ベンチマークテストの結果を紹介する前に、VIP 9750a TypeUGに向いている利用場面を確認しておきたい。先ほども少し触れたが、AMD 780GとRadeon HD 3450の組み合わせは、HDコンテンツ再生環境をコストパフォーマンスに優れたシステムで提供できることに特化している。その分、ハイパフォーマンスが求められる3Dゲームなどではある程度の制約がでてくる。VIP 9750a TypeUGのコンセプトを考えるとき、HDコンテンツの再生などで、いかにストレスを感じさせないかがポイントとなる。
そこで、まずはHDコンテンツを再生したときのCPU負荷を見るため、マイクロソフトから配布されている高精細コンテンツのショーケースで配布されている動画のうち解像度が1280×720ドットのものと1920×1080ドットのものの、2種類のファイルを用意した。
再生したときの画面解像度は1024×768ドットと1280×1024ドットで、再生ツールは「Windows Media Player 11」を用いた。HDコンテンツ再生時のCPU負荷率の変動を見てもらえれば分かるように、4コアがそれぞれほぼ同じ負荷を分担しているのが分かる。いずれのケースでもCPU負荷は22〜35%程度の範囲で推移している。この程度なら、動画を再生しながらマルチタスクでほかの作業を行ってもストレスを感じることはないだろう。
それにしても評価機で見るHDコンテンツ、特に1920×1080ドットにおける動画の美しさには驚かされる。これは個人な感想になってしまうが、このPCでHDコンテンツを見てからほかのPCで同じ動画を見た場合、原色の発色具合や色の濃淡など、細かいところがどうしても気になってしまう。ディスプレイの個体差による可能性もあるので、評価機で使ったディスプレイを比較したPCに接続してみたが同じような違いをはっきりと感じた。このPCでHDコンテンツを扱うユーザーはきっとその画質に満足できるはずだ。
ベンチマークテストの結果を踏まえて考えるに、VIP 9750a TypeUGは、バリュークラスの予算でHDコンテンツをフルに利用できるPCといえる。OSなし、追加グラフィクスカードなしの構成なら7万9800円、今回評価した構成のWindows Vista Ultimate(32ビット版)とRadeon HD 3450をオプションで選んだ構成でも11万3100円となる。この価格でクアッドコアのCPU、AMD 780G、そしてRadeon HD 3450との組み合わせでHybrid Graphics環境が手に入るのだから、素晴らしいコストパフォーマンスといえるだろう。
OSにはWindows Vista以外にWindows XPも用意されている。Windows XPはProfessional、Home Edition、Media Center Edition 2005 with Update Rollup 2から選択可能だ。Windows Vistaへの移行にまだ踏み切れないユーザーもこれなら問題ない。コストメリットを生かして快適なHDコンテンツライフを送るには最適なPCといえるはずだ。
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