だがPiper Jaffrayのサンティアゴ氏は、新たなシナリオが展開する可能性を指摘している。
Dellの創設者であるマイケル・デル氏は先週ラスベガスで開催されたConsumer Electronics Show(CES)で、AMDプロセッサを提供する可能性を示唆した。またサンティアゴ氏によれば、Dellの販売チームはHPやIBM、Sun Microsystemsなどの競合各社の製品に対抗できるよう、Opteron搭載サーバを販売したがっているという。
「さらにわれわれは、AMDベースシステムを出荷するはっきりとした可能性を示唆したマイケル・デル氏の最近のコメントにも注目している。デル氏との会話からも、市場での競争力を高められるよう、同社の販売チームがOpteronベースのサーバ製品を望んでいることが見て取れる」とサンティアゴ氏は記している。
そのほかのアナリストも、DellがAMDとの契約に近づきつつあることを感じ取っている。
「両社はもうすぐ契約という段階まできているはずだ」とEndpoint Technologies Associatesのロジャー・ケイ社長は語っている。
同氏によれば、競争のためにはDellもそうせざるを得ないのだという。
「そうしないと、競合他社が喜ぶことになる。競合他社は、エンタープライズ市場でDellを打ち負かすための武器を持っているからだ。フォーチュン100社のうち88社がOpteronサーバを導入しているということは、各社がそれぞれIBMやHPなどのライバル会社からシステムの供給を受けていることになる。競合他社が優良クライアントの間で着々と足掛かりを築くなかで、傍観者的態度を取り続けることは、Dellにとって良いことではない」とケイ氏。
別のアナリストによれば、DellはAMDプロセッサを使って、消費者のほか、再販業者や企業向けの低価格デスクトップPCを提供する可能性もある。
Technology Business Research(TBR)のアナリスト、ブルックス・グレイ氏は最近の報告書で次のように指摘している。「TBRは、Dellが向こう2年以内にPC製品にAMDプロセッサを採用すると考えている。またDellは、ホワイトボックスベンダー向けにDellブランドのAMDベースPCを提供し、ノンブランドのプラットフォームをOEMグループを介して推進するだろう。Dellはおそらく、現行のCeleronデスクトッププラットフォームをAMDシステムに置き換えることになるはずだ。コンシューマーおよびバリューユーザー向けのデスクトップシリーズDimension 2400とDimension 3000は、Dellのポートフォリオの中でもAMDプロセッサがフィットする好例となる」
一方、サンティアゴ氏は報告書で、かなりの量のDellマシンにAMDが採用される可能性を指摘している。同氏の調査によれば、2006年下半期には、Dellのサーバの10%、デスクトップの5%、ノートPCの3%をAMDが占めることになり、2007年には、Dellのサーバの20%、デスクトップの10%、ノートPCの6%にAMDが採用される見通しという。
AMDは財政的にも復活しそうだ。サンティアゴ氏の報告書によれば、Dellへのプロセッサ販売により、AMDの2006年第2四半期の売上高は1億4400万ドルに達する見通し。
AMDの広報担当者はこれらの報告書に関するコメントを断っている。Dellの広報担当者は、「当社の計画に変更はない」と語っている。
Illuminataのアナリスト、ゴードン・ハフ氏によれば、全般的に見て、特に過去数四半期のDellの決算状況を鑑みれば、DellがAMDプロセッサを採用するとの見通しには説得力がある。
「Dellの業績はここのところ、あまり芳しくない。その理由の1つとしては、OpteronがIntel製品よりも優勢であるという点がある。ただし、IntelやDellやAMDの重役室の特別な情報をつかんでいない限りは、どの人の見解も単なる憶測にすぎない」と同氏。
なお、ハフ氏によれば、AMDがIntelに対して今よりもはるかに優勢に立っていた6〜9カ月前にDellがAMDプロセッサを採用していれば、事はDellにとってもっと有利に運んでいたはずという。
「Intelはまだ実際にはサーバ分野でAMDに追いついていないにせよ、同社は既に自分たちの欠点を把握し、目下、AMDとの戦いに向けて、明確な投資を行い、取り組みを進めている。6〜9カ月前は、Intelはもっと暗い状況に置かれていた。戦いが進み始めた今になって、なぜAMDに移行するのだろうか?」と同氏は語っている。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.