5月14日に発表されたATI Radeon HD 2000シリーズの最上位モデルとなるのがATI Radeon HD 2900 XT(Radeon HD 2900 XT)だ。80ナノメートルという従来と同じプロセスルールを採用したRadeon HD 2900 XTは発表と同時に搭載グラフィックスカードが出荷される。ただし、65ナノプロセスルールを採用するATI Radeon HD 2600シリーズと同2400シリーズを搭載したグラフィックスカードの出荷は6月末あたりと見られている。
Radeon HD 2000シリーズに導入された新技術やRadeon HD 2900 XTのスペックについては、こちらの発表記事に記載されている。評価用のRadeon HD 2900 XTの動作クロックをCatalyst ControlPanelで調べたところ、3D処理時におけるコアクロックは743MHz、メモリクロックは828MHzとほぼ定格の値を示していた。評価作業で用いたドライバ「Catalyst」はAMD(ATI)から提供された「Catalyst 8.370.4.0」を用いている。
Calatystを導入するときに、Radeon HD 2000シリーズでHDMIインタフェースを単体でサポートするためにGPUに組み込まれたサウンドコントローラのドライバなども一緒に導入される。ただし、AMD(ATI)によると、UVDはこれから登場するCatalystでサポートされてることになっている。そのため、この記事ではUVDの効果を評価するテストは行っていない。
今回評価で使ったグラフィックスカードはAMD(ATI)から提供されたリファレンスカードで、クーラーユニットにヒートパイプを組み込んだ2スロット占有タイプの空冷方式が搭載されているほか、裏側にもビデオチップから発生する熱を拡散放熱させる厚手の金属製パネルが取り付けられている。カード後端にはPCI Express外部電源のコネクタが設置されているが、1つは従来の6ピンタイプでもう1つが新しく採り入れられた8ピンタイプになる。
評価作業には8ピンのPCI Express12ボルトコネクタを有するEnermax(クーラージャイアント)の電源ユニット「INFINITI EIN720AWT」を使用した。現在市場に出ている8ピンPCI Expressコネクタを持つユニットはキロワット級の4万円台の製品が多いが、このユニットは720ワット級(ピーク出力800ワットに対応)で3万円以下と購入しやすい価格設定が特徴だ。
今回の評価作業では、デルの30インチワイド液晶ディスプレイ「3007WFP-HC」を利用して「1920×1200ドット」「2560×1600ドット」の超高解像度の環境で測定している。比較対照はNVIDIAの統合型シェーダユニットを採用しているハイエンドGPU「GeForce 8800 GTX」とその下位バージョン「GeForce 8800 GTS」を選んだ。ただし、価格帯に競合するのはGeForce 8800 GTSのビデオメモリ640Mバイトモデルであるが、今回は調達機材の関係で320Mバイト搭載モデルと比較している。
なお、評価に使った「Catalyst 8.370.4.0」を適用すると3DMark系ベンチマークが起動しない。これはAMD(ATI)も認めていて、「解決はFuturemarkの対応待ち」としている。発表と同時に出荷される製品に同梱されているCatalystでも同様の現象が発生する可能性があるが、この場合、3DMark系ベンチマークテストの起動パラメータとして「-nosysteminfo」を与えると動作するようになる。今回の評価作業でもこのパラメータを与えて3DMark系の測定を行った。
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