PC USER Pro

対話型PDFで作業効率を大幅アップ――アドビ「Adobe Acrobat 8 Professional」(1/3 ページ)

» 2006年10月13日 08時00分 公開
[松井幹彦,ITmedia]

電子文書の世界標準“PDF”をもっと活用する

「Adobe Acrobat 8 Professional」を使えば、データ入力が可能なPDFを手軽に作成できる

 電子文書といえば、大半の人がPDFを思い浮かべるだろう。アドビシステムズの開発したPDFは、文字通り電子文書の世界標準となっている。このPDFドキュメントは、アドビシステムズが無償提供しているAdobe Readerで閲覧することが可能だ。閲覧ソフトが無料であること、希望した印刷状態が確実に再現される安心感があること、この2つがPDFを世界標準に押し上げたといえる。

 さらに最近のPDFには、もうひとつの新しい特徴が追加されている。それは、PDFが持っているオリジナルの情報を損なうことなく、あとから情報を付加できるということだ。

 たとえば、官公庁などで使用する申請書や届け出用紙は、誰がどんな環境でプリントしても同じものが得られなくてはならないため、まさにPDF向きだ。実際にPDFでの提供が広く行われている。一方、提供された申請書や届け出用紙の記入欄にあわせて、手元のパソコンを使ってデータを入力したいという希望もある。そういった要望にあわせて、最近は印刷しなくても、入力フォームに直接データを記入できる対話型のPDFが登場している。

 本稿では、この「データ入力できるPDF」をSOHOで活用する方法について紹介しよう。PDF作成ソフトは数社から提供されており、最近では文書作成ソフトを中心に、PDFでの書き出しが可能な製品も増えてきている。しかし、安定して質の高いPDFを作成しようとすれば、やはりアドビシステムズのAdobe Acrobatシリーズが最適だ。PDFの開発元ならではの機能の豊富さ、そして信頼感の高さは、とくにビジネスユースでは重要なポイントとなる。

Adobe Acrobat 8シリーズのラインアップ

 11月より順次販売が開始される予定の最新版「Adobe Acrobat 8」シリーズの日本語版は、フリー版のAdobe Reader 8を除くと、「Adobe Acrobat 8 Elements」「Adobe Acrobat 8 Standard」「Adobe Acrobat 8 Professional」「Adobe Acrobat 3D Version 8」と4つのグレードに分かれており、この順番で機能が多くなっていく。たとえば、下表のように、ワンクリックでPDFを作成できる対応アプリケーションが増える。

ワンクリックでPDFを作成できるアプリケーションの対応状況
PDFをワンボタンで作成(Windows版の場合) Elements Standard Professional 3D
Word
Excel
PowerPoint
Outlook
Internet Explorer
Publisher
Access
Lotus Notes
AutoCAD
Microsoft Visio
Microsoft Project
主要なCADアプリケーションで作成した3DモデルのPDF変換

 グレードによる違いは、ワンクリックPDF作成機能の対応状況だけではなく、利用できるツール類にも現れている。単にPDFを作成するだけなら最下位のElementsでも十分だが、それ以上にPDFを活用したいのなら、StandardかProfessionalがおすすめだ。Standard以上を使うことで「印刷状態を再現するためのPDF」から一歩も二歩も踏み出した「情報を追加できるPDF」が利用できるようになる。さらに最上位の3Dでは、3Dモデルを盛り込んだPDFを扱う専門家のための機能も用意されている。

 StandardとProfessionalの基本的なツールは共通で、Standardでも「ノート」「ハイライト」「描画」「スタンプ」などの機能が利用できる。また、レビュー参加者からのコメントを集約する機能や、スキャンした紙文書をOCRを使って検索可能なPDFにする機能なども共通だ。今回のバージョンアップで追加された「複数フォーマットの関連ファイルを束ねて1つのPDFファイルとして扱う機能」(PDFパッケージ機能)もStandard以上に装備されている。

 StandardとProfessionalのいちばん大きな違いは、「フォームフィールド」の付いた対話型のPDFを作成する機能だ。これは、Professionalからの装備となる。またProfessionalを使えば、「ノート」「ハイライト」「描画」「スタンプ」などの一般的なツール類や「フォームフィールド」「電子署名」などの機能を、無償のAdobe Readerでも利用できるように権限を付与できる。つまり、無償のAdobe Readerしか持っていないユーザーも含めた高度な「統合ドキュメント環境」を作成できるのがProfessionalということになる。SOHOにとって、この違いは大きいだろう。

Adobe Acrobat 8 Professionalのスタート画面(画面=左)とAdobe Acrobat 8 Standardのスタート画面(画面=右)。Professional版には、データ入力用のフォームフィールド付きPDFを作成、配布、収集できる「フォーム」ボタンが用意されている
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月28日 更新
  1. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  2. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  3. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  4. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  7. いろいろ使えるFireタブレットが最大7000円オフ! Echo Budsは半額以下で買える! (2024年03月26日)
  8. 2025年までに「AI PC」を1億台普及させる――Intelが普及に向けた開発者支援をアップデート ASUS NUC 14 Proベースの「開発者キット」を用意 (2024年03月27日)
  9. 15.5万円の有機ELディスプレイ「MPG 271QRX QD-OLED」に指名買い続出 (2024年03月25日)
  10. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー