「WinHEC 2008 Tokyo」でアピールされたWindows 7元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2008年12月18日 02時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

Windows 7で強力なエコシステムを構築する

キーノートスピーチを行う陣内裕輔氏

 12月16日、マイクロソフトは東京都内で「WinHEC 2008 Tokyo」を開催した。ハードウェア開発者向けのイベントであるWinHECは、11月上旬にまず米国ロサンゼルスで行われた後、中国、台湾と巡り、アジアツアーの最後として東京での開催となった。

 WinHEC 2008のテーマは、「Windows Ecosystem」だ。現在開発が進められているWindows 7とそのサーバ版であるWindows Server 2008 R2(開発コード名としてはWindows 7サーバー)に最適なハードウェアプラットフォームを、ハードウェアパートナーとともに構築していくことを目標とする。マイクロソフト ディベロップメント プランニング&PCエコシステム プリンシパルグループ プログラム マネージャー担当の陣内裕輔氏が行ったキーノートスピーチでも、パートナーやエコシステムといった言葉が頻繁に登場した。ここでは、主にクライアント向けOSであるWindows 7に関連した項目を紹介しよう。

 陣内氏によると、マイクロソフトがパートナーとの協力関係を強調するのは、Windows Vistaの教訓によるものだという。Windows OSはまぎれもなくマイクロソフトの製品だが、マイクロソフトが書いたコードだけで成り立っているわけではない。Windowsが現実のプラットフォームで動作するにはサードパーティーのデバイスドライバなどが必要になる。Windows Vistaのリリース時は、両者のすり合わせが不足したため、これに起因するクラッシュが多数報告されたという。もちろん、これはWindows Vistaにおいて、さまざまなデバイスでドライバモデルに大きな変更が加えられたことと無縁ではない。

当初は高かったVistaのクラッシュ率だが、時間の経過とともに低下し、SP1では大きく改善された
デバイス初期化の並列処理などさまざまな最適化により、Windows 7は起動速度もVistaより速くなった
デモに使われたのは、米国のイベントで参加者に配布されたのと同じBuild 6801だが、メニューなどリソース類が日本語化されていた。

DVD-Videoを再生しても、Windows 7のほうが消費電力が低い
DVD-Video再生中のWindows VistaとWindows 7の比較。上から2番目のCPUクロックのグラフを見ても、Windows 7のほうが低い動作クロックを維持できている
Windows 7で新しく導入される「デバイスとプリンター」(Devices and Printers)。右下のUSBメモリがアイ・オー・データ機器の製品

使い勝手を高めるための取り組み

アイ・オー・データ機器 執行役員 開発本部長 平野義久氏

 Windows 7は、基本的にWindows Vistaのドライバモデルを継承しており、Windows XPからWindows Vistaに移行した際のような、ドライバの完成度に起因する問題は起こりにくい。それに加えて、パートナーとの関係をより密接にすることで、Windows 7の新しい機能を十分に使える新しいハードウェアを用意してもらいたい、という考えのようだ。

 マイクロソフトはより広範な開発者向けのリリースとして、2009年の早い時期にβ版を提供することにしている。このβ版ではワールドワイドで300種類のデバイスをサポートするといい、もちろんこの中には日本製のデバイスが含まれる(約200種類が日本ベンダーのものであるという)。陣内氏のキーノートではゲストとしてアイ・オー・データ機器の執行役員 開発本部長 平野義久氏が招かれ、同社のWindows 7に対する取り組みが紹介された。

 Windows 7では、コントロールパネルに「Devices and Printers」と呼ばれる項目が追加され、そこにユーザーの利用頻度が高いデバイスがビジュアルとともに表示される。特に、プリンタ、ポータブルデバイス(音楽プレーヤーなど)、携帯電話、デジタルカメラの4種類にフォーカスしているが、ストレージデバイスやディスプレイなど多彩な周辺機器が各種の設定などのユーザーインタフェースとしてDevices and Printersを利用することも可能だ。

会場に展示されたサードパーティー製品
すでにさまざまなジャンルのメタデータが用意されている
アイ・オー・データ機器の「Devices and Printers」対応製品一覧

USBメモリを使ったコンテキストメニュー拡張のデモ画面
デバイスが認識されると、この画面が立ち上がる
USBメモリのコンテキストメニューを見ると、Webサイトへのリンクが追加されているのが分かる

 このDevices and Printersから呼び出され、個別のデバイスを設定するのが「Device Stage」だ。このDevice Stageに表示するメタデータをどのようなものにするか、OEMメーカーは自由にカスタマイズすることができる。逆にいえば、Windows 7用にカスタマイズしたメタデータを提供することが、デバイスの理想的なWindows 7対応といえなくもない。ちなみに、メタデータを用意しなければデバイスが動作しないということではなく、Genericのアイコンが表示される。

 平野氏は「アイ・オー・データ機器が、USBメモリやDVDドライブといったストレージデバイス、液晶ディスプレイや無線LANアダプタなどさまざまなデバイスについて、Windows 7用のメタデータを提供する予定である」と述べ、同社製USBメモリを用いたデモを行った。また、「Windows 7がDLNA 1.5に標準対応するのにあわせ、テレビサイドに置けるデバイスを製品化し、Windows 7をデジタルメディアコントローラになるようにしていきたい」と展望を述べた。

 さらに、Windows 7でサポートされる新しいデバイス技術として紹介されたのがマルチタッチだ。複数の指やポインティングデバイスを使ってGUIの操作を行うマルチタッチは、アップルがiPhoneMacBook Proに採用したことで注目されたが、そもそもは1980年代に米国の大学で考案されたものとされる。日本ヒューレット・パッカードのTouchSmart PCを用いたマルチタッチのデモは、すでにPDCや米国のWinHECで披露済みだが、東京ではマイクロソフトのVirtual Earthと組み合わせたデモが初めて公開された。

Windows 7のNetwork Media Deviceを使ったデジオンのデモ画面
DiXiMのブロックダイアグラム
アイ・オー・データ機器が発売予定のネットワークメディアプレーヤー「AV-LS500W」の姿も

ワコムのマルチタッチセンサーシステムを搭載した液晶ディスプレイも展示された
スクリーンに指でペイントしたり、ピアノの鍵盤を表示させて演奏するデモが行われた

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