A3ノビの写真プリントがさらに手軽に――「PX-G5100」(2/2 ページ)

» 2006年03月22日 11時00分 公開
[榊信康,ITmedia]
前のページへ 1|2       

PX-Gモデル初のEpson Color――手軽に見栄えのする写真プリント

 オートフォトファイン!EX、つよインク、純正写真用紙のうち、インクは言うに及ばず、写真用紙もPX-G5000で使用できたので、実質的にはオートフォトファイン!EX(以下、APF EX)の追加こそが従来との差異となる。APF EXは撮影したデータから人物と風景を自動で判別し、それぞれに適した補正を行う。以前のAPF 6でも、「記憶色」の影響が大きい空や海、人肌などの被写体は、専用のパラメータで補正を行っていたが、APF EXではさらに人物検出能力を向上させたとのことだ。このため、「逆光などで人物に露出が合っていない」「色がかぶって表情がおかしい」といった場合に人肌の部分だけを補正しても、背景に影響が及ぶことがない。また、風景の補正にしても、Adobe RGBをターゲットにして補正するため、プリンタの演色能力が十分に引き出せる。

上がAFEXの「人物」、下が補正なし。効果の差は歴然だ

 このようにEpson Colorは、自動補正技術としてはよくできている。ただし、その補正値はユーザーの嗜好調査による最大公約数に合わせているため、作品作りに適しているとはいえない。あくまでも“手軽さ”を前提としたものであり、プロ仕様のMAXARTシリーズを購買する層ならば見向きもしないだろう。ただ、コンシューマ向けのPX-Gクラスならば、あるいは有効かもしれない。

 いずれにせよ、PX-Gプリンタ初のEpson Color対応機というのがPX-G5100の売り文句なので、さっそくサンプルを打ち出してみた。色変換はプリンタドライバに一任。無論、Epson Colorモードを使用している。

Epson Colorを使ったプリント結果は?

 結果はご覧の通り、やや沈みがちだが高彩度という実にEpson Colorらしい出力になった。このほかにも色々と印刷したところ、人肌の表現は相変わらずいぶったような印象だが、風景は比較的見栄えのするプリント結果が得られた。

左がEpson Color(自動)、右がAFEXの「風景」
右がマニュアル色補正(AdobeRGB)、左が補正なし

 もう1つの追加点は、「MAXART K3」シリーズと同時に登場した「Velvet Fine Art Paper」と「UltraSmoooth Fine Art Paper」に対応したことだ。どちらも印刷面に独特の風合いを持たせたコットン紙であり、光沢紙とはまったく雰囲気の異なる作品を作り出せる

 また、蛍光増白剤やにじみ防止剤も使用しないので、長期間に渡り安定した品質が期待できる。PX-Gシリーズは光沢感が持ち味だが、光沢紙一辺倒ではもったいない。様々なメディアへのプリントを楽しめてこそ、大判の顔料プリンタを購入した甲斐があるというものだ。対応メディアの拡充は大きな意味合いを持つといえるだろう。

A3ノビ対応モデルの普及につながるか

 このほかの変更点は「Adobe Photoshop Elements 3.0」が添付されるようになったことくらいだ。ソフトウェアの改良や追加が変更の大部分を占める見事なまでのマイナーバージョンアップである。ただ、かつてのPX-G5000の役割はA3ノビ機の敷居を下げることにあったように思うし、これを推し進めるために今回のPX-G5100でEpson Colorに対応したのはそれなりに有効だろう。また、ファインアート紙の凄さを体験してもらうのは、ユーザー層の裾野を広げるために意義のあることだ。新モデルとしての面白味には欠けるものの、プリントの楽しさを伝えるという明確なコンセプトが現れており、パッケージとしての完成度が向上したのは間違いない。

 なお、デジタル一眼ユーザー向けのA3ノビ対応機としては、キヤノンの顔料10色モデル「PIXUS Pro9500」と、染料8色モデル「同Pro9000」が夏の発売を控えている。予想実売価格は前者が8万円前後、後者が6万円前後となっており、どちらも実売7万円前後のPX-G5100と競合する形だ。一足先に投入された本機が市場にどう評価されるのか、要注目である。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー