VistaかXPか、それが問題だ――デル「XPS M1210」ダイレクトPC最前線(1/2 ページ)

» 2007年04月24日 11時11分 公開
[王深紅,ITmedia]

Windows VistaとXPを両方選べるXPS M1210

12.1インチワイド液晶ディスプレイを搭載したXPS M1210

 デルの個人向けノートPCで最も小型なモバイルPCが「XPS M1210」だ。サイズは297(幅)×221(奥行き)×31.4(高さ)ミリ、重量も約1.98キロ(6セルバッテリーとコンボドライブ搭載時)と国内ベンダーのモバイルPCに比べ大柄だが、12.1インチワイドの光沢液晶ディスプレイを備え、CPUにCore 2 Duo T7400(2.16GHz)を搭載できるなどパワフルな仕様が光る。

 このXPS M1210は、OSがWindows XPの時に2度掲載しているが(Core 2 DuoCore Duo)、OSがVistaになってからは今回が初めてだ。

 現在、本機は個人向けのBTOメニューでWindows VistaとXPのOSが選択できる。XPはHome Edition/Professionalが、VistaはHome Premium/Business/Ultimate(32ビット)と計5種類が用意されており、どれを選択するかが悩ましいところだ(Inspironシリーズのワンランク上に位置付けられるシリーズだけに、Vista Home Basicの選択肢が省かれている)。会社ではネットワークやセキュリティの関係でVistaの使用が禁じられていたり、利用するアプリケーションがVistaに未対応だったりとさまざまなケースがあるため一般化は難しいが、今PCを買うならVistaのほうがベターだけど、XPでも困らないという人が多いのが実情ではないだろうか。そこで、ここではVistaとXPのどちらの幸福度が高いのか、それぞれのBTOメニューやベンチマークテストの結果から考えてみよう。なお、実機の使い勝手や細かい使用感などは前述の過去記事を参照してほしい。

1280×800ドット表示対応の12.1インチワイド光沢液晶ディスプレイを搭載する(写真=左)。キーボードは日本語のほか、英語キーも差額なしで選択可能だ(写真=中央)。メモリスロットは底面から簡単にアクセスできる(写真=右)。ACアダプタはサイズが58(幅)×137(奥行き)×28(高さ)ミリ、重量が約360グラムと大柄だ

まずは選べるBTOメニューを比べてみる

XPベーシックパッケージの最小構成
CPU Core Duo T2300(1.66GHz)
メモリ 512Mバイト(512Mバイト×1)
HDD 60Gバイト(5400rpm)
光学ドライブ CD-RW/DVDコンボ
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 945GM)
液晶 12.1インチワイド(1280×800ドット)
OS Windows XP Home Edition(SP2)
価格 8万4657円(キャンペーン/パッケージ価格適用ずみ)
価格は2007年4月22日現在

 価格という面では、やはりXPモデルが有利だ。原稿執筆時はXPのベーシックパッケージ期間限定のオンラインクーポンを併用することで、XP Home Editionの最小構成モデルなら8万4657円とInspironシリーズに迫る低価格を実現していた。

 一方のVistaモデルでは、必要最低メモリが1Gバイトに増えたり、ワンセグチューナーカードが付属するなどハードウェアのスペックが上昇するため、OSにHome Premiumを選んでも最小構成で11万6157円と3万円以上の開きがある。しかも、XPモデルの最小構成といっても右の表のように手堅いスペックにまとまっており、メモリを1Gバイトに増設すれば、大半の利用用途で不満を感じることはないだろう。なお、OSの選択による制限を除けば両者でBTOメニューに違いはない。

 試しに、XPモデルをVistaと同じ仕様にしたところ、それでも1万円強の差額があった。キャンペーンやパッケージによって金額や割引率が異なるので一概には言えないが、XPモデルのほうが安いのは間違いなさそうだ。ちなみに、ここで紹介したベーシックパッケージは2000台限定のため、記事掲載時に売り切れている可能性がある。そのときは個人事業主/SOHO向けのメニューをチェックするといいだろう。タイミング次第では、個人向けよりも安く購入できる場合がある。

BTOメニューには、エスケイネット製のワンセク放送対応チューナーカード「MonsterTV 1D Expressカード for DELL」が用意されている(写真=左)。左側面にあるExpressカードスロットにワンセグチューナーカードを装着すると、カード部分が46ミリほど出っ張る(写真=中央)。キー入力時に触れることはないが、アンテナが少々目障りだ。TV番組の視聴/録画には専用ソフト「1Dコントローラ」を利用する(写真=右)

 上で述べた例はあくまで価格を最重視したケースであり、コストパフォーマンスという視点では話が異なる。このXPSシリーズはオンラインパッケージの割引価格が非常に高く、高いスペックにすればするほど、液晶ディスプレイやワンセグチューナーカードなどの周辺機器がセットになればなるほど割引率が上昇する。こちらのページを見れば分かるように、一番高価なパッケージになると割引価格は実に11万6000円を超える。そのぶん、パッケージによってはメモリが2Gバイト固定であったり、ワンセグチューナーカードが外せないなどBTOメニューに制約が生じてしまうが、自分の考えていた構成に近いパッケージがあれば、それをベースにBTOすることをおすすめしたい。絶対的な金額は高めになってしまうが、PCのスペックを考えるとお得に仕上がっていることが多いのに気がつくはずだ。割引価格が高いパッケージは大半がVista搭載モデルになっており、コストパフォーマンスを重要視するならば、間違いなくVista搭載モデルを選んだほうが満足感が高いと言える。

 下の表は、Vista搭載の「エンタテインメントパッケージ」と「Vusta Ultimate搭載特別パッケージ」を同じ仕様にした時の価格差をまとめたものだ(キャンペーン/パッケージ価格適用ずみ)。PCのスペックは共通にもかかわらず、パッケージが異なるだけで1万9000円弱の差が生じているのが分かる。このあたりが直販モデルの分かりにくさであり、楽しさと言える部分なのは間違いない。いずれにせよ、直販PCの価格は水物であり、日ごろの価格チェックが欠かせないと言えるだろう。

液晶ディスプレイ上部に、130万画素のLogitech製Webカメラを搭載できる(写真=左)。カメラ部分を180度回転させることも可能だ。Qcamソフトウェアの設定画面(写真=中央)。動画や静止画をキャプチャできるが、画質はそれなりだ(写真=右)

パッケージ別の価格差比較
項目 エンタテインメントパッケージ Ultimate搭載特別パッケージ
CPU Core 2 Duo T5500(1.66GHz) Core 2 Duo T5500(1.66GHz)
メモリ 2Gバイト(1Gバイト×2) 2Gバイト(1Gバイト×2)
HDD 160Gバイト(5400rpm) 160Gバイト(5400rpm)
光学ドライブ DVD±RW DVD±RW
グラフィックス GeForce Go 7400 TurboCache GeForce Go 7400 TurboCache
液晶 12.1インチワイド(1280×800ドット) 12.1インチワイド(1280×800ドット)
そのほか ワンセグチューナーカード ワンセグチューナーカード
OS Vista Ultimate Vista Ultimate
価格 17万4167円 15万5298円
価格は2007年4月22日現在

 次のページでは、VistaとXP搭載時のベンチマークテストから両モデルを比較してみよう。

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