ配列というカラーフィルタを配置して映像を作り出している。ベイヤ配列のカラーフィルタを通過した光がイメージセンサに電荷として蓄積され、それぞれの画素の電荷を10〜12ビットでデジタル情報に変換して、カメラのデジタル部に引き渡すわけだ。

 ハイエンドのコンパクトデジタルカメラやデジタル一眼レフカメラにあるRAW(生)記録モードとは、このイメージセンサが読み出したままの情報を直接記録するモードのことだ。この時点では、各画素は完全な色情報を持っていない。

 メモリカードにJPEGやTIFFで記録する場合、カメラはRAWデータから完全な色情報を持つデジタル画像に変換し、さらに好ましい(あるいは忠実な)色になるように加工してから記録を行う。その際に、各画素は各原色ごとに8〜10ビットのRGBデータとなるわけだ。

JPEG/TIFF記録では情報劣化・喪失が不可避

 RAWデータからRGBデータを作ることを現像処理と言うが、10〜12ビット分のダイナミックレンジを持つ各画素センサからの情報を加工し、さらに色調整を行うため、計算の過程で丸めナシで計算結果を表現するために必要なビット数が増えていく。8〜10ビットの階調へと丸められると量子化誤差は固定化され、その後の加工で誤差は徐々に拡大して階調が失われたり色相がズレるといった問題が発生する。

 理想的な状態で撮影されているならば、これでも問題になることはほとんどない。現像時には基準となるホワイトバランスや輝度を決めなければならないが、理想的な撮影環境では量子化誤差が後々の問題になる事は少ないからだ。

 ところが、カメラが判断したホワイトバランスや露出が必ずしも正しいとは限らない。その場合、いったん現像処理を行ってしまうと、その後の加工でどんどん量子化誤差が拡大し、階調や色表現に問題が出てきてしまう。

 しかし、RAWデータを記録しておけば、ホワイトバランスや輝度の基準をユーザーが変えながら、望みのパラメータで現像できる。たとえばホワイトバランス設定を間違えていたとしても、現像時に正しいホワイトバランスを指定することでカバー可能だ。露出がアンダーならば、露出補正を現像時に加えることで、増感設定をあらかじめ行ったのと同じような結果を得ることができる。

 そして、ここが重要なところだが、イメージセンサが捉えたすべての情報を持つRAWデータから直接、最終的なRGBイメージを取り出すことで、現像後の加工で失われる多くの情報を捨てずに済む。

mk_fig001.gif

RAWデータ記録とJPEG/TIFFデータ記録との違い

 デジタル一眼レフカメラなどハイエンドデジカメの世界でRAWモード撮影が存在感を高めている理由は、まさにここにあるのだ。

[本田雅一,ITmedia]

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