「サイバーショット中国販売中止」で現地消費者の反応は?山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

» 2005年12月20日 12時04分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

その後のIT系メディアの報道、そして中国庶民の反応

 こちらの速報にあるように、上海の隣にある浙江省工商行政管理局が、同省で販売されているメーカー6社のデジカメ34機種をテストした結果、13機種がホワイトバランスと画質の均一性で基準を満たしていないと判断。

 現状で唯一社名と該当製品が公表されたソニーは、対象製品の出荷を中国全土で停止し、同社のプレスリリースで謝罪のコメントを発表。購入したユーザーの対応をフリーダイヤルで行うとした。問題の機種は「DSC-H1」「DSC-L1」「DSC-P200」「DSC-W7」「DSC-W5」「DSC-S90」の6機種。

 中国の一部報道によると、当局の判断基準となったのは、国家経済貿易委員会が発布した国家行業標準JB/T10362-2002「デジタルカメラ」GB14437-93のテストと、該当する製品を生産した上海索広電子有限公司の社内テスト。この両方のテストで基準を満たせなかったとされている。

 また、報道では、松下、キヤノン、オリンパスも同様の問題を抱えていると、当局関係者が語ったと伝えている。

 ポータルサイトの「新浪網」(SINA.com)、「捜狐」(SOHU)、「網易」(NETEASE)や、IT系ポータルサイトの「IT168.com」が、特設掲示板を開設するほどに、中国ではこの話題が大きく取り上げている。

 中国で「ソニーのサイバーショット」といえば、ほとんどの機種が売上上位にランクインする、中国ではデジカメの代名詞的な存在。また「ソニー」そのものが日本のメーカーとして名が知れている。そんなソニーのデジカメが検査に引っかかった、ということで、ITに通じた人々が集う掲示板は普通のニュース以上に賑わっている。

 掲示板の書き込みで多いのが「やっぱりねぇ」という、「これは想定内の事件」とする意見だ。実というと、中国の消費者は「日本のメーカーはよい製品を日本国内、欧米に振り分け、最後に中国を含むアジア諸国に製品を出荷する」「だから中国には品質がよくない、そして壊れやすい製品ばかり出回っている」という先入観を強く持っている。筆者の周りの中国人もそういった品質の優先順位にまつわる「噂」を聞いており、そして、信じていた。

 秋葉原で、中国でも売っている日本製電器製品を「これでもかっ」と買い込む中国人観光客を見たことがあるかもしれない。これは、さっきの噂の裏返し、つまり、「日本で売られているものはよい」という先入観の表れでもある。そんな中国人の先入観があって、今回の販売停止は「やっぱり、日本企業は中国向け製品に品質の低いロットを回していたのか」という書き込みが掲示板で目立つのである。

該当製品の中国における販売状況は

 この当局の発表と、それを報じるニュースを受けても、該当製品が「なんでもあり」の中国で販売されているのか? 該当製品以外のサイバーショットは販売しているのか? そして、ソニー製品全体に影響が出ているのか? 筆者のいる、内陸部(奥地ともいう)の省都で確認してみた。なお、今回確認した限り、該当製品の販売停止や返品受付の「告知」を見ることはなかった。

個人商店が並ぶ電脳街。サイバーショットは問題の製品を含め販売していた

中国全土で大型電器店を展開するチェーン店「国美」。ある国美の店舗ではソニーコーナーが丸ごとなくなってたり、ある店舗では該当商品の値札はあっても、展示品がなかったり。別の大型電器チェーン店「蘇寧」でも同じ傾向だった
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