数百コア搭載の「メニーコア」CPU――Intelが2015年に計画

» 2005年03月04日 14時02分 公開
[IDG Japan]
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 米Intelは2015年までに、マルチコアプロセッサと仮想化技術への初期の取り組みが、コンピューティングの変革に必要なだけの性能レベルを提供できる、もっと洗練された技術に進化することを期待している。同社の研究開発責任者が3月3日、Spring Intel Developer Forum(IDF)で語った。

 Intel上級フェローで、コーポレートテクノロジー部門ディレクターのジャスティン・ラトナー氏は、将来のコンピュータが、ユーザーと相互にやり取りして、予測機能を発展させられるようになることを望んでいる。

 「技術がもっと自然になり、われわれが世界のさまざまな情報機器と会話できるようになったらいいと思う」(同氏)

 このビジョンを実現するために、Intelは、ラトナー氏の前任者パット・ゲルシンガー氏が昨年のIDF Springで語った「テラ時代」の先駆けとなる技術を開発する必要がある。ハード開発者は、インテリジェントコンピューティングの世界を実現するために、テラFLOPSの性能を持つプロセッサで数テラバイトのデータを処理できるシステムを構築しなければならないとゲルシンガー氏は昨年話していた。1月のIntelの組織改編の一環として、現在ゲルシンガー氏はデジタルエンタープライズ部門の責任者を務め、長らく研究職にあるラトナー氏が技術開発を率いている。

 今年のIDFではデュアルコアプロセッサのブリーフィングと、プロセッサおよびチップセットに組み込まれる新しい仮想化技術の説明が多数行われている。Intelは2015年に、数百の処理コアを搭載した、ラトナー氏が言うところの「メニーコア」プロセッサの量産に入り、グラフィックスコントローラやストレージなどほかのパーツを仮想化できるようにしたい考えだ。

 ラトナー氏によると、Intelは、プログラマーが数百のコアを載せたプロセッサを活用する手助けをする新しいプログラミング言語「Baker」に取り組んでいる。同社はこの言語を複数の処理エンジンを持つ自社のネットワークプロセッサでテストしており、またこの言語が作業負荷の変化を検出して、必要な処理コアを割り当て、不必要なコアの消費電力を削減する方法をデモした。

 別のデモでは、PCが仮想化されたグラフィックスコントローラ上で、2つの負荷の高いグラフィックス処理を同時に実行する様子が披露された。仮想化により、2つのアプリケーションはいずれもグラフィックスコントローラをフルに活用できると判断した。さらにハードが進歩すれば、両方のアプリケーションでも驚くほど鮮明な3Dグラフィックスを実現できるだろうとラトナー氏は語った。

 もちろん、これらの新技術にはメモリからの安定したデータの供給が必要となる。それができなければ、フルに性能を発揮することはできないだろう。スタックドチップやスタックドウエハーなどの新しいパッケージング技術を使えば、CPUとメモリチップの間でより多くのデータをやり取りできるようになると同氏。

 またIntelのシリコンレーザー開発における最近の成果は、プロセッサの光インターコネクトに道を拓くかもしれないと同氏は語った。光インターコネクトは、プロセッサ上のデータ転送を光の速度に近づける可能性を持つという。

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