イリジウム衛星電話で外洋からインターネットにアクセス勝手に連載!「海で使うIT」(4/5 ページ)

» 2005年08月15日 22時26分 公開
[長浜和也,ITmedia]

データ圧縮ツールを使って高速アクセス

 この問題を少しでも解決するべく、イリジウムでは専用のデータアクセスソフトウェアとデータゲートウェイを用意して、データ圧縮を利用した高速通信を提供している。

イリジウム衛星電話専用の高速データ通信ソフト「Apollo」で提供される環境設定ツール「Apollo Configuration」と状態表示ツール「Apollo Controller」

データキットでPCと端末を接続すると端末は「Iridium V1100 9600-Motorola 95xx Series」のモデムとして認識される。Apolloは専用のゲートウェイ「Iridium Direct-Internet」にアクセスすることでデータ圧縮を利用した高速通信を実現する。Apolloをインストールした時点でアクセスするためのUsernameとPasswordが設定されている

アクセスは状態監視ツールのApollo Controllerから行う。最上部にある[Connection]のアイコン(画像では“手”になっているが、未接続時は“電話”になっている)をクリックするとダイヤルからログインまでを自動で処理する。TCI/IP接続が確立すると画像のように「You are connected」となる。KNSLが「検証済み」と薦めてくれたアサヒ・コムに洋上からアクセス。[Transmit]には送信したデータ量、[Receive]には受信したデータ量、[Call Times][Total Calls][Dropped Calls]は通話時間と接続、断線の回数がそれぞれ表示される。「Peak Compression」には送受信の圧縮レートが示されるがあくまでも瞬間最高値で、実際にアクセスしているとテキストデータで4〜5対1程度の圧縮が実現していた

すでに圧縮されているデータ、たとえばここでダウンロードしている天気図画像のJPEGデータなどでは当然ながら圧縮がかからない。Apollo Controllerに表示される[Compuression]の値も「1:1」のまま。2400bpsでは1分間ダウンロードしてもここまでしか受信できない。Webサイトにアクセスする場合はインターネットオプションで画像やマルチメディアデータの再生をオフにしておきたい

 以上のように、テキストベースなら十分な速度が出せるデータ圧縮も、画像ベースとなると残念ながら実用的とはいえなくなる。携帯電話用に供給されている低解像度の天気図でも洋上では十分役に立つのだが、ほとんどの気象サービスWebサイトではPCからのアクセスを認めていない。せっかく洋上からインターネットにアクセスできるのに、何とかならないだろうか。

 KNSLによると、インマルサットではユーザー向けサービスとしてテキストベースのWebニュースサイトや低解像度の天気図Webサイトを用意しているという。ハードウェアのコストが抑えられるイリジウム衛星電話ユーザーにも、同じようなテキストベース、低解像度画像が提供されるWebサイトサービスが必要ではないだろうか。

イリジウムの日本正式復活と「船検」の関係

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
最新トピックスPR

過去記事カレンダー