富士通の「ARROWS Tab Wi-Fi」は10.1型ワイドの液晶ディスプレイを搭載し、IPX5/IPX7に準拠する“防水”Androidタブレットだ。
この“Wi-Fi”モデルは、NTTドコモのXi搭載タブレット「ARROWS Tab LTE(F-01D)」の兄弟モデルで、FOMA(3G)/Xi(LTE)通信モジュールを搭載しない代わりに、セキュリティ性を高める指紋センサーを内蔵し、32Gバイトの内蔵ストレージモデルを用意するなど、若干ながら差別化が図られている。
改めて仕様を確認しよう。ディスプレイは1280×800ドット表示で静電タッチパネルを備えた10.1型ワイド液晶、プロセッサは1GHz動作のデュアルコア OMAP4430、メインメモリは1Gバイト、OSにはタブレット向けに最適化されたAndroid 3.2を採用する。ラインアップは内蔵ストレージの容量別に2モデル、32Gバイト版の「FAR75A」と、同じく16Gバイト版の「FAR70A」を用意する。
本体サイズは262(幅)×181(高さ)×11.3(厚さ)ミリで、重量は約599グラムだ。10.1型サイズのタブレットとしては標準的だが、外側に向かって貝殻のように薄くなるデザインにより、手にすると実際のサイズ以上に薄く感じる。加えて、“防水仕様”であることを考えると、ほかの同クラスタブレットと同等サイズ、あるいはそれ以下のサイズであれば他機種に対する大きなアドバンテージになるだろう。
タッチパネルには指滑りが良く、高速レスポンスを実現するという同社独自の「サクサクタッチパネル」を搭載する。こちらは同社製スマートフォンにも採用例があるものだが、なるほどタッチ操作の感度・操作性はスルスル良好だ。
本機は3つの独自機能がある。
1つめは「防水性能」。ARROWS Tab Wi-Fiは、あらゆる方向から噴流を当てても機能が失われないことを示すIPX5と、常温の水道水で水深1メートルに30分間放置しても壊れないことを示すIPX7に準拠する。つまり、キッチンなどの水回りやお風呂でも、雨天時も安心して使用できるということだ。
同クラスのAndroidタブレットで同じ防水性能を備えるモデルは、2012年2月現在、先に挙げた兄弟機のARROWS Tab LTE(F-01D)だけだ。周辺機器にはタブレット向けの防水ケースなどは存在するが、出し入れが面倒で、万一水に漏れてしまった場合のリスクを考えれば、そもそも本体が防水仕様であることのメリットは計りしれないものがある。
2つめは「ワンセグチューナー内蔵」。携帯電話はもちろん、スマートフォンも最近は採用例が増えたが、タブレットではまだ搭載モデルが少ない。こちらはこれまでのタブレットにおけるPCリテラシーがやや高い利用者層は「ないなら別によい」とする半面、防水性能とともに「お風呂テレビ」をごく普通に、簡単に実現できてしまうのが喜ばしい。こちらは、タブレットを一般層にも広めるための分かりやすく伝えやすい訴求ポイントであり、海外メーカー製ライバルタブレットとの差別化にもなる重要な機能と考える。
なお、お風呂テレビは想像する以上にやみつきになる。「あら、また買ったの? 役に立たないものを……」などと購入するPC機器を理解してもらえないオトーサンも、本機のお風呂テレビ機能を見せれば奥様やお子様にもきっと喜んでもらえるはずだ。
テレビ用アンテナはボディに内蔵されるので、余計な部品が飛び出ないのもよい。ただ、アンテナを引き出せるワンセグ搭載スマートフォンと比べると、若干受信感度性能がよくない印象だ。自宅の浴室の配置によって、受信できない可能性があるのには少し注意したい。
3つめは背面に配置する「指紋センサー」。指紋認証は富士通製ケータイやスマートフォン、PCでもおなじみのセキュリティ強化のための機能で、持ち出す機会の多いタブレットにこそ付いていてほしいものだ。
Androidタブレットは、ロックの解除にパスワードや画面を一定の動きでなぞって解除する「パターン」を設定できるが、この指紋センサーに指をなぞらせるだけで復帰とロック解除をまとめてスマートに行える。このほかWebサイトのIDやパスワードを指紋で一元管理できる便利機能も用意する。
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