インタビュー
» 2007年09月28日 12時01分 UPDATE

25年めのマウス:他社の追従ではない――「SideWinder Mouse」担当者インタビュー (1/2)

“SideWinder”の名を冠した製品がゲーミングマウスとして復活する。25周年を迎えたマイクロソフトハードウェアプロダクト部門に話を聞いた。

[後藤治,ITmedia]
og_ms_001.jpg 左が最新技術を結集した「SideWinder Mouse」、右が同社最古の「Mouse with Windows 286」

 マイクロソフトのハードウェアプロダクト部門は今年で設立25年めを迎える。Microsoft Wordをより直感的に扱うためのインタフェースとして同社が初めてマウスを開発したのが1982年(発売は1983年)。当時のマウスは、クリックボタンを2つ備えただけの非常にシンプルなボールマウスだった。一瞬の反応速度を競う、現在のFPSゲーム向けマウスと並べれば、その四半世紀に及ぶ改良の軌跡がいかに大きなものであったか分かるだろう。

 現在マイクロソフトが販売する周辺機器は、マウスはもちろん、キーボードやWebカメラ、ヘッドセットなど多岐に渡り、それらの特徴的な機能は、同社の主力製品であるアプリケーションとの連携において、非常に重要な意味を持つ。古くはマウスのスクロールホイール、新しいところでキーボードのMedia CenterコントロールボタンやWebカメラのCallボタンなどは、ハードウェアとソフトウェアの統合を示す典型例だ。

og_ms_002.jpgog_ms_003.jpgog_ms_004.jpg 今秋リリースされる新製品の注目モデル。1Gバイトのメモリを内蔵した「Mobile Memory Mouse 8000」(写真=左)、本体両端をホールドしてMediaCenterを操作できる薄型ワイヤレスキーボードとマウスのセット「Wireless Entertainment Desktop 8000」(写真=中央)、200万画素CMOSセンサーを搭載する「LifeCam VX-7000」(写真=右)

 今秋も同社ハードウェアプロダクト部門の歴史を更新する数々の新製品が発表されたが、その中でも注目はかつてのゲーム向けブランド「SideWinder」の名を復活させた「SideWinder Mouse」だろう。最も性能を要求されるゲーマー向けモデルこそ、進化の最先端にあるマウスと言っていい。マイクロソフトエンターテイメント&デバイス事業部ハードウェアグループのケリー キムラ氏(Kelly Kimura、以下キムラ氏)、ロバート ヒッキー氏(Robert Hickey、以下ヒッキー氏)、エレイン アンセル氏(Elaine Ansell、以下アンセル氏)の3人に話を聞いた。


――今年で25周年ということですが、最初のマウスを発売してから現在まで、革新的な変化は年表上のどこにありましたか?

og_ms_008.jpg ケリー キムラ氏

キムラ氏 大きく2つか3つあると思います。何よりもまず、マウスそのものを導入したこと。Wordと統合したハードウェア製品という形でマウスをリリースしたのが我々(ハードウェア部門)の歴史にとって最も大きな出来事でした。

 2つめは初めて光学式マウスをリリースしたとき。この1999年はいままで苦労させられていたボールを省き、市場に革命的な現象を起こしました。そして3つめがスクロールホイールを採用した時点です。いまやほとんどのマウスにはスクロールホイールが導入されていますが、多くのユーザーはこれを不可欠なものと認識しているはずです。

――御社は現在マウスだけでなく、キーボードやWebカメラ、ヘッドセットなどをリリースされていますが、これらのハードウェアカテゴリは、そもそもどういう基準で決定されているのでしょうか。OSを作っているから、というのは分かりますが。

キムラ氏 どの分野で製品を出すのか、これには非常に複雑な意志決定のプロセスがあり、多くの要因があります。ユーザーがどのように弊社の製品を利用しているか、どのようなハードウェアカテゴリでユーザーニーズを補完できるか……。

――大きく見ればソフトウェアとハードウェアの統合、ソフトを補完するカテゴリですよね?

キムラ氏 そうです。

アンセル氏 私たちは3つの分野――生産性、コミュニケーション、エンターテインメントにおいて、それぞれのハードウェアカテゴリがどのような形でお互いを補完できるかを考えています。それに加えて、マイクロソフトが企業としてどの市場に最も価値を発揮できるか、またユーザーニーズだけでなく、どのような形で各チャンネルにおける流通をすすめるのか、あるいは開発の状況など、多岐に渡る要素から(カテゴリが)決まってくるわけです。

――昨年はWebカメラ市場に参入していますが、これもインスタントメッセンジャーというソフトを補完するハードウェア、という見方ができると思います。そういった観点から次に計画している分野はありますか? 例えば、ペンタブレットなんてどうでしょう?

ヒッキー氏 いつも我々は、どのように(ハードとソフトの統合を)横断的に進められるかを考えていますし、Windows Vistaの普及にも力を入れています。ただしその際には、タブレットということを具体的に挙げるまでもなく、多くの選択肢からどの製品なら納得できて、何が既存の製品との統合で整合性が取れるかといったことを考えており、またユーザーやチャネルの状況などを合わせたうえで検討しています。

――さまざまなカテゴリを“検討”していることは分かりました。それで例えば、“実はもうすぐタブレット製品が出るんだよ”なんてことは……

キムラ氏 現時点でその具体的な計画はありません(笑)

アンセル氏 すべての製品で我々が実現しようとしているのは、PCとの、あるいはサービスとの統合です。今回の製品で言えば、SideWinderの専用ボタンからゲームのランチャー(Games Explorer)を呼び出したり、Desktop 8000でMedia Centerを操作したり、LifeCamのWindows Live Callボタンでメッセンジャーを起動するといったことです。そういった統合を進めていくうえでさまざまな選択肢を考慮できるのが、他社にない強みだと思っています。

――その他社についてですが、ユーザーのニーズがあれば、これまで御社とほかのベンダーとの間で築かれてきた関係とは別に、どの分野にも参入する可能性があるということでしょうか。例えば、御社のインスタントメッセンジャーとLogitechのWebカメラとは協業関係にありましたが……。

og_ms_009.jpg エレイン アンセル氏

アンセル氏 我々は常にユーザーが求めているものを調査し、最も快適な体験をどのようにして伝えるかという点から製品開発を行っています。

 Webカムに関していえば、これまでユーザーはもっと簡単にビデオチャットを楽しみたいという要望を持っていました。それがLifeCamでWindows Live Callボタンというフィーチャーを実現した根拠になっています。これによってビデオチャットをするためのステップをよりシンプルにすることができました。常にユーザーのニーズを最優先にして計画を進めています。

――なるほど。話は変わりますが、Logitechといえばモバイル向けのスピーカーなどもありますね。今回御社が発表した「Mobile Memory Mouse 8000」(フラッシュメモリ内蔵マウス)を見ても思ったのですが、入出力デバイスの統合化という方向性を感じます。例えば今後、Webカメラやスピーカーなどを1つのデバイスに統合していく計画はありますか?

ヒッキー氏 ちょっと複雑な質問ですね……。いろいろな目的のためにいろいろなニーズはありますが、モバイル向けに複数の目的を1つのデバイスで満たしたいと考える人がいる一方で、同時に単一の機能を持った専用デバイスを求める人もいます。我々は、市場調査によって浮かび上がるユーザーのニーズに、できる限り応えていく努力はしています。

――多くの人が注目している「Microsoft Surface」(マルチタッチ対応タッチパネル付きのディスプレイ内蔵テーブル型PC)をコンシューマ向けに開発する予定は?

キムラ氏 いまは具体的な開発予定を持っていません。ただ、我々は何が優先順位の上位にあるか、常に検討しています。

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