米AMDは6月1日(現地時間)、半導体業界アナリスト向けの技術説明会「AMD Technology Analyst Day 2006」をカリフォルニア州サニーベールにある本社キャンパス内で開催した。同社は、パフォーマンスを要求するゲームユーザーなどのために向けた新プラットフォーム「4x4」や、サードパーティが特定演算向けコプロセッサを自在に同社プラットフォーム上へ追加できる「Torrenza」などの新技術を紹介したほか、先日発表したドイツのドレスデンにある同社プロセッサ製造施設への25億ドルの投資による製造キャパシティ増加計画まで、2008年までの一連の戦略ロードマップを公開した。
x86プロセッサの世界ではIntelに先駆けてプロセッサコアのデュアル化を進めているAMDだが、次の段階となるクアッドコアの世界もまもなく実現する。同社では、2007年中ごろにもクアッドコアを採用したCPUをリリースする計画で、まずはサーバ向け、次いでデスクトップPC向けと順次製品を投入していくことになる。
AMDではこれに先駆ける形で、ゲームなど高いパフォーマンスを必要とするパワーユーザー向けに「4x4」(フォー・バイ・フォー)という新しいプラットフォーム環境を提案する。4x4では、デュアルコアCPU×2とデュアルGPUを搭載したグラフィックスカード×2をHyperTransport経由のDirect Connect Architectureで直結させて、合計で4つのCPUコアと4つのGPUが1つのマシン上で動作させる。グラフィックスカードのマルチコア化は、ATIのCrossFireやNVIDIAのNVIDIA SLIなどの技術を利用する。これにより、クアッドコア移行を前に、従来のデスクトップPCでいち早くクアッドコア相当のパフォーマンスを引き出すことが可能になる。最終的には4x4でクアッドコアCPU×2をサポートし、最大で8つのCPUコアまで処理することが可能になる。
同社によれば、こうしたパワーユーザーは同時に何個ものアプリケーションを走らせるケースが多く、マルチコア化によるマルチスレッド処理の高速化で大きな恩恵を受けることになると述べている。またプラットフォーム自身のマルチコア化が進むことで、マルチスレッドを活用したゲームなどのアプリケーションの数の増加にもつながると考えているようだ。
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