また、パーツのピックアップと並行して行われるHDDへのOSのインストール作業も、完全に自動化されている。HDDを専用のデータコピー機に接続し、そこでまた組み立て指示書のバーコードを読み取らせる。すると組み立て指示書のデータが参照され、その製品に必要なOSの種類やドライバ類、アプリケーション類が自動的にHDDにコピーされるのだ。この自動インストールシステムでは、まずOSのクリーンインストールイメージがコピーされ、その後に必要なドライバやアプリケーションのセットアップデータがコピーされる仕組みとなっている。OSやドライバ、アプリケーションのコピーは約20分ほどで終了するそうだ。
本体の組み立て作業やマニュアル類などの梱包作業も、同様に組み立て指示書のバーコードを読み取らせながら行う。パーツを集める際に用いられているデジタルピッキングシステムはこれらの作業工程でも活用されており、間違ったパーツを取り付けてしまったり、間違ったマニュアルを梱包することがないようになっている。これら作業は、HDDにOSのイメージなどをコピーする約20分の間に並行して行われる。
本体の組み立てが完了したら、最終的な製品チェックが行われる。ここでも「自動検査システム」が用意されており、組み立て指示書のバーコードを読み取らせることで自動的に製品検査が行われる。
ドライバやアプリケーションのインストール作業もこの段階で自動的に行われる。自動インストールシステムでOSのクリーンインストールイメージなどがコピーされたときに各製品固有のセットアップ用スクリプトが作成され、それを実行することでその製品に必要なドライバやアプリケーションが自動的にインストールされるわけである。
映像表示の確認や音のチェックなどは作業員が個別に行うことになっているようだが、それ以外の作業は完全に自動で行われるため、製品検査も非常にスピーディだ。各種インストール作業と自動検査を含め、この工程も約20分で完了するそうだ。
自動検査が終了すると、製造の最終段階として本体と同梱品が梱包され、出荷されることになる。ここでもデジタルピッキングシステムが活用されており、その製品に必要な同梱物がランプで指示され、さらに発送伝票もその場で発行される。もちろん発送伝票番号はEDCSシステムにフィードバックされ、顧客は自分のマシンがいつ配達されるのか、簡単に照会できるようになっている。
今回実際にデスクトップPCの製造工場を見せてもらったが、HDDにOSやドライバなどをコピーし、パーツを集め、本体を組み立て、品質検査を経て、梱包・出荷されるまで、1台につき1時間もかかっていなかった。時間のかかるHDDへのOSのインストール作業や製品チェック&ドライバ、アプリケーションのインストール作業は同時に10台以上行われており、かつ製造ラインも複数あるため、1時間あたりの製造台数は100台を優に超えるキャパシティがあるそうだ。
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