ではちょっと趣向を変えて、これを導入した場合に“やりがち”な実験をいくつかしてみることにしよう。
実験1 手のひら認証はできるか
最近、東京三菱銀行に「手のひら静脈認証」対応のATMが置かれている。これ一回やってみたいのだ。
手のひらの親指部分が本体のくぼみにちょうどフィットし、もしかしてとも思った。しかし、スキャン範囲が狭いためか(当然、これが仕様なのだが)、それとも手のひらを押しつける部分が広すぎるためか、紋というより“しわ”だからなのか、登録できなかった。
登録には同じ指紋を計4回スキャンする必要があり、すべてをクリアしなければならない。センサー部分に触れる範囲を調節することで1面もとい1回め、2回めはクリアできたこともあったが、4回連続でとなると難しい。また、たとえ登録できたとしても、シビアすぎて通常利用には耐えられないだろう。
→結果:ダメ。
実験2 顔ではどうか
映画などで、眼球の黒目に現れる皺のパターンを識別する認証方法「虹彩認証」を見たことはないだろうか。しかしさすがに目を押し当てることはできないので、どこが適当か……そうだ鼻だ。
結果は予想外にうまくいく。手のひらより認証作業そのものは難しくはないし、登録もできた。しかし実際問題、実用的でないことは言うまでもない。
→結果:なぜか微妙に大丈夫?。
実験3 足の指ではどうか
では足の指ならどうか。
足の指にももちろん指紋があるし、センサー部に収まらないほど太いわけでもないから予想はできたが、これは問題なし。もちろん、いつも裸足という人向け。
→結果:大丈夫。
実験4 肉球ではどうか
では同じ指でもねこの指、つまり「肉球」ではどうか。
残念ながらダメだった。指肉球は楕円形だが小さすぎ、メイン肉球は形が……という感じのようだ。
→結果:ダメ。
そういえばこの後、愛猫に指紋登録していた右人差し指を引っ掻かれた。幸い指の腹ではなかったが、けがをすると認証できなくなる可能性があるので、全部とは言わないがいくつかの指をあらかじめ登録しておくことをお勧めする。
さて、マイクロソフトによると「指紋リーダーは、セキュリティを強化するための機能ではありません。企業ネットワークへのアクセスや、財務情報などの機密データを保護する目的では使用しないでください」と記載され、あくまで個人利用による認証作業を簡略化するものとしている。
しかし、セキュリティ上よろしくないとは分かっていつつも、面倒なので「パスワードを記憶する」にチェックしていたパスワード認証サイトが改めて多かったことが、今回の指紋登録作業時に分かった。このような状態ではセキュリティなどないに等しく、それを気づかせ、すべて指紋登録を行うようなきっかけ作りができることは、セキュリティレベルを高める一歩にはなると思う。
ThinkPad T42pのように本体に搭載されるわけではないため、モバイル用途を主とする筆者ノートPCの場合には、常時携帯するほど必須となりえるデバイスではない。しかし、この便利さは一度使うと忘れがたく、家族用PCなど、同一PCを数人で使うような環境にあるユーザーであれば確実に便利で、有益なデバイスであると言えよう。
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