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対話型PDFで作業効率を大幅アップ――アドビ「Adobe Acrobat 8 Professional」(3/3 ページ)

» 2006年10月13日 08時00分 公開
[松井幹彦,ITmedia]
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データ入力が可能なPDFファイルを手軽に配布

 こうしてデザインが完成したらAdobe LiveCycle Designerを終了し、再びAdobe Acrobat 8 Professionalでの作業に戻ろう。ツールバーの「フォーム」メニューから「フォームを配布」を選択すると、ウイザード形式でフォームの配布作業が行える(画面9)。この「フォームを配布」ウイザードでは、返信方法を指定し、返信されたフォームデータの収集用ファイルを設定する(画面10)。この際、「ファイル名_dataset_0001.pdf」というファイルが自動的に作成される。フォームの発送先(受信者)のメールアドレスは、アドレス帳などからまとめて入力することが可能だ。また、電子メールの依頼メッセージは、あらかじめひな形が作成されている。

 さて、依頼メールが発送されて受信者の手元に記入フォームが届いた。画面11は、受信者がAdobe Readerからデータを入力している様子だ。データ入力の作業にはバージョン7以降のAdobe Readerが必要で、古いバージョンのAdobe Readerで開いた場合にはバージョンアップを促すメッセージが表示される。

 Adobe Readerによるデータ入力の完了後、ドキュメント上に用意されている「電子メールで送信」ボタンをクリックすれば、記入済みのフォームが自動的に返送される。

画面9:再びAdobe Acrobat 8 Professionalに戻り、「フォームを配布」コマンドを実行する。この作業もダイアログボックスを使ったウイザード形式になっており、操作は分かりやすい

画面10:「フォームを配布」ウイザードの手順は4画面に分かれている。画面は「データ収集ファイル」を設定したところ。初期設定では「ファイル名_dataset_0001.pdf」といったファイルが作成される

画面11:配布されたフォームにデータを記入する。無料で配布されているAdobe Readerを使って記入できる。入力が完了したら「電子メールで送信」ボタンをクリックすると返信される

返送されたデータの収集や整理も簡単

 配布したユーザーは、返信されてきたメールに添付されたPDFファイルをダブルクリックするだけで、先程の「ファイル名_dataset_0001.pdf」ファイルにデータを集約できる。また、メール以外の手段で受け取ったPDFファイルについては、特定のフォルダに保存しておき、まとめてデータを読み込むといった処理も可能だ。このように、データの収集は完全に自動化されるので、転記ミスなどの心配から解放される。

 データ収集用のファイルを開くと、収集したデータは画面12のように表示される。画面上部がデータベースになっており、このウインドウでレコードを選択すると、画面下部のフォーム上で内容を確認することができる。必要なら個別のドキュメントとして印刷や保存が可能だ。また、このデータは、CSV形式やXML形式のファイルとして書き出せる。CSV形式で書き出すとそのままExcelで扱えるため、すぐに表計算ソフトを使った集計や分析などの作業に取りかかれるというわけだ(画面13)。

画面12:収集されたデータはこのように表示される。画面上部がデータベース領域になっており、選択したレコードの内容が画面下のフォームに差し込まれる

画面13:収集したデータは、CSV(カンマ区切り)形式のテキストファイルで書き出すことができる。そのままExcelのワークシートに表示して集計や分析作業をすることが可能だ


 以上のように、Adobe Acrobat 8 Professionalを利用することによって、対話型のPDFを作成することができる。しかも、フォームの作成から、配布、データの記入、回収、そして集計までの一連の作業を手間いらずで行うことができる。これまでのPDFではできなかった作業が行えるだけでなく、データの転記などの苦労からも解放されるのだ。

 ここで取り上げた例のような「注文書などのフォームにインタラクティブにデータを記入してもらい収集する作業」は、いろいろなところに応用が効くだろう。クライアントからの正確なデータを効率よく収集できるのだから、SOHOにとって値千金の機能といってよい。これらの機能を駆使することで、まさに高度な電子文書のメリットを満喫できる「統合ドキュメント環境」ができあがるのだ。

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