そもそもMS-IMEを使用するにあたって、きちんとヘルプなりマニュアルなりを読んでのぞむユーザーはそれほど多くはないだろう。最低限必要なキーバインドの知識のみで始めることがほとんどのはずだ。こういったユーザーにとっては、ATOKに移行しても何ら問題はない。インストール時にMS-IME風のキー操作を選択することができるし、MS-IMEでの登録単語の引き継ぎもスタートアップツールで行うことができる。最初からMS-IMEからの移行ユーザーが考慮されているのだ。
もっとも、MS-IMEとATOKではモードの区分けが異なっていたり、サポートしている操作に違いがあるため、MS-IMEスタイルにしていても完全に同じ操作にはならない。例えば、ローマ字入力で「ju(じゅ)」と入力した後にバックスペースを押すと、MS-IMEでは最後の「ゅ」だけが削除されて「じ」は残るがATOKだと「じゅ」が丸ごと削除される。また、変換後、確定させずにバックスペースを押すと、MS-IMEが変換文字を1文字削除するのに対して、ATOKでは変換文字を未確定に戻す。
文字入力中に半角/全角キーを押したときの挙動も異なる。MS-IMEでは日本語入力がオンのまま、半角英数入力に切り替わる(キー設定上は動作なし)が、ATOKでは今まで入力していた部分が無変換で確定したうえで日本語入力がオフになる。
機能面ではないが、デザインの変化から違和感を受ける部分はある。まず最初に気づくのは変換字の表示色、下線のデザインだろう。MS-IMEでは文字色、背景色のほか、下線の有無、色、種類が実線、点線、太線、ディザ細線、ディザ太線の5種類からと、下線のバリエーションが豊かだが、ATOKは下線は有無の指定しかできない。そのため、下線中心のMS-IMEとは必然的に表現が異なってくる。
ただし、アプリケーションによっては微妙に表示が異なるようだ。Microsoft Office 2007、IE7、ワードパッドでは未確定文字は破線の下線になるが、メモ帳、Safari、秀丸エディタなど多くのアプリケーションでは実線の下線で表示される。これらのアプリケーションでは最後の文字の後ろに下線付き半角スペースが表示されるケースがほとんどだ(確認した範囲では例外はSafariのみだった)。
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